妻と男の物語


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私の足元で…56

[Res: 2092] 私の足元で…56 わくわく 投稿日:2007/07/10 (火) 12:31

ふたりは、八千代の家に着きます。
八千代の両親は一緒に働いていて、まだ帰って来ていません。
「ビールでも飲もっか?」
「えっ?」
「いいじゃん。
今日は、家に泊まりナヨ。
叔母さんには、私が電話入れるからサ」
「…」
「どうしたの?
まさか、明日デート?」
「うん」
「誰と?」
「…」
「桜井さんと?」
「うん」
「ねえ、早紀…。
早紀のことだから、私がデートするなとは言えないヨ。
でもさ、考えてミ?
早紀は今、なおに対して酷いことをしているんだよ。
デートするにしても、きちんとしてからにしたら?」
「うん…」
「断れない?」
「…」
煮え切らない早紀です。

実を言うと、八千代はそれほど恋愛経験が多くはありません。
落ち着いているように見えますが、それは経験が豊富だから、と言うわけではないのです。
男性経験も前の彼一人ですし、SEXで逝くなどトンでもない話で、挿入で気持ちが良いと感じたこともありません。
精神的な満足感は、ありますが…。
そんな感じで身体はまだ未開発で、八千代自身未知の部分が多いのです。
でも、先輩達の恋愛への不安や不満、逆に良いところを聞くに付け色々な知識を身につけたと言って良いのです。
早い話、耳年増です。
心理学にも興味があり本を読んでいますから、彼女の分析は時として的を得ることもあります。

彼女は考えます。
(どうして早紀は、なおがいるのに桜井に走ってしまったのだろう。
確かになおは酒の飲み方を知らず、少々の粗相はするけれど、それとて早紀に暴力を振るったわけではない。
電車の中で人を睨んだことなど、決定的な問題には思えないけれど…。
それなのに桜井と関係して、一度で止められないのだから、何かがあるのだろう…)

こう言う場合は、今の早紀の行動を頭ごなしに反対しても、反発からなお更悪い方向に走ってしまう恐れがあります。
早紀は今、高熱を出したような状態にあり、きっと熱が冷めたら自分のしていることの浅はかさに気付くはずです。
それには、桜井のことを一方的に悪く批判するのを避けなければなりません。
「良いよ…。
早紀が明日、桜井さんに会いたいって言うなら。
無理には引き止めない。
どうする?
帰る?」
「分った…。
話、聞いてくれる?
桜井さんには、後で電話するから。
いつもごめんね…」

話は、決まりました。
八千代は冷蔵庫のビールを取り出し、グラスを用意します。
運ぶ間瓶が揺れたせいでしょう、注いだビールがグラスから勢い良く溢れ出ます。
八千代は、おっとっととおやじのような仕草でグラスに口をもって行き泡を舐めます。
それを見て笑う早紀です。
早紀の緊張感を和らげるための、八千代の演出です。


まずは、体格から聞いてみました。
「180cmあるの…」
確かに高い方ですが、驚くほどではありません。
「大学の頃、ラクビーやってたの」
ああ、逞しいんだ。
と言うことは、スタミナもあるのかな…。

酔って気が緩んだのか、早紀はあの夜のことを思い出しながら話し始めます。

3人で新宿で飲み、終電車がなくなった桜井を私のアパートに泊めたこと。
まだ飲み足らないと、駅前のコンビニで酒を買って部屋で飲みなおしたこと。
そして私ひとりがつぶれて、先に寝てしまったこと。
私が寝た後は、桜井とふたりで学校のことや会社のことを話したり、私の仕事ぶりなどをおもしろおかしく聞かせてもらったこと。
最初は、そんななんでもないやり取りだったけれど、綺麗だとか可愛い、私の彼女じゃなければ付き合いたいと言われ、嬉しかったこと。
そしてキスしたいと言われ、始めは考えたけれど、嫌いな人じゃないからそれくらいなら良いかなあと許してしまったこと。
座ってキスするものとばかり思っていたら、私が急に目を覚ましそんなところを見られたら大変だからと、横にされ覆いかぶるようにしてキスされたこと。
そのキスが、私よりずっと上手で、早紀も感じて来て自分の意思で舌を絡めてしまったこと。
近くには私が寝ていて、私に悪いことをしている、目を覚ましたらどうしようと言うドキドキ感があり、それが逆に凄く感じてしまったこと。
私への背徳心より、桜井のキスの上手さが優り夢中で舌を合わせている時に、桜井の手が胸に伸びて来たこと。
それは触るとか揉むと言うことではなく、あてがうだけだったので許してしまったこと。

などなど、途中私が目を覚まし、酔いながらもしっかり見ていた様子と同じことを話します。
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