妻と男の物語


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悪魔のささやき

[4225] 悪魔のささやき ナオト 投稿日:2008/07/07 (月) 01:58
「清楚人妻…」の仁さん他、素晴らしい投稿者さんの作品を拝見し、
自分も読ませていただいてるばかりじゃなく、少し書いてみようかなと無謀な挑戦です^^
何とぞ、全く初めての書き込みですので、つまらなかったら、どうかスルーして下さい。


「悪魔のささやき」本編

 妻が寝入ってから、自分の部屋でこっそりパソコンを開くのが佐々木貴彦の日課のようになっていた。
 広告代理店勤務という仕事上、深夜自室にこもってパソコンキーを打っていても、別段妻に不審がられたりもしない。
 実際こういう仕事は、毎日情報を張りめぐらせていなければならないし、企画書を自宅で練り直すなどというのは日常茶飯事なのだ。
 もっとも、今年ニ才になる娘の子育てに懸命な妻は、初めての育児に、貴彦の案ずるような疑念など持つ余裕もなく、その心配は皆無だったが。
 貴彦三十四才。五つ下の妻、真由香とは社内恋愛の末結ばれ、今年で結婚四年目になる。
 真由香はとびきり目立つ美人、というタイプではない。身長も160センチ程で、パッと見平凡な印象だ。しかし、よく見るとまったく欠点のない非常に端正な顔立ちをしている。
 涼しげな目元は、笑ったとき目じりが少しだけ下がるのが愛らしく、貴彦のお気に入りだ。
 誰からも好かれる明るい性格だが、なかなかどうして、気性の強さも持っていて、間違ったことは大嫌いである。結婚前、まだ勤めていたころは、上司であっても理不尽なことに対してははっきりと物言いをするし、見ていてひやひやすることさえあった。だが、そういう誠実で筋の通ったところも貴彦が惚れこんだ大きな魅力のひとつである。
 そんなかけがえのない妻、最愛の妻。誰よりも大切な妻を、貴彦は誰かに差し出したかった。
 どこの馬の骨とも分からないような男に、そっくりそのまま。
 妻でありながら、自分にとって指をくわえて一生見ていることしか許されない存在にしてほしい。あるいは、自分以外の全ての男の共有物になってほしい、、。それが貴彦の夢だった。
 いつからこんな狂気じみた妄想の虜になってしまったのか。
 貴彦自身もそんなことは自分の歪んだ情欲のファンタジーとして終わると思いつつも、深夜になると今日もまた、怪しい同士達の集うアダルトサイトに立ち寄るのである。
「寝取られチャット」-。
 自分の妻を提供したい男たちと、他人の妻を抱きたい男の出会いのチャット…。
 所詮は自分の妄想の捌け口として、悶々とした気持ちを少しでも紛らわすため、貴彦はこのチャットに出入りするようになった。実際に自分がそんなことを出来るわけないと高をくくっていた。
(ふぅーっ、、この男もこの前話した奴だな。)
 だいたい、こういうチャットに何度も足を踏み入れていると、段々常連の男たちの癖もわかってくる。少し会話するだけで、以前も話した人間かどうか分かるのだ。
 妻は性格からして、まともに貴彦の妄想など話せる相手ではない。何しろ潔癖で、貴彦がアダルトビデオを観ることさえ嫌うし、浮気や、ましてやスワッピング、貸出しなどという異常な世界とは無縁の女性だ。
 したがって貴彦がチャットの話し相手に求めるのは、妻に気づかせず、それとなく誘惑し、引きずり込めるような可能性を少しでも感じさせる男である。
 そんなセンスを持った男はそうはいない。誰よりも貴彦を思い、娘を思うあの真由香を誘惑するなど。
(1時半か、、そろそろ寝るかな)
 今日もまた、いつものごとく、つまらない相手と話しただけで終わったとページを閉じようとしたとき、あまり見慣れないメッセージを見つけた。
『奥さんをいただきますよ。100%の確立で。お好みの形に奥さんを変えてあげます』
 都内、四十代、未婚男性と書かれている。
 この男を最後に今日は寝よう。そう思って貴彦は例によって軽い気持ちで、その部屋の入室ボタンをクリックした。
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