妻と男の物語


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二人の隠れ家 4

[7097] 二人の隠れ家 4 saemidori 投稿日:2009/08/18 (火) 13:04
さて、そのエロの輪がチラホラ現れ始める。
あちらこちらでイチャイチャし始めるカップルや単独さん。
カップルルームからは艶のある喘ぎ声が聞こえてくる。
誰かが火をつければ引火するのは早い。
実際、この店に来ていること自体、胸にエロ心を隠し持っている変態ばかりなんから。
単純に自分が最初になりたくないだけで、皆が始めれば自分もという、いかにも日本人らしい気質である。
仕方ない日本人なんだから。

ちなみにトップバッターで始めたのは外国人男性であった。
とても日本人のペースには付いていけないという感じである。
外国人を好きそうなキャバ嬢風の女性2名と遊び始める。

まず、動くのは単独男性(孤独派)。
傍に近づき見えやすい位置をすかさず確保。
見えやすいどころか手を伸ばせば届く位置である。
節操無いというか、あからさまというか、こういう奴がいるから単独男性は気持ち悪いと思われてしまう。
誰かが切欠を作ったら乗っかるタイプ。まさにハイエナである。
でも、彼らがいるからお店の売り上げが成り立っているはずである。
単独女性は無料。カップルは二人で5~6千円。それのみでは到底やっていけない。
お店があるからカップルも遊べる。
そう考えればハイエナも邪魔者扱いには出来ないのである。
ただ、モラルやマナーは最低限守って欲しいが。

24時近くになり何人かは帰っていったようだが、終電間際というのに人が減らない。
未だに呼び鈴は鳴り続ける。

「ちょっとプレイルームの様子を見てくる。いい人に声かけられたら遊んでいいからね。」
垣根を取り外す様な発言をしておいてフリーにさせてあげる。
勿論、カップル同士でSWをしたい気持ちはあるが、この日の盛り上がりではどうなるか判らない。
言葉通りプレイルームを見に行く。
ここもラウンジは人だらけ。
特に外国人が多い。
ラウンジをすり抜け、仕切りのカーテンを開きプレイルームへの廊下に入っていく。

プレイルームは4部屋ある。
6畳から4畳程度の広さ。薄暗いライトが灯り目を凝らさないと良く見えない。
簡易的なマットの上にシーツが引いてある。
その内3部屋は一畳程度の覗き部屋が隣接されている。
二つのプレイルームが埋まっている。
一つはカップルのみでイチャイチャしながら寝そべっているだけで、やらしさは無い。
それでも覗いてる単独男性がいるのが凄いのだが。
もう一つは外国人が4~5人程で乱交している。
男性3人、女性2人。女性は日本人である。
私の妻は外国人と遊ぶことに嫌悪感を持っているようたが、外国人好きの日本人女性も多いのだと思った。
やはりこの部屋の覗き部屋は満員状態であった。


話し相手となる人もいないので、妻のところに戻ることにした。
相変わらずの人混みの中で、何とか妻を見つけ出すが、単独男性らしき2名と談笑している。
その笑顔に嫌な感じは見えない。
傍に行くのを躊躇して、少し離れたところから様子を伺うことにした。
そのまま流れで2人について行き、いきなり3Pでも始めてしまうのだろうか。
勝手にいろんな妄想が頭の中に浮かび上がる。
いかに言葉では大丈夫だから遊んで良いと言っても相手の男性がどんな男なのか気になる。
自分の嫌いなタイプだったらと思うと複雑である。
この日一番の心臓の高鳴りがした。
一人は中年だが、若作りをしていて見た目も好感が持てる。
もう一人は筋肉質でがっちりした感じの若者であった。
まあ、この2人と遊んでも文句はない。
しかし、こちらの期待とは裏腹に、いつまで経っても動き出さずその場で喋り続けている。

その内、自分が飽きてきてしまった。
というのも、久し振りに会う女性がいたのである。
名前はあやちゃん。
ちょっとポチャッとしていて、スタイルが良いとは言えないが、可愛いのである。
以前は良く来ていたのだが、ここ暫く来てなかったようである。
彼女とは何度かセックスしたことがある。可愛い顔には不釣合いなくらいやらしい子である。
あやちゃんとセックスして一番嬉しいのは、感じている時の表情が凄く可愛いのである。
意外と美人や可愛い子でもエクスタシーを感じてる時の表情が、不細工になってしまう人がいるのだが、
彼女は特別可愛い表情で喘いでくれるのである。

ところがこのあやちゃん、スタッフの女の子にやたらと嫌われている。
自業自得なのだが、自分勝手な行動が人によっては鼻に付くのである。
ある男性が他の女性と仲良くやっているのに、自分が気に入ったりすると上手く割り込んで、その男性を奪って遊んでたりしてしまうことがある。
それもテクニックだと言えばそうだし、遊びなんだから上手くやった者勝ちだってところはあるけど・・・。
一度悪い印象持つと、そういう目で見られてしまう。

だから、あやちゃんと仲良くやってるとスタッフの女の子の目が怖い。
しかし、それでも遊んじゃうんだから、男とは駄目な生き物である。

「やあ、あやちゃん。」
「あ、こんばんわ!」
「久し振り。どうしてたの?」
「あー、ちょっと忙しくなっちゃって」
「そうなんだ。」
「今日は一人なんですか?」
「いや、あっちに妻がいるけど」
「なーんだ、残念」
「ん?なんで」
「だって奥さんいたんじゃ遊べないじゃないですか?」
「遊びたいの?」
「だって・・・」
と言いながらモジモジする姿に胸を打たれてしまう。
「妻もあっちで単独男性相手してるから平気じゃないかな」
「ほんと?」
「しかも2人いっぺんに相手するみたい」
「うわ~凄いですね。」
「久し振りだよね。もう違う店の常連になったかと思った」
「ええ~、行ってないですよ。久し振りにハプバー来たんですから」
「会えなくって寂しかったよ」
なんて歯が浮くような言葉を出しながら、照れ隠しも込めてあやちゃんを抱きしめる。
あやちゃんが驚いたのか、喜んだのか、それは解らない。
しかし、腰に回してきた手に嫌さは感じられなかった。
暫く抱き合いながらお喋り。
「なんか最近、客層変わっちゃってね。昔良く来てた人見かけないんだ」
「そうなんだ。みんな環境変わっちゃったのかな」


話してる内容なんて他愛も無い、どうでも良い内容。
ただこうして抱きしめてるだけで嬉しかった。
しかも頭の中は別なことでいっぱい。この後どうやってプレイルームに誘おうか。
放置してる妻は大丈夫か。
あやちゃんと遊んだら、またスタッフ女の子から嫌な目されちゃうかな。
そんなことが頭の中を巡っていた。
しかし、昔から変わらないがごちゃごちゃになった時の結論の出し方は同じである。
「なるようになる。」
最も自分に都合の良い解決法。
男らしいと言えばそうだが、後のことは一切考えてない。

抱きしめながら、徐々に胸や尻に触れていく。
あやちゃんからも艶っぽい吐息が漏れ始める。
そんな雰囲気に私の股間も熱く勃起し始め、きつ目のジーパンを更にきつくさせる。
ジーパン越しに勃起したペニスをあやちゃんに押し付け、
徐々に触り方も大胆になると吐息も喘ぎ声に変わっていく。

そこを見逃さないのがハイエナども。
すかさず周りに寄ってくる。
寄って来るどころかあやちゃんの手や足を触りだす。
胸や尻、あそこを触らないのが、一応“遠慮”なのであろう。
会話すらなく勝手に触り始めといて遠慮も無いだろうと思うが。

これが、私の妻だったら完全に抵抗、もしくは断りをいれるのだが、
ここが難しく、彼ら単独男性たちが私よりもあやちゃんと親しく、
あやちゃんもそれを望んでいるとしたら、独り占めしようとしている私は、
あやかちゃんが嫌われてる原因と同じ「自分勝手」ということになるのではないだろうか。
そんなことを気にしつつ、彼ら単独男性たちを追い払えないでいた。
しかし、ここで昔のことを思い出す。
あやちゃんはキスに弱いのである。
キスするだけで腰砕けになるほど感じてしまうのである。
今まで何人かの女性と関係したが、キスが性感帯というのはあやちゃんが初めてであった。

いやらしく漏れる吐息を塞ぐ様に唇を重ねる。
キスしながらも胸への愛撫は続ける。
単独男性たちも断られないことをいいことに徐々に大胆になり尻や胸に手を伸ばしてくる。

自分で立っていられなくなり私に体重を預けてくるあやちゃん。
「もう駄目。我慢できない…。」
「プレイルーム行こうか。」
「うん…。」
あやちゃんの手を握りプレイルームの方へ歩き出す。
取り残された単独男性君たちがどんな顔してたか見たかったが、振り返ることなくプレイルームに向った。

ふと頭を過ぎる。
「シャワーを浴びてない。」
折角良い雰囲気になったのに、気持ちが一旦途切れる。
そのまま部屋に行ってもいいが、マナーとしてシャワーは浴びておきたい。

プレイルームの入り口にいるスタッフかずちゃんにバスローブとタオルを借りる。
その時、瞬間かずちゃんの顔を見たが、怒っているようだった。
「なんで、あやちゃんの相手してんのよ!」
と言っているように見えた。
でも、今更断ることなんか出来ないし、したくも無いので無視してしまった。

一旦、雰囲気は途切れてしまうこと覚悟で、
「シャワー浴びるね」
「うん、わたしも」

大丈夫そうである。
確かに最初から妻がいても遊べるよと言った瞬間からそのつもりだったんだろう。
判ってても慎重くらいでちょうど良かった。

  1. 2013/08/04(日) 05:53:21|
  2. 二人の隠れ家
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二人の隠れ家 3

[7086] 二人の隠れ家 3 saemidori 投稿日:2009/08/17 (月) 17:01
まだまだ、笑い声しかしない雰囲気の中、スタッフのエルちゃんに声をかけられる。
正確に言うと私の妻が声をかけられた。
「あれ~奥さんはコスに着替えないの」
「ちょっと、今食べてたんで~」
「折角なんだから、この胸の谷間が強調されるコスを着ようよ」
といいながら妻の正面に回って両手で妻のFカップの胸を揉み出す。
妻も満更嫌そうでもなく、ノリにつられてコミカルに「ア~ン」などと声を上げている。
そんな二人のやりとりを微笑ましく見ている自分。

このスタッフ「エルちゃん」は、気配りが良く退屈そうにしている人がいると声をかけて廻る。
元々ここの常連客だったから客の気持ちが解るのであろう。

エルちゃんと妻を気にしつつ、意識は別に行っていた。
盛り上がっているところはないか、知っている人はいないか探していた。
妻はエルちゃんと話し込んでいるので、瞬間その場を離れてみることにした。
「ちょっとトイレ行ってくる」

さすがにこの人数である、更に酒も入ってるためトイレ待ちの列が出来上がっている。
その列の最後尾なのか、そこで立って喋っているだけなのか境目が解り難い。
最後尾と思われる女性に
「トイレ待ち最後尾ですか~」
ちょっと明るめに声をかけて聞いてみる。
「そうですよ~」
同じように明るく返してくれた。

この瞬間が大事である。
ファーストインプレッションで判断してしまうのだが、最初に愛想が悪いと、相手にされてないと思いその場で終了。
逆に反応が良いとたくさん話がしたくなる。
しかし、話上手ではない自分にはそれが一番高いハードルかもしれない。

恐る恐る次の言葉を発する。
「すごい人数ですよね」
セカンドインプレッション。
ここもドキドキ。どう返されるか・・・。
「ね~。だからトイレもいっぱいになっちゃってね」
普通に返してくれた。
これは会話はOKということと勝手に自分の中で決めてしまう。


初めて見かける女性。
名前が判らないのでりえさんとする。
年齢は自分より若いかな。24、5といったところか。
特別に衣装を着ているわけでもなく普段着という感じ。
それでもパーティということで化粧は濃い目である。
スタイルは悪くない。服の上からでもわかる胸の大きさに下心が芽生える。

「カップルで来てるんですか。」普通を装い質問。
「そうです。あなたは単独さん?」
「あ、いいえ。僕も妻と来てます。」
「良く来るんですか」

ラッキー。
質問する側が、される側になった。
口下手なので質問されて答える方が楽なのである。
しかもあまり聞いちゃいけないと言われる魔のワード「良く来るんですか」。
どうしても初めての人だと使ってしまうのだが、最初は避けた方が良いらしい。
それを逆にりえさんから聞いてくれたので良かった。

「ええ、たまにですね。一ヶ月に一回位かな。えっと良く来るんですか?」聞き返す。
「そうですね。」
ん?お茶濁されたか・・・。
「でも、初めましてですよね。お見かけしたことないかな。」
「多分、初めましてじゃないかな?彼見たら思い出したりして?」
「ん~どうだろう。男の人の顔憶えないんで・・・」
「ははっそっか。」

と、そこでトイレの順番が彼女に廻って来る。
なんてタイミングが悪い。
たいした会話も出来てない。名前も聞けてないし。
でも仕方ない、実際は単なるトイレ待ちなんだから。
もし交代して自分のトイレが終わるまでりえさんがそこに待っててくれたら大ラッキーだけど。
そんな奇跡に近いようなことあるわけがない。

ガチャ。
「どうぞー。お待たせしました。」
「あ、ありがとうございます」
実際に限界近かったので飛び込んで行く。

話変わって・・・。
女性が出た後のトイレに入った時に、いつもやってしまう変態癖がある。
残り香を嗅いでしまうのだ。
これはかなり変態だと思うが、自分だけではないはず。
他では中々有り得ないが、特にここは男女共同のトイレになっているので、
こんな場合は、いつもしてしまうのである。
勿論、今回も例外ではない。
存分に嗅いで楽しんだ。
しかし、たいていそうだが、たいして匂いなど残ってない。
元々のトイレの芳香剤の匂いの方がきつく残り香なんて感じないのである。
更に女性は用を済ませた後、鏡で化粧直しを行う。
その時間に残り香など無くなってしまう筈である。
そうと解っていても嗅いでしまうところが、やはり変態である。

用を済ませ1パーセントも無い可能性に期待を持ってトイレを出たが、やはりりえさんはいなかった。
まあ、当たり前すぎてショックもない。
次のトイレ待ちの人に愛想よく交代する。
「どうぞ~」
「あ、ども~」
男同士のこんなやり取り誰も見たくないだろう。


ふと、そのトイレ待ちの列の後方に目をやると、ゆきちゃんがいた。
「こんばんは。」
「あれ、一人?」
「いや、妻はあっちでエルちゃんとお喋りしてるけど・・・」

このお店でよく会う常連の単独女性。
物怖じしない性格でいつも堂々としている。
彼女を知る常連男性は彼女を口説いてエッチしようなんて思わない筈である。
知らないでゆきちゃんを口説こうとした男性はコテンパンに打ちのめされてしまうくらい、自分がしっかりしている。
ゆきちゃんのエッチをしているところが見れるなんて、滅多に有り得ない。
見れたその日は、雨降るんじゃないかな。
そんなゆきちゃんだが、自分は過去にゆきちゃんに連れられプレイルームに入ったことがある。
ゆきちゃんに乳首を責められ、Fまでしてもらったのだが、いざとなると萎えてしまい最後まで出来なかった。
違う日にもプレイルームに行ったが、その時も駄目だった。
それ以降、ゆきちゃんとプレイルームに入ったことは無い。
ところが、いっつもゆきちゃんと会うと乳首責めとFはしてもらえる。
何故か不思議だが、自分にだけはイチャイチャしてくるのだ。
しかし、最後までする前に責めるだけ責めて帰ってしまう。
それでも、そんな仲が暖かくて好きである。

「そっか、じゃあ今日は奥さんと遊ぶかな」
「おおー、そうして。レズでも何でも。いつまでもこの学生ノリの雰囲気じゃ駄目でしょ。エロくしてよ」
「いや、それは他の奴がやんだろ。俺には関係ねー」
女性なのに無理して使う男言葉が逆に可愛いい。

その内、ゆきちゃんのトイレの番が廻って来る。
「じゃ、あとでねー」
と言って妻の方へと戻る。

どうやらエルちゃんはいないようである。
妻はポツンとひとりでフルーツをつまんでいた。
「あれ?エルちゃんは?」
「うん。お客さん増えたからね、忙しくなったみたい」
「そうだね。確かに言われてみると、だいぶ増えたな・・・。下手すりゃ100人はいるんじゃないの」
「ほんと、それぐらいいても不思議じゃないわ」
「ああ、そういえばトイレ待ちでゆきちゃんと会ったよ」
「うん。さっきチラッと見かけたわ」
「今日は君と遊ぶかな。とか言ってたよ。」
「本当?さっきエルちゃんにも言われちゃった。」
「モテモテじゃん」
「女性にね・・・。」
「そうそう、遊びたそうな男性がいたら遊んでもいいからね。自分から声かけてごらん」
「いいのぉ~?。どっしようかな。」

昔はそんなこと言っても「恥ずかしい」「怖い」などと言って絶対に無理だったが、
一度単独男性に誘われて遊んでからは余裕が出てきて、多少のことには動じなくなった。
普段では経験できないことが、ここでは出来るのでどんどん興味が湧いているらしい。
私はそれを嫌だとは思っていない。
自分の妻がどんどん淫乱になって行く姿が楽しいのである。
非日常の中で普段を忘れて弾けたあと、家に帰ってたっぷり愛してあげるのが最も好きなのである。
目の前の非日常を見て、異常に興奮しているから、必然と二人のセックスの内容も濃くなる。
それが、今のところ二人の遊び方である。

だから、この日みたいに淫靡な雰囲気も無く、飲み会程度の盛り上がりでは興奮が少ないので、パーティは別物と捉えるしかないのかと思っている。
このままじゃ興奮出来ず、帰ってからのセックスのプラス要素にならない。
でも、突如エロ方向に盛り上がることもあるから、全く無視出来ないのも事実。
その輪に入るかの決断のところで、引いてしまう自分がいけないこともわかっている。

  1. 2013/08/03(土) 19:46:15|
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二人の隠れ家 2

[7073] 二人の隠れ家 2 saemidori 投稿日:2009/08/15 (土) 19:38
ガチャ。
何度となく来ているお店だが、フロアに入る為のもうひとつの扉を開ける瞬間はいつも何故かドキドキする。

しかし、この日はドキドキしていたことも忘れるくらいの客の多さに圧倒される。
普段、客が多い週末であっても座る椅子くらいは何とかなるものだが、
この日は満員電車のような混み具合であった。
至るところでグラスを片手に持ち、立ったまま談笑している。
立食パーティなんて生易しいものではなく、ちょっと動けば誰かにぶつかってしまう状態。
「足の踏み場もない」とは、まさにこのことである。

なんとか人混みを掻き分け、カウンターに荷物を預けに行く。
とりあえず飲み物を貰い一旦落ち着く。
と言っても座る場所もなく、結局端の方で場の雰囲気を探る。

普段は淫靡な雰囲気が漂う店内なのだが、この日はまるで真逆な雰囲気だ。
どちらかというと学生ノリというか、同窓会のノリに近い。
確かに常連同士だとしても久し振りに会う人も多いのだろう。
パーティだから来たという人もいるのかもしれない。
久し振りに会って話が盛り上がっている。
そんな雰囲気では、淫靡のかけらもあるはずがない。

その中にも、日常では有り得ない露出度の高い衣装を纏った女性の姿が目に付く。
普通であれば、そんなエロティックな女性がいれば淫靡な雰囲気になってもおかしくない。
逆にここは、それが当たり前のようなお店である。
しかし、特にこの日はそれ以上に淫靡よりも談笑で盛り上がっている。

お店はパーティだから、来客に思い思いの衣装を着て貰うよう煽っていたが、
奇抜なコスプレをしているのは極僅かしかいない。
ノリの良いお客が何人かコスプレを楽しんでいる。
男性陣に至っては二、三人がマスクをつけている程度。
以外はみんな普段着である。
それに比べ女性陣はドレスやキャミや下着姿と一応“変身”している。

一体、この部屋に何人くらいの人がいるのだろう。
ざっと見て50~60人はいるのではないか。
しかも、それで終わりではなく途切れることなくインターホンが鳴り続き、客が続々と入店してくる。
ここまで雑多な感じになると、誰がカップルで誰が単独なのか解らない。
あまりの人の多さに私達も言葉を失って目の前の騒ぎを眺めていた。
一種幻覚の様な症状を感じていたのだが、その錯覚を覚ますよう妻が声をかけてきた。

「お腹空いたから食べよう?」
普段はお酒だけで食事は出来ないのだが、この日はパーティということで軽食が用意されていた。
小さなカウンターにピザやおにぎり、唐揚げなどが大皿に盛られてある。

「そうだね。カウンターの方に行こうか」
手に持った酒を溢さぬよう幾分か慎重に人を掻き分けてカウンターに向う。
食べ物を口に運びながら妻と会話をするのだが、視線は人混みに向いている。

カップル同士で話す人。
何人かで固まり大笑いを揚げてるグループ。
スタッフと話す人。
黙々と料理を口に運んでる人。
落ち着きなく行ったり来たり移動する人。

そんな執りとめもない風景に心を奪われる。
楽しそうな笑顔の人もいれば、つまらなさそうな顔の人もいる。
つまらないのだったら帰ればいいのにと思うが、この後に起きる展開を期待していて帰る気にはなれないのだろう。
しかしまだ、22時を過ぎたばかり。
こんな早い時間からエロムードになる訳がない。パーティなんだから。
エッチなことだけを期待して来た単独男性にとっては、イライラする時間である。
それでも、知り合いがいて一緒に談笑が出来る常連男性は別である。
逆にこの時間を利用して、知り合いのカップルや単独女性に挨拶して周り、自分がいることのアピールをする。
知らせておけば、後で盛り上がったときに声かけてくれるかもしれない。
もしくは、そのままその場でハプニングが起こせるかもしれない。
概ねハプニングになる切欠は話上手な男性が握っている。

しかし、その話しが上手な男性のなかで単独男性は少ない。
大半は他人が起こしたその切欠を利用してどさくさ紛れを狙っている男性ばかりである。
下手すれば女性から声かけてもらえると思っている「イケメン」と呼ばれる勘違い君もいる。
この場においては、話が出来ない男はどんな美男子であっても主人公にはなれない。
話で相手を楽しませ、乗せ方が上手く、自分の欲望を出し過ぎない、そんな男性がここでは上手に遊べている。

 
  1. 2013/08/03(土) 15:05:38|
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二人の隠れ家 1

[7072] 二人の隠れ家 1 saemidori 投稿日:2009/08/15 (土) 19:35

他人と性的快楽をともに喜び合う空間。

数ヶ月に1度だが、私達カップルはそんなところに通っている。
世間の多くは「変態」とか「理解出来ない」となるのだろうが、
ここに来る男女は至って普通の方達ばかり。
世間の人々となんら変わりない。

ただ少し変わった嗜好なだけで・・・。



ピンポーン。
日本一と呼ばれる歓楽街にある雑居ビル。
そのビルの地下一階にある無機質な扉の横にあるインターホンを押す。
ドキドキしながら返事がくるのを妻の顔とインターホンを交互に見ながら待つ。

非日常的な会員制のバー。

「はい、お待ち下さい。」
インターホンから無愛想な返事が返ってくる。

重苦しい扉が開く。
扉を開けた主はこちらが誰なのか前もってインターホンカメラで見て判っている。
だから扉が開ききる前から、挨拶をしてくる。
「あ~どうも~。ひっさしぶり~」
インターホンでの無愛想とは打って変わって明るい声。
「ご無沙汰してます」
「久し振りじゃないですか。待ってましたよ。
部屋の模様替えしたんですよ。オープンルームを二つに分けてソファ置いたんです。
それから、単独男性は、どの部屋も許可無しで勝手に入れなくなりましたから。」
一気に話し掛けてくる。
「ああ、そうですか。」
いきなりの説明に圧倒されて簡単な返事をしてしまう。
「今日はパーティなんで、カップルさんは8000円になります」
「すみません1万円で・・・。」
「では、お釣りは中で渡すんで、ジャケットをクロークにかけて中に入ってください。」


乾いた都会の真ん中で密かに人気の「ハプニングバー」と呼ばれる場所で繰り広げられる非日常のひとコマである。

  1. 2013/08/03(土) 10:14:59|
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