妻と男の物語


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思い出の中の男(1)

[955] 思い出の中の男(1) 雨ちゅあ ◆wlX16g 投稿日:2005/05/13(Fri) 18:46
短編小説『思い出の中の男(ひと)』 作者:雨ちゅあ

主な登場人物  ※当然ですがこの作品はフィクションです。実在の人物や団体等とは一切関係がありません。

中村正博 30歳 会社員 
 一流大学卒のエリート会社員であるが要領が悪い。会社の中でも将来を嘱望されている一方で、面倒な役割を押し付けられることも多い。身長173cm、体重65kg。綾香と二人暮らしで子供はいない。非常に嫉妬深く、内弁慶の外地蔵。A型

中村綾香 28歳 主婦
 正博自慢の妻でもあり、不安の妻でもある。顔は幼くかわいらしいが、体は身長以外はモデル並み。そのうえ愛想がいいため、男性からの人気は高かった。身長155cm、体重47kg、B93のFカップの爆乳、W55、H85。O型

瀬川亮 28歳
 身長180cm、体重76kg。容姿は筋肉質のガッチリ型でおまけに美形である。B型


第一話 見知らぬ妻

「それで? 結局、お前は俺を騙していたっていうことだな?」
「だって…・・・」
「だっても糞もない。お前はあの時、『お世話になった小学校時代の恩師が倒れた』って言ったよな?」
「それは・・・・・・」
「こいつがお前の恩師か? どう見たって俺らと同じくらいの元気な男だよな?」
「・・・・・・ごめんなさい。嘘ついていました。本当は高校時代の同窓会に・・・・・・」
「どうしてたかが同窓会に行くのにそんな嘘つかなきゃならないんだよ! お前まだ嘘ついているだろ? 浮気なんだな?」
「違う! 本当に同窓会で・・・・・・この人は関係ない」
「その割には随分とまあ、仲が良さそうじゃないの。肩なんか抱かれてツーショット写真だなんて。誰なんだよ、こいつは」
「・・・・・・・・・」
「誰なんだ?」
「本当に同窓会なの・・・・・・この人は当時の同級生で・・・・・・」
「はぁ・・・・・・お前ねぇ、嘘をつくならもっとマシな嘘をつけよ。同窓会じゃないんだろ?」
「本当なんだってば! 貴方、私のことを全然信じていないじゃない! さっきから一方的に決め付けて!」
「俺は騙されたんだぞ、お前、自分のことを棚に上げて逆切れするんじゃないよ!」
「あ、そう・・・・・・どうしても信じてくれないならいい。今から証拠を見せてあげるから」

 そう言って綾香は二階へ行き、高校時代の卒業アルバムやら何やらを持ってきた。

「ほら、これが証拠。見られちゃったし、隠しても仕方が無いから、あの日に撮った写真も全部見せてあげる」
「何だよ、いきなり・・・・・・」
「ちゃんと見てよ! 貴方が私を疑ったんでしょ。ほら、ここに写っているこの子、同じところにホクロあるでしょ。それでこれが例の彼。
 まあ、何年も経っているから顔とか変わっちゃっている子もいるけど・・・・・・これでも信じられない?」

 綾香は自分が俺を騙したということを忘れているかのように、勝ち誇ったような感じで俺に卒業アルバムを突きつけた。
俺も仕方なく卒業アルバムと写真を見比べる。確かに女は様子が変わってしまったのが多いようだが、男なんぞは当時とほとんど変わっていない奴もいる。
 俺はしばらく卒業アルバムと写真とを見比べていたが、そのうち俺は重大なことに気がついた。

「おい・・・・・・お前、これは何のマネだ? わざと俺を怒らせようとしているのか?」
「何が?」
「お前、ここに写っている瀬川とかいう奴がさっきのお前と一緒に写っている写真の男だと言ったよな?」
「そうだけど・・・・・・」
「ほら、これを見てみろ。お前、やっぱり瀬川っていう奴と何かあったんだろ? 違うか?」

 俺はアルバムを綾香に突き返す。そこには体育祭の時の写真だろうか、瀬川に抱きついて満面の笑みを浮かべている女たちがいたが、その中には綾香の姿もあった。満足そうにカメラに向かってピースなんぞしやがって・・・・・・。

「お前、こいつとどういう関係なんだよ? お前、俺と結婚する時に昔の・・・・・・」
「全部言った! もうそのことはやめてくれる?」
「じゃあ、何なんだよ、こいつは。ただの同級生じゃないんだろ? 付き合っていたんだろ? どこまでやったんだよ?」
「あー、もううるさい、うるさい、うるさい! 私は、貴方のそういうところが大嫌いなのよ! いつも嫉妬ばかりして! 男の嫉妬って本当に情けない!」
「お前がいつも俺に隠し事をするからだろうが! この件だってな・・・・・・」
「じゃあ、貴方は私が同窓会行くって言ったら許してくれたの? 気持ちよく送り出してくれた? どうせ男の出席人数とか根堀り葉掘り聞き出そうとしたでしょ? 嘘でもつかなきゃ、同窓会さえ行けないじゃない!」
「俺はただお前が心配で・・・・・・」
「そんな心配なんか大きなお世話! 本当に度量が狭いのね、貴方って。あーあ、貴方となんかじゃなくて、瀬川君と結婚していれば良かった」
「何だと?」
「瀬川君は貴方なんかと違ったわ。かっこ良くて、スポーツマンで、爽やかで優しくて、女の子にもモテていたし、友達もたくさんいた。それにそこそこ頭も良かったしね」
「俺よりもかよ?」
「ふっ・・・・・・」
「鼻で笑っていないではっきり言ったらどうだ」
「確かに、貴方よりは頭は良いとは言えないかもしれないけど。でもそこそこ勉強もできていた方だったし、他の点では貴方なんか比較にならないわ。貴方は頭が良くても所詮サラリーマンだし、それに引き換え、『彼』は若くして実業家、悠々自適の生活らしいわ。奥さんになる人がうらやましい・・・。『彼』まだ独身なんだって・・・・・・もったいないよね」

 その時、俺の中で何かがぶち切れた。

「おう、そうかよ。だったらお前、今すぐ出て行ってそいつと結婚し直せばいいだろうが!」
「嫌よ、何で私が出て行かなきゃならないわけ? ともかく、離婚するならさっさと市役所行って離婚届でももらって来て。それと、今日は別の部屋で寝てね。貴方みたいな嫉妬狂いと一緒に寝るのは嫌だから」
「うるさい! 言われなくてもそうしてやる!」

 その夜、俺は客間に布団を敷いて一人で寝た。
布団に転がってから、何だか自分が情けなくなってくる。
綾香に瀬川と比較されて色々言われたことだけじゃない。確かに俺は学歴以外とりえのない、しがないサラリーマンだ。
 反面、綾香は年齢よりもずっと若く見え、その割には胸はでかいし、全体的なスタイルも身長が低いことを除けばモデル並みだった。
さっきは派手に怒っていたが、普段は明るく、この世には悪い男がいないとでも思うかのように愛想が良かった。
 だからこそ綾香は結構もてていたようだし、俺が綾香と結婚すると決まった時、嫉妬も含めてどれだけ悪口を言われたか分からない。
綾香は綾香で結婚が決まってからもプロポーズをしてくる奴もいるくらいで、相変わらず人気があった。

 しかし、嫉妬されていた俺がやがて嫉妬する側に回り、昔からの心配症も手伝って、いつの間にか、いわゆる「嫉妬狂い」にまでなっていた。
今までも何度か綾香と昔の男のことで喧嘩したし、結局綾香に強く迫って昔の男のことは全部吐き出させ、写真まで燃やさせてしまった。

 しかし、瀬川という男のことはなおも内緒にしていたくらいだ。きっとかなり深い仲にあったのだろう。
悔しいが俺は自分でも認めるほど嫉妬深い。騙したことは許せなかったが、綾香を全く信じようとしなかったのも事実だ。

「あの調子だと本当に離婚かもな・・・・・・」

 付き合っていた頃の綾香の笑顔、綾香が何度もナンパされそうになってその度に焦ったこと・・・・・・色々なことが蘇って来る。
しかし、その笑顔の裏で、瀬川のことをずっと想い続けていたんだろうか・・・・・・。
考えれば考えるほど腹が立ってくるが、どうにも収まりがつかない。
俺は久しぶりにネットに繋ぎ、浮気だの不倫だのというキーワードを打ち込みながらサイトを巡った。

 次の日の朝・・・・・・

「なぁ・・・・・・」「ねぇ・・・・・・」

 思わず同時に話を切り出してしまった。

「昨日は俺が悪かった。お前のこと全然信じていなくて、またいつもの癖が出ちゃって・・・・・・」
「もういい・・・・・・私も悪かったんだし・・・・・・つい離婚だなんて言っちゃって・・・・・・」

 しばらく沈黙が続いた。時計の針の音だけが聞こえる。今までも喧嘩したことはあったが、今回はいつもよりずっと気まずい雰囲気だ。沈黙を破ったのは綾香の方だった。

「でも、瀬川君とは本当に何でもなかったの。あの写真も真由美がふざけて無理やりくっつけたようなものだし・・・・・・」

 正直言って、今は瀬川のことを話題にしてもらいたくなかった。
 真由美さんは綾香の高校時代の友人で、結婚式の時にも色々とお世話になった人だ。真由美さんの旦那は俺と同じサークルの友人だったから、夫婦同士でも付き合いがあった。
 その真由美さんまでもが、俺が見たら誤解するような写真を撮るだなんて・・・・・・つくづく俺って軽く見られているんだと思う。
それにしても、一体瀬川という男は何者なんだ?

「まだ疑っている?」

 難しい表情でもしていたのだろうか・・・・・・綾香が俺の顔を覗き込むようにして見た。
 確かに表面上では俺たちはお互いに謝った。今はぎくしゃくしているが、今までの喧嘩からしても数日も経てばまた元に戻るかもしれない。
だが俺の心のどこかで瀬川という男の存在はもやもやとして残りそうだったし、綾香にしても瀬川と何があったのかは分からないが、忘れられない何かがあるのだろう。

「何か言いたいことがあるなら言って。なんかそうやって黙り込まれるのって・・・・・・」
「なぁ・・・・・・瀬川とお前って・・・・・・付き合っていたのか?」
「違う、ただ憧れていただけ。瀬川君は人気あったしね。競争率が高すぎて、私にとっては手の届かない人だった・・・・・・」

 綾香はさらっと言ったつもりだったのだろうが、それが余計に俺の嫉妬心に火をつけた。
何とか怒りを抑えながら、俺は居間に置かれたままの卒業アルバムをまた開いた。そしてこっそりメモをとる。
 ・・・・・・それから、その日はいつも通りに会社に行った。

 帰宅後、綾香は同じベットで寝てくれたものの、ずっと俺には背を向けたままだった。
明日は土曜日で俺も休みだ。綾香はお義母さんと買い物をするらしい。
 俺は綾香が出かけたのを見計らって、いちかばちか電話をかけた。卒業アルバムにあった瀬川の電話番号に・・・・・・。

(続く) 
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