妻と男の物語


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凌辱の森から

[1834] 凌辱の森から リーフ 投稿日:2007/04/12 (木) 21:46
優希は日課にしているウォーキングに出掛けようとしていた。
夫である義明と結婚してまだ2ヵ月…
義明の実家からそれほど遠くない所に、アパートを借りて二人の新居にした。
近所には散歩コースとして整備された森や、幼稚園・学校などもあり、
子供の笑い声以外はほとんど耳に入らない静かな環境だった。

ウォーキングシューズの紐を結び、優希はいつも通り森を目指して歩き始める。
幼稚園の前を通ると、普段は子供達の賑やかな声…
結婚を機に退職したが、つい最近まで保育士をしていた優希には、
自分が関わってきた子供達を思い出し、楽しい過去を振り返る事ができる、
とても心地好い場所だった。
今は夏休みだろうか、園庭で遊ぶ子供達の姿は見られなかった。

少し歩き森に一歩入ると、なんだか外の空気と変わるような気がする。
優希が入って来た側には車道があり、通行量も結構ある為雑音も聞こえるが、
一歩足を踏み入れると野鳥の鳴き声や、枝の折れる音…
木の実が落ちる音まで聞こえるような、静寂の空間だった。
優希はこの森の雰囲気が大好きで、心がリフレッシュされるような気がしていた。
癒しの場所…
優希はまだ、森の表の顔しか見ていなかった…

森が整備されたのは10年ほど前…
それまでも散歩をする人はいたものの、現在より鬱蒼としていた森は、
昼間でもあまり陽射しが届かず暗い場所だった。
あまり近づく人もいない為、木陰で野外セックスに興じる若いカップルなども時折いた。
もちろん、カップルが愛を確かめ合う分には、
「野外」という文字を除けば特に問題の無い事だが…
この鬱蒼とした森は、愛ではなく欲望を満たす為に女が餌食になる、温床だった。
下校中の小学生が悪戯される事が頻繁にあり、中学生が犯された事件もあった。
拉致された女が車で連れて来られ、輪姦される事件も数回…
犯人は様々だった。
外国人や近くに居ついている浮浪者達、若い不良グループ…

綺麗に整備され、散歩コースになってからは、
人通りも増えそういった犯罪が頻発する事は無くなったが…
それでも年に数回は、人知れず餌食になっている女がいた…

そんな裏の顔を知らない優希は、今日も森の中を鼻歌まじりに歩いていた。
30分ほど奥に歩いて行くと、東屋があり飲み物の自販機が設置されている。
優希はこの場所を休憩地点に決めていた。

木製のベンチに腰を降ろし汗を拭う。
真夏でも森の中はひんやりした気持ちの良い風がそよいでいた。
小銭を取出し冷たいお茶を買うと、優希は喉を潤す。
ベンチや周りの壁には、近所の中学生だろうか…卑猥な落書きが沢山書いてある。
優希はそういったモラルの無い悪戯が嫌いなのだが、いつも目を閉じて静かな空間だけを味わう事にしていた。
しばらく目を瞑っていると足音が聞こえる。
優希は目を開けてみた。
中学生くらいだろうか…メガネを掛けた細身の男の子だった。
優希がまた目を閉じようとした時、
「あの、すいません…」
男の子は声を掛けてきた。
髪は黒く真面目そうな印象…そして何より人なつっこい笑顔が優希の警戒心を解いた。
『なに?』
思わず笑顔で返していた。
少年は申し訳無さそうに、財布を忘れてしまったのだが、喉が渇いて仕方がなく、
必ず返すから小銭を貸して欲しい…
と優希に頼んで来た。

大人だったら怪しみもするが、相手は少年…
優希は警戒する事無く微笑んで、小銭を差し出してやった。
『いいよ。返さなくて。お姉さんお金持ちだから。』そんな冗談を言いながらも、(30歳になってお姉さんは図々しいか…)と心の中で呟いてしまった。

少年は嬉しそうに頭を下げると、飲み物を買い優希と少し間を開けた隣に座った。
何故か少年とは話が盛り上がった。
学校の話やスポーツの話…
少年は「ヒロト」と名乗った。
優希には同じくらいの弟がいた事もあり、だいぶ親近感が涌いていた。

ヒロトも夏休みの間だけだが、優希と同じようにこの森でランニングをしているらしい…
「俺、お姉さんの事毎日見かけてましたよ。綺麗な人だなぁって。」
ヒロトは俯きながらそう言った。
「もう。お世辞はやめてよ。ジュースおごったくらいで…」
優希はそう返しながら、お互いに笑い合っていた。
また時間が合ったら話でもしよう、と約束しその日は別れたのだった。

翌日、優希が例の東屋で休んでいると、ヒロトはまた現われた。
不思議な事に、それから毎日のように優希の前にヒロトは現われ、
他愛もない話をしながらも、束の間の楽しい時間を過ごすのだった。
引っ越して来て間もない優希にとっては、
友達もいないこの土地で初めて親しくした他人と言えるのかも知れない…
相手が少年という事もあり、優希の警戒心は解除されていた。
携帯のアドレスを交換し、時々だがメールをするようになった。
内容はたいていヒロトの恋愛話…
優希にしてみれば弟とメールを交わすような感覚でもあった。

そうしているうちに、ヒロトと出会って2週間が過ぎ、8月も半ばになっていた。
この数日、優希はヒロトと会っていなかった。
向こうからメールが来なければ、こちらからする事はない。
夕方、ヒロトからメールが来た。
大事な相談をしたいから、明日の夕方会えないか…
という内容だった。
優希にはピンと来る事があった。
夏休みも終わりに近付き、意中の女の子に告白でもしたいのだろう…
優希は普段ウォーキングに行く時間に、会う約束をした。
翌日…
優希はいつも通りウォーキングをし、汗を拭いながら東屋のベンチに腰かけた。
今日はかなりの暑さだ…
優希はヒロトの分も飲み物を買い、自分の分を口にした。
拭いても拭いても汗が流れてくる…
そんな猛暑でも、この森の中は目を瞑れば、
静寂に包まれた癒しの空間だった…

しばらく瞑想に浸っていると、いきなり携帯が鳴った。
ヒロトからのメール…
東屋の少し先にいるから来て欲しい、という事だった。
優希は暑さにため息を吐きながらも、飲み物を手に立ち上がった。

ほんの少し歩くと、綺麗に整備された大きめの公衆トイレがある。
ヒロトの姿はその入り口あたりにあった。

「やだ…おしっこしながらメールしてたの…?」
そう考え、苦笑しながら優希は近づいて行った。

ヒロトは手招きをしながらトイレの裏の方へ歩いていた。
優希は汗が流れるのを感じながら、急ぎ足でヒロトの所へ向かう。

ヒロトは立ち止まり、優希の方を向いた。
「優希さん、来てくれてありがと…」
そう言うヒロトに、
「ううん…」
そう返そうとする優希の口は、いきなり塞がれた。
何がなんだかわからない優希の口を、大きな手が塞ぎ…両手足も押さえられている。
一人や二人の力では無い、全く抵抗できない優希の目に、
ニコッと微笑むヒロトの笑顔が映っていた…
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