妻と男の物語


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「悪魔のささやき」6

[Res: 4270] Re: 悪魔のささやき ナオト 投稿日:2008/07/12 (土) 20:29
二日後の土曜日。
貴彦と真由香は、娘の真貴と三人で新宿へ出かけていた。
百貨店で買い物をした後、店内の甘味屋で冷やしぜんざいを食べながら、
気乗りしない表情で真由香は貴彦に言う。
「やっぱ、あたしいーよ。貴ちゃん、行ってきなよ。」
「俺、そーゆーの苦手なんだよ。真由香は占い好きじゃないか。」
「わざわざ、霊媒鑑定士みたいな人に見てもらおうとは思わないよ。なんか恐いし。」
「一応、部長が親切でその招待券くれたんだから、感想聞かれたら困るんだよ。
 それに、その人、誰でも見てもらえるわけじゃないみたいだよ。結構有名人も見てもらってるら しいし。頼むよ。」
あの日、喫茶店で受け取った「霊媒鑑定士:天城蒼雲の無料優待券」。
矢崎はそれを真由香に渡し、鑑定を受けるよう勧めることを、貴彦に伝えたのだ。

あの夜、貴彦は待ちきれない気持ちで、深夜1時10分前にはチャットを覘いた。
矢崎はすでにチャットルームに待っていた。
「いいですね、必ず土曜日、奥さんをそちらの場所に行かせてください。」
「矢崎さん、わかりましたが、、その、、一体何をするつもりですか?」
「そう、大げさに考えないでくださいw。とりあえずは顔合わせですよ。
 ものの2~30分で終わりますから^^」
相変わらず、ヘラヘラとした矢崎の返答である。
「天城蒼雲というのは、、?」
「ハハハ、僕のことですよ。ま、ハッタリですけどね。」
貴彦は、矢崎という男のずる賢さを瞬時に理解する。
「それから、」
矢崎は最後にもう一言追加した。
「奥さんの前で、一言、旦那さんに口にして欲しい言葉があるんです。」
「何でしょうか?」
「最近、新規の開拓が出来なくて困ってる、とかなんとか。」
貴彦は、言葉を詰まらせた。この男は自分が営業職だということを知っている…。
「いいですね。佐々木さん。」
なんと矢崎は、貴彦の本名が佐藤ではないことも、すでに知っていたのだ。いったいどうして。
引き返すなら今ではないか…。貴彦の心に、暗雲が立ちこめ、矢崎への恐怖心が増す。
しかし気持ちとは裏腹に、貴彦の指は戸惑うこともなく、キーをはじいてしまうのだった。
「わかりました。」

矢崎の指定した、霊媒鑑定の場所は、この新宿の百貨店から目と鼻の先にあるビルだ。
ビルのそばまで真由香と一緒に行き、百貨店で待っているから、と真由香を見送る。
入り口でちらりとこちらを振り返り、不安そうに手を振る真由香。
自分は何をしているのか。
取り返しのつかないことをしているかも知れない自分に、
罪悪感を募らせながらも、悪魔のいると思われる、ビルの三階に目をやるのだった。
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