妻と男の物語


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「悪魔のささやき」7

[Res: 4270] Re: 悪魔のささやき ナオト 投稿日:2008/07/13 (日) 22:00
「悪魔のささやき」7

真由香を見送った後、娘をベビーカーで押しながら、百貨店へ引き返す貴彦の足は、
宙に浮いているようだった。
ついに、あの矢崎と真由香が会う、、、。
あの狡猾で、得体の知れない四十男と、我が妻真由香。
最も真由香に不釣り合いな、普通だったら最も近寄らせたくないタイプの男。
そんな油断ならない男に、自ら、真由香を出会わせてしまうのだ。
ギラギラと午後の太陽が照りつける新宿の街を、夢遊病者のように、ふらふらと歩いた。

窓付きの古びたエレベーターが、3Fのランプを点し、ゆっくりと扉を開く。
昼間にしては薄暗い廊下に、小さな個人事務所や、囲碁クラブなどの、時代遅れとも思える
スペースが、案内表示に書かれている。
その中に、「霊媒鑑定~天城蒼雲」と比較的新しいプレートがあった。
真由香は、何か不安な気持ちが拭えないまま、案内のある方向へ向かう。
コンコンとノックをすると、「どうぞ」という、やや高い男のダミ声が返ってきた。
狭い部屋の中は、ごく普通の応接室のようだ。
小さな神棚のようなものが、サイドボードに乗っかっている。
奥の机の席に、作務衣姿の男が一人いるだけだった。
真由香と目が合った。眼鏡をかけているが、その奥の目は鋭い印象がした。
「あの、、優待券を知人に頂いたんですけど。」
「そうですか。どうぞ、お掛けください。」
真由香は男に促されるまま、ソファーに腰掛ける。
「えっと、、会社に知り合いがいまして、その方が優待券を、、」
「いいんですよ。どうぞ、お気になさらず。事務所開設でご挨拶代わりに、
 何枚かお配りさせて頂いたんです。」
真由香の向かい側に座った男は、真由香の目をじろりと見つめると、
「天城蒼雲と申します。こちらにお名前と生年月日をご記入ください。」
と真由香に紙とペンを渡す。
(この人が鑑定を?、、こういう人も髪を染めたりするんだ、、)
勘の鋭い真由香は、作務衣と茶髪のアンバランスさに違和感を覚える。
『佐々木真由香、昭和54年9月…』
少し緊張した面持ちで文字を書く真由香の指先を、天城蒼雲…矢崎は見つめていた。
白くて綺麗な指である。主婦らしく、爪は短く、マニキュアもしていない。
ピンクのノースリーブ。細いが、二の腕にはポッチャリと脂肪がつき、
人妻の色香を仄かに漂わせている。
ハーフパンツの膝と膝を、しっかり閉じている座り方が、真由香のつつましさを表していた。
「佐々木真由香さんですね。」
矢崎は紙を受け取ると、あまり興味なさそうな顔でそれをテーブルに置き、
「私の目を見てください。」と真由香に言った。
真由香は視線を男に合わせた。射抜くような瞳に、なぜか真由香は一瞬恐怖を覚えた。
(霊媒鑑定とかする人は、皆こういう目つきなのかも知れない)と、真由香は自らを納得させる。
「奥さんは真面目な方ですねえ。」
指輪に気づいたのだな、と真由香は思ったが、確かに自分は真面目すぎる、とよく言われる。
「真面目すぎるくらいですよ。」
まさに自分の考えたことが見透かされた気がして、真由香は目を丸くする。
「少し失礼しますね。」
矢崎はそう言うと、真由香の右肩にふいに右手を乗せた。
矢崎と真由香が、初めて触れ合った瞬間である。
「ご結婚以前は、色々と夢も持っていらっしゃいましたね。」
元々真由香が、夫の勤める広告代理店に就職したのも、クリエイティブな仕事で独立したい、
という夢があったからだ。会って間もないのに、霊媒鑑定というのはすごいと
真由香は素直に感服した。ただ一方で、自分の肩に乗せた、じとっとする男の手の平に、
女の勘だろうか、妙な不快感も感じていた。
「読書好きですなぁ。ミステリーなんかお好きでしょう?」
あまりに的確に、自分の嗜好まで見抜かれたことに驚き、つい真由香は答えてしまう。
「ええっ?すごいですね。アガサ・クリスティとか、好きです。」
「失礼。」
矢崎はごく自然に、今度は真由香の右手を握る。
(こうして触れることで、色んなものが見えるのかな)
真由香はようやく納得した。
矢崎は真由香の手の感触を味わっていた。柔らかい手だ。
29才の、子どもを一人産んだ人妻の手は、意外に小さく、可愛らしさすら感じられた。
少し汗ばんでいるようだ。真由香の体温が伝わる。
(いつか、あんたのオ○ンコに、たっぷり俺の物を馴染ませてやるからな。)
胸の中の、獣じみた情欲を、表情には露ほど見せず、矢崎は微笑みながら続ける。
「貴女は非常に家族思いで、優しい心根を持ってらっしゃる。
 この先も幸せな家庭を築かれていかれると思うのですが、、」
そこまで話して、矢崎は言葉を濁した。
真由香は、男の表情が曇ったことに不安が広がった。
「、、あの、何か、悪い事でも、、?」
「貴女よりも、貴女の旦那さん、ですがねぇ。」
「主人が?」
真由香の動揺が手の平を通して伝わる。
「失礼ですが、最近、ご夫婦の営みはお変わりありませんか?」
予想外の質問に、真由香は顔を赤らめる。しかし、夫の事が心配になり、すぐに冷静に考えた。
そういえば、ここ最近夫は求めてこない。真由香は最後に夫と愛し合った日を思い出した。
あれはまだ6月だった。確かに夫としばらく愛し合っていなかった。
「少し、間隔が空いている気がします…。」
恥ずかしいので、真由香はうつむいて答えた。
その時、テーブルに置いてあった矢崎の携帯が鳴った。
「もしもし、あ、どうも。」
男が手を握ったままだったので、真由香はすっと手を離す。
「そうですか、わかりました。今から伺います。」
矢崎は電話を切ると、
「佐々木さん、すみません。ちょっと急用が出来てしまいました。
 もし、何でしたら、この続きは次回にさせて頂きます。」
真由香は、一瞬どうしたものか、躊躇する。
「今日のお話の続き、奥さんもお気になさると思いますので。
 名刺渡しておきますので、いつでもお電話ください。」
真由香は、何か言おうとしたが、強引に渡されるまま、名刺を受け取った。
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