妻と男の物語


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思い出の中の男(5)

[966] 思い出の中の男(5) 雨ちゅあ ◆wlX16g 投稿日:2005/05/18(Wed) 20:41
第五話 反撃開始

 夜が明けて、俺が居間に行った時には既に綾香も瀬川も起きていたようだ。
綾香は朝飯の準備をしながら、瀬川と楽しそうに話していた。
 瀬川は俺が起きてきたことに気がつくと、まるで親しい友人にでもするように、馴れ馴れしく手を挙げて「よぉ!」と言った。俺は瀬川を無視してソファーに座った。

「あ、貴方、おはよう・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「おいおい、綾香さんが挨拶しているのに無視するなよ。朝っぱらから暗い奴だな。それにしても綾香さん、昨日は燃えましたねー」
「瀬川君、それはちょっと・・・・・・」
「いいじゃないですか。こいつも何していたか気になるだろうし、俺らが何していたのか教えてやりましょうよ」
「うるさい、今は食事中だ。お前の話なんぞ聞きたくもない」
「いやー、綾香さんって昔も巨乳だったけど、今はますます巨乳でしたよ。もう色といい形といい、本当に美しい。こんなに美人な綾香さんが、盗聴魔の中村正博君なんかにはもったいないですよ」
「ちょっと瀬川君、巨乳だなんて・・・・・・」
「おい、お前、調子に乗っているんじゃないぞ。何が盗聴魔だ。ふざけたことばかり言いやがって」
「やだねー、開き直っちゃって。本当は俺たちのことが気になって仕方がなかったんでしょ。・・・・・・聞いて下さいよ、綾香さん、こいつ俺たちがしているのを盗聴していたんですよ」
「お前、殴られたいのか!」
「やだやだ、俺は事実を述べただけなのに、カッカしちゃって。俺が夜中に便所行く時に見たんだよ。隣の部屋で壁にもたれかかりながらだらしなく寝ているアンタをな」

 どうやら本当に見られてしまったようだ。俺は本当に瀬川を殴ってやりたいほどの怒りにかられたが、事実を指摘されて殴ってしまうようなら負けを認めたのと同じだ。俺はいたたまれなくなって、朝飯を中断し、思わず表に飛び出してしまった。
 背後で綾香が俺を呼び止めるような声が聞こえるが、俺は聞こえないふりをした。
 くそっ・・・・・・ふざけやがって! 俺は無意味にも塀を蹴って怒りを鎮めようとした。だが怒りは鎮まらない。

「貴方・・・・・・」
「・・・・・・・・・綾香か」
「その・・・・・・まだご飯が途中で・・・・・・その、ほら、片付かないし・・・・・・」
「すぐに戻る。先に入っていろ」
「ごめんなさい・・・・・・」
「・・・・・・・・・何がだ?」

 俺は綾香が何について謝ろうとしているのかなんとなく分かったが、わざと分からないふりをした。もとはといえばお前が悪いんだろうと言われてしまえば返す言葉もないが、俺は自分でも気持ちの整理がつかず、ひねくれ、そしてその鬱憤を綾香にぶつけていた。
 綾香はしばし沈黙した後、か細い声で弁解を続けた。

「ごめんなさい・・・・・・貴方・・・・・・でも・・・・・・その・・・・・・私、体は許したけど、心まで許しているわけじゃないから」
「心まで許していない? ・・・・・・俺には、まんざらでもないように見えたけどな」
「別に、瀬川君とは遊びだし、ほら、憧れていた人だったからちょっと浮かれていただけ・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「聞いてる?」
「・・・・・・・・・」
「ねぇってば」
「・・・・・・・・・聞こえているってば。何なんだよ一体」
「貴方こそ何なの? その態度・・・・・・貴方が言い出したことじゃない! そんな態度とるなら、最初からこんなことやらなきゃいいでしょ?」
「ああ・・・・・・そうだな・・・・・・俺が悪い」
「・・・・・・とにかく入って。瀬川君にも変な風に思われるだろうから」
「綾香・・・・・・」
「何?」
「今晩は俺の番だ。瀬川のことは忘れさせてやる。いいな?」
「・・・・・・分かった」

 綾香の心がまだ完全には奪われていないことを知って、俺は少しだけだがほっとした。
俺たちが居間に戻ると、瀬川は既に朝飯を食い終わり、勝手に冷蔵庫を開けてビールを飲んでいた。朝っぱらから他人の家で酒を飲むとはいい気なものだ。
 俺はさっさと残していた朝飯を食い終わり、浮かれる瀬川に釘を刺すように今日の予定を発表した。

「分かっているとは思うが、約束通り、今晩は俺と綾香が一緒に寝るからな」
「分かってますって。でも夜まではどうするんだ? 夜までは当然自由にやらせてもらえるんだろうな」
「駄目だ」
「おい、ふざけんなよ。たった一晩じゃないか。今晩お前がやり終わるまで俺は何もできず、ただ黙ってここにいろっていうのかよ。冗談じゃねぇよ」
「駄目なものは駄目だ。それが嫌なら出て行け」
「やーだね。アンタが俺を呼んだんだ。そんな身勝手な言い分が通ると思っているのかよ。だいたい何でアンタが勝手に仕切っているんだよ。決めるのは綾香さんなんじゃないの? ねー綾香さん」
「私は・・・・・・その・・・・・・」
「駄目だよな?」
「アンタはちょっと黙っていろよ。俺は綾香さんに聞いているの。どう? 綾香さん。俺、わざわざここにやって来たんだけどな。俺の番はもう終わっちゃったみたいだけど、もう何にもできないなんてちょっと酷すぎると思わない?」
「・・・・・・・・・・・・そうかもしれないけど・・・・・・」
「お、おい・・・・・・」
「ねー、恥ずかしがってないでさ、言っちゃおうよ。もう俺たち恥ずかしがるような仲じゃないでしょ。夜まで自由にやるっていうことでいいよね」
「・・・・・・・・・(黙って頷く)」
「やったー! さっすが綾香さん!」
「綾香・・・ちょっと・・・」

 俺は綾香を別室に呼び出して、厳しく問い詰めた。

「お前、さっきと言っていることが全然違うじゃないか。何でOKするんだよ」
「私、さっきも言った・・・・・・心は許していないって・・・・・・」
「あ?」
「心は許していないから・・・・・・。私だってせっかく憧れの人とHできるんだもの、体くらいは・・・・・・ね?」
「何が『ね?』だ。お前、俺をからかったんだな! さてはさっきのも瀬川の奴に言われて・・・・・・」
「違う」
「いや、絶対そうだな。お前、おかしいよ、何だって俺じゃなくて瀬川なんか選んだんだよ!」
「だから、それは・・・・・・」
「お前、何だかんだ言っているけど、瀬川に身も心も奪われちゃっているんだろ? だからお前はさっきからあんな奴の言いなりになっているんだな! 違うかよ?」
「・・・・・・はぁ・・・・・・だから貴方は度量が狭いっていうのよ・・・・・・ だいたい、貴方が良くて瀬川君を連れてきたんじゃない! 何でいちいち私が怒られなきゃならないわけ? もういい、私にだって選ぶ権利はあるんだし、好きにさせてもらうから」
「・・・・・・勝手にしろ!」

 怒りが収まらなかった。何で俺はこんなことを考え付いてしまったんだ?
やってしまってからはもう取り返しがつかないというのに。綾香が怒るのももっともだ。もとはといえば俺が瀬川を連れてきた。
 そして昨日から同じことで後悔し、同じことで喧嘩をし、同じことで呆れられている。
なんだか矛盾してばかりで、自分が情けなくて仕方がなかった・・・・・・。

「あぁん! ちょっと瀬川君・・・・・・そこはもういいから!」
「ダメダメ! もうちょっと我慢してもらわないとね」

 早速居間の方から綾香のあえぎ声が聞こえてきた。俺は急いで居間に駆け込み、台所の方に二人がいると分かると怒鳴りつけた。

「お前ら! 何やってるんだ!」
「何って? そりゃ、ナニに決まってるだろ。ねー綾香さん」

 とにかく焦っていた俺は怒鳴ることばかりに目に入らなかったせいか、いくら服を着ているとはいえ、綾香と瀬川がHなことをしている現場をを目の当たりにしてしまっていることに、今さらながら気がついた。瀬川は綾香の背後から覆いかぶさるようにして胸を揉んでいた。

「綾香はいいって言っても、俺はダメだって言ってんだよ! 離れろ!」
「邪魔すんじゃねぇよ! 失せろ!」

 二人を引き離そうとする俺に、瀬川が腕で突き飛ばす。
情けないことだが、腕力ではかないそうにない。こいつは顔がいいだけじゃなくて、体もそれなりに鍛えていたみたいだ。
 しかし俺も負けじと瀬川に食い下がる。

「私、強い男の人が大好き! 強い人とHしたいなー」

 綾香が甘えたような声を出しながら、そう言った。俺は一瞬耳を疑ってしまったが、疑っている間に瀬川に突き飛ばされてしまったようだ。不意打ちをもろに食らってテーブルに弾き飛ばされ、強く腰を打ってしまい、俺はその場にうずくまる。
 くそ・・・・・・どうにかしないと・・・・・・。そう思っていても体は言うことを聞かず、瀬川は横目で俺を冷笑し、綾香を「お姫様抱っこ」のスタイルで抱き抱えて去っていった。

 その後のことは痛みもあってかほとんど覚えていない。
痛む箇所に湿布を貼った後は、半分這ったような姿で別室に行き、その場でしばらく眠ってしまったようだ。昨夜、遅くまで起きていたせいで疲れがたまっていたのかもしれない・・・・・・。

 俺が目を覚ました頃にはもう晩飯時だった。

 二人は相変わらず仲が良いみたいだ。俺は自分で飯をよそって一人で黙々と食べた。
その後、俺は二人と目を合わせないようにして風呂に入り、昨日と同じように、俺の次には瀬川が、瀬川の次には綾香が風呂に入った。
 俺は綾香と二人きりになっても一言も口をきかなかったし、瀬川も昼間は派手にやりあったというのに別に何も言って来なかった。

 22時00分・・・・・・

 綾香が風呂から上がり、俺は今晩の予定を告げた。
「今朝も言ったことだが、今晩は俺と寝てもらう。いいな?」
「えーー」

 綾香は面白くなさそうな表情で抗議する。俺はそれに再びショックを受けながらも、瀬川を呼ぶことを決めた時のことを思い出して奮い立たせた。
 そうだ・・・・・・今でこそこいつは偉そうに振舞っているが、正体は惨めなヒモだ。化けの皮を剥がして綾香の記憶から消してやると決めたじゃないか。
 ここでなめられては困る。

「約束は約束だ。お前だって今朝了解しただろ」
「でもーー、ねー、瀬川君、どう思う?」
「ま、仕方が無いんじゃないの。寝てやりなよ。・・・・・・さっきは悪かったな、兄貴、まだ痛むか?」
「何だと?」
「何で怒るんだよ、俺は心配して言ってやったのに。兄弟としてな」
「何が兄弟だ」
「アンタと俺は兄弟じゃないか。穴・兄・弟」
「てめー・・・・・・」

 思わず拳を握り締めたが今争って綾香と寝る機会を逃したら不利だ。何とか自分で自分を鎮めながら綾香の方を見る。

「瀬川君がそう言うなら仕方ないか・・・・・・」

 俺は冷蔵庫から栄養ドリンクを2本取り出し、綾香に1本渡す。昨日瀬川が飲んだやつよりも効き目が凄いと評判のやつだ。
しかし綾香は「いらない」と突き返し、瀬川まで聞いてもいないのに「俺もいらねぇ」と言いやがった。
 俺は体を硬直させて無言の抵抗をしたままの綾香を、半ば強引に引っ張るようにして寝室に連れて行った。

 しかし綾香はベットに倒れこむように寝転ぶと俺に背を向けたままで、俺はまるでレイプするかのように無理やり綾香の服を引き剥がして挿入する。
 まだ腰の痛みが引いていないらしく、ピストン運動もぎこちないが、俺は精一杯頑張った。
しかし綾香は虚ろな目をしたまま、「ねーまだなの? まだ終わらないの?」と言うだけだった。

 結局、俺はろくに綾香とできないまま綾香に眠られてしまった・・・・・・。
(つづく)

[Res: 966] 打ち切りのお知らせ 雨ちゅあ ◆wlX16g 投稿日:2005/05/21(Sat) 18:05
未だに読まれている方がいるかどうか分かりませんが、あまりにも不評のため、本作品は第5話にて打ち切りとさせて頂きます。
さすがに自信喪失したので、以後投稿するかどうかさえも分かりませんが、しばらく次回作の構成を練ろうかと思います。
尚、前作・今作問わず、私の小説にご意見・ご感想等がある方は今後の参考とさせていただきますので、是非ともメールを下さい。

[Res: 966] Re: 思い出の中の男(5) たつ 投稿日:2006/01/17 (火) 00:43
お願いします!続き読みたいので連載再開してください!興奮が覚めません!!
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