妻と男の物語


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薄い壁(10)

[7082] 薄い壁(10) ボー太 投稿日:2009/08/17 (月) 14:07
私はそれから2週間、妻とのセックスの際には必ず他の男の名前を出しました。隣の旦那曰く
擬似セックスです。初めは妻も嫌がりましたが、想像と分かっているその行為を、妻は徐々に
愉しむようになっていったのです..

「今日のお店、美味しかったわねぇ」
「あぁ、そうだな..また行こうか」
「うん、行く行く!」
とある土曜の夜、私たちは外での食事を済ませ帰ってきたところでした。
「あ、今晩は~」
「あ..ど、どうも今晩は」
隣夫婦です。車から降りたところで鉢合わせとなったのです。香織さんを見たのはあの晩以来
でした..今夜はタンクトップに白のジーンズと、多少ラフな格好です。会釈をし、意味ありげ
な視線を感じドキッとしましたが、そのまま香織さんだけ先に部屋へ入っていってしまいました。
「お食事ですか?」
「あ、はい、今帰ってきたところで..なぁ?」
「う、うん..」
妻を振り向くと、少し恥ずかしそうにしています。
「仲がいいですねぇ、新田さんのところは」
「そんなぁ、横山さんこそ、奥さんとお出掛けでしたか?」
「えぇ、まぁ..由佳さん、今晩は」
私との会話も上の空で、横山さんは後ろの妻をジッと見つめながら挨拶を寄越しました。
「こ、今晩は..」
外灯に照らされた妻の顔が、幾分赤くなっているのが私にも分かりました。
「由佳さんとしっかり話すのって初めてかなぁ?アハハ」
「え?そ、そうですか?..済みません」
「ん?別に謝らなくてもいいですよ~!由佳さん」
私は二人に割って入りました。
「あ、あの、奥さん先に行っちゃっいましたよ..」
「え、あぁ..実は今夜、ちょっと喧嘩してしまって..大したことないんですがね」
「珍しいですねぇ、大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ、ほら、喧嘩してもアレしちゃえばすぐ仲直りできるでしょ?ねぇ由佳さん」
「え、アレって?..やだぁ..」
いきなり卑猥な話を振られた妻がまた顔を赤くして俯きます。
「そうそう、最近良く聞こえます..回数だいぶ増えてますねぇ」
私に近寄り小声で彼が囁きました。後ろの妻も会話の内容に気づいた雰囲気が伝わります。
ここは割り切り少し明るく対応せねば..私も負けじと言いました。
「それはお互い様ですよ、奥さんの声もいつも聞こえてますよ~」
「ん?..そ、そうですか?..いやぁ、参ったなぁ!こんなに古いアパートですからねぇ」
「そうですよ、丸聞こえです!なぁ由佳、お前の声も聞こえちゃってるみたいだぞ」
私は努めて明るく話しました。そして横山さんに意味深な表情で見つめられ恥らう妻..
「由佳と二人で、始まるといつも壁に耳を付けて聞いてるんですよ、フフフ」
「やだぁ、あなた..」
「アハハ、それってうちと一緒ですよぉ!」
「本当に良く聞こえます、このアパートは」
頬を染めて男二人の会話に俯く妻を見るうちに、私は彼の更なる言葉責めを期待してしまいました。
「でも、由佳さんの声は..耳なんか付けなくても聞こえちゃいますけどね」
「う、嘘ぉ..」
「新田さん、今夜もヤりますか?..」
「え、えぇ、多分..なぁ由佳?しちゃうよな?」
「あぁん..もぉ、あなたってば..」
恥じらいの笑みが見えました..
「でも由佳さん、聞こえてるの知ってるくせに..あんな声出しちゃうんですね?..」
「え、そんな..」
「色っぽくて..もぉ妻なんかそっちのけで聞き入っちゃいますよ~フフフ」
今夜は外食ということで、妻は普段よりも大胆な服装でした。少し胸元がチラつき、身体の線が
出る服を選んで着ていました。その身体を、今他所のオトコにマジマジと見られています。
「じゃあ、今夜も愉しませてもらおうかな?..フフ、お休みなさい!」
「あ、お休みなさい..」
アパートの影に消えたお隣さんを、私と妻はバツが悪そうに見守りました。
「もぉ、あなた..悪乗りし過ぎぃ!」
「アハハ、ゴメンゴメン、ちょっと勢いでさ..でも、どうだった?」
「え?何が..」
「だってほら、いつも横山さんとヤッてるだろぉ?ここ最近..」
「いやだぁ、もぉ、イヤラしい..」
「想像しただろ?」
「..してない」
「嘘だぁ?名前呼ばれてること、聞こえてたりして..」
「え?..やだぁ..嘘よぉ..やぁん、恥ずかしい..」
「真治さん!オチンチン挿れてぇ!って..叫んでるもんなぁ、お前..」
「...」
「でもまぁ、いい人そうじゃない?..サッパリしててさ、明るいし」
「..うん、そうね..聞こえてるかなぁ?ねぇ、あなた..」
私の腕に絡み付くと、妻は心配そうな顔で見上げました。そして私は意地悪く答えました。
「なら明日の朝聞いてみれば?..昨夜のセックス、私の喘ぎ声聞こえましたか?ってさ」
「あなたぁ..もぉ!」

心配する妻はしかし、今晩さらに大きく悶えました..
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