妻と男の物語


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悪魔のささやき14

[4849] 悪魔のささやき14 ナオト 投稿日:2008/10/06 (月) 18:43

「ところで真由香ちゃんは出身はどこなの?」
真由香と大田の様子を嬉しそうに見ていた矢崎が声をかけた。
真由香は一瞬迷ったが、金沢であることを告げるとふたりは顔色を変え、今まで以上に馴れ馴れしくなった。
金沢のどの辺り?とか、あそこの店知ってる?とか、懐かしい話題を振ってくる。

真由香も故郷の話になるといくらか気持ちが和む。酔いも手伝ってさっきまでの不快な気分も少しは回復していった。
たまたま何かの会合で知り合った大田と矢崎は、同郷ということもあり、その後矢崎が色んなアドバイスを送るようになったのだと言う。
大田までが金沢出身というのは驚きだったが、同郷のよしみで今日は楽しくやりましょうよ、と言う二人の言葉に、真由香の警戒感もいくらか緩和された。
料理の味も少しは分かるようになってきた頃、矢崎が突然、高いダミ声で言った。

「ゲームでもしようか?」
「ええ?どんなゲーム?」ルミという女がすかさず問いかける。
「しりとり。」と言った矢崎に向かって大田は、おいおいいい年してしりとりはないだろう。
と呆れた笑顔で返す。
「そうよ、つまんない。王様ゲームにしようよ。」ルミも口を尖らせて言うと、矢崎はただのしりとりじゃない、と言って、
「下ネタ言葉しりとり!」と真由香の顔を見ながら言うのだった。

「そりゃ、面白い!」「さすが先生だわぁ」歓声をあげる二人とは対照的に、真由香は眉をひそめて表情を曇らせた。
矢崎の事務所で、下ネタも苦手でしょ?と言われたことを思い出した。これもカウンセリングなのか。困った。
「答えにつまったら、罰ゲームだね。」直前の人の言うことを聞く、いいね?
「賛成!」大の大人がまるで中学生の餓鬼さながらに盛り上がっていく。

それじゃ、まずは僕から、と矢崎が得意げに先陣を切った。
「フェラチオ!」
高級中華料理店であることを忘れたかのような、聞くに堪えない矢崎の発した卑語に真由香は身体が凍りつくようだった。次の番は真由香である。
「お、だよ。真由香ちゃん。」大田が耳元で嬉しそうに言う。
頭が真っ白だ。だいたい下ネタなんて何も出てこない。
「お、なんて一番いっぱいあるじゃない、ふふふ。」ルミがいやらしく笑いながらせきたてる。

真由香は必死に考える。お、お、、。ふいに大田が真由香の耳元に囁いてきた。とたんに真由香はさーっと血の気が引く。
もちろん真由香もそれくらいの言葉は知っているが、今まで口にしたこともないし、真由香の周りにもそんな下劣な言葉を発する人間はいなかった。
大田が囁いた「おま○こ」などという卑語は死んでも言いたくない。
「さん、にい、いち、、」矢崎がカウントダウンするギリギリのところで、
「お、おっぱい」と何とか真由香は口にした。しかし、安心したのもつかの間だった。

「陰核」→「クリトリス」と来て、今度は矢崎が「スペルマ」と振ってくる。
「ま、、」この手のボキャブラリーが真由香に豊富な訳がない。だいたい、「いんかく」の意味すらよく分からなかった。
再び待ってましたとばかり、大田は横から教えるのである。
さっきの四文字の卑語から一文字抜いただけの「ま○こ」。どこまで品のない男なのか。
頭をめぐらすが、ついに浮かんでこない。

「ブーッ!はい、時間切れ~。罰ゲームは僕からだよね。」矢崎が満面の笑みで少しの沈黙の後、
「左側の人にキス!」と言い、真由香が引きつる。
「うっひょー!」大田がとても五十過ぎの男とは思えないような奇声をあげて喜んだ。真由香の左は大田である。
「おーまかせ!おーまかせ!」高級中華料理店の個室にありえない掛け声が響いた。
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