妻と男の物語


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潜在意識4

[2075] 潜在意識4 未熟者 投稿日:2007/07/01 (日) 22:26
山田孝は27歳で独身だ。以前は付き合って
いた彼女がいたが一年で別れた。別れたという
より振られたのだ。
顔立ちは悪くはないが女性にとって頼りないところが
あり、年齢的にも結婚を考える女性が多く、その
頼りなさが原因で長続きしないのだ。
付き合う彼女がいなくなってからは
仕事を終えるとほとんど毎日寄り道せず、
1DKのアパートに帰っている。
コンビニで買った弁当とビールで夕食
を済ませた山田はいつもより早い時間に
パソコンのスイッチを入れ、ネット検索
した。
たかし 男 47 既婚 噂を聞いてここへ来た人。初めての方
歓迎。お互いの悩みを話しあいませんか。
40室ある部屋のうち3室だけが空いていた。
どの待機メッセージも露骨なもので、
セックスレスで干上がってる
中年の主婦を誘う内容ばかりだ。
山田は年齢を47とし、共通の悩みを
持つ者のとして既婚とした。
こういうチャットに慣れていない
女性が入りやすいようメッセージ
もソフトにした。
部屋を確保した山田はメッセージに誘われて
入室してくる女性がいたとしてもこんな時間帯
は家族がいるからあり得ないことを知っている。
「あと2時間は待たないと」
いつもこうして入室を待つ山田だが、
今回はいつも以上に胸がざわついた。
入浴を済ませ、冷蔵庫からビールを取り
出すと、パソコンの画面を覗き込んだ。
山田の部屋には誰も入室した様子は無かった。
ほかの部屋も入室になっていない。
「11時くらいだな」
山田はテレビのバラエティー番組を見ながら
時間待ちをした。
コマーシャルになったので、パソコン画面を覗く。
美奈 女 こんばんは
入室者がいた。
たかし 男 こんばんは
たかし 男 よろしく
美奈  女 よろしく
山田は美奈というハンドルネームに疑いを抱いて
いたが、会話をしてみることにした。
たかし 男 どんな悩みがあるの?
美奈  女 レスなの
彼女との会話は15分くらい続いたが、山田は
彼女を退室させた。
「ネカマだな、こいつ」
バラエティー番組が終わった。
「10時か、そろそろだな」
山田はパソコン画面に見入っていた。
Y美  女 こんばんは
二人目の入室者だ。
年齢を聞きだすと24歳という。結婚して2年目らしい。
やはりレスだという。だんなが浮気をしているようだ。
実際どこまでほんとなのか、ネカマではなさそうだが、
若い女とのチャットにはあまり興味がない。
長く続けると本命を取り逃がすかもしれない。
山田は適当なところで電話が掛かってきたといって
会話を切り上げた。
「おつかれさま。無事1日が過ごせました」
富士子は一隆にメールを送った。
「さっき帰ったところ。さっさと寝ます」
一隆からの返信がきた。
富士子は携帯の電源を切った。
いつもは一隆から緊急の連絡があった場合に
備えて電源を切ることはしないが、
今日は敢えて切った。
いつもはメールを送ったあとは寝室で本を
読んで、そのまま眠りにつく富士子だが、
1階のリビングへ降りて行った。
子供部屋の明かりは消えていた。
富士子の胸は少し高鳴っていた。
妻として、母として後ろめたさがあった。
リビングの壁際にあるパソコンのスイッチを
入れた。青白い光が富士子の姿を浮かび上がらせる。
ウェブ検索打ち込んだ。
目的のページは一番上にあった。
クリックすると入室を誘うメッセージが四角い
表の中に書き込んである。
富士子はためらった。
「なにこれ」
最初に目に飛び込んだメッセージは
「レスで眠れないあなた、気持ちよいオナニーしませんか」
いかがわしいものだとは思っていた。
それでも、もしかしたらという気持ちで覗いてみたのだ。
画面をスクロールしてみた。
中年おやじ 男 50 既婚 ここならなんでも話せます。
富士子は入室した。
富士子 女 42 既婚
チャットは初めての富士子は名前も年も偽らずに入室
した。
富士子 女 入室されました。
中年おやじ 男 こんばんわ
すぐに相手からメッセージが来た。
富士子 女   こんばんわ
中年おやじ 男 50歳のセックスレスに悩む中年おやじです。
        よろしく。
富士子   女 42歳、兼業主婦です。よろしくお願いします。
簡単な自己紹介から始まった二人の会話は
次第に富士子の実像に迫る会話に変化していった。
中年おやじ 男 仕事をされているんですか。だんなさんは単身赴任、
        そのあたりに悩みの元がありそうですね。
ソフトにじわりじわりとプライベートな質問をする。
富士子   女  実は、完全にそうなっているわけではありませんが
相手の誠実さが文面から伝わってくる。富士子は打ち明けはじめた。
中年おやじ 男 3度もですか。それも途中でだめになる。
相手の男は自分の状況を全てさらけ出し、
富士子の場合と当てはめてみた。
自分たち夫婦がレスになったのは妻に問題があったという。
相手の妻は行為中はいわゆるマグロだったという。
年とともに容姿も衰え、なおかつマグロでは男は燃えない。
富士子   女 42歳 マグロって?
手短に相手は言葉の意味を説明した。
中年おやじ 男 富士子さんはマグロだと思わないけど、良ければ
        どんな状態なのか具体的に聞いてもいいかな?
富士子は原因が自分にあるのではと悩んでいた。
聞きたいと思ってることを相手がうまくリードして聞きだして
くれるので、「はい」と答えた。
山田の部屋の入室待ち状態は1時間になろうとしている。
「11時30分か、だめだな」
山田は部屋を閉じた。入室待ちの一覧画面に戻った。
入室中になっているのは40部屋のうち3室だけだ。
中年おやじ 男 ストレートな聞き方になるけど、嫌だったら答えなくてもいいよ。
かれからの会話はろ露骨な言葉が出てくる。
相手の男は無理強いしない意思を富士子に伝えた。
中年おやじ 男 だんなさんとセックスするときフェラはしてるのかな?
富士子はためらった。相談したいことの理由が理由だけに
有る程度は覚悟していたが、文字とはいえ
返事を打ち返すことにとまどった。
少し間が空いたため、相手の男は「無理しなくていいんですよ」
気遣いの言葉送られてくる。
富士子   女 してます
富士子は正直に答えることにした。
相手も心を開いて正直に答える富士子に「答えてくれてありがとう」と返した。
次の質問を待つ富士子の心臓は高鳴り始めていた。
3分たった、相手からの質問が来ない。
5分過ぎた。
富士子   女 どうしました?何かありましたか?
5分待ったが返答がない。
退室ボタンを押すと、待ちうけ画面に変わった。富士子のいた
部屋は入室状態になっている。
「なぜかしら」
諦めてホームページを閉じた。
(つづく)
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