妻と男の物語


スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告


思い出の中の男(3)

[958] 思い出の中の男(3) 雨ちゅあ ◆wlX16g 投稿日:2005/05/14(Sat) 10:16
第三話 宣戦布告

「なあ・・・・・・今度の連休、何か用事あるか?」
「えっ? 何? どこか連れて行ってくれるの?」
「いや・・・・・・ともかく、何か出かけるとか、用事はあるのか?」
「特にないけど・・・・・・」
「そうか、なら良かった。実はな、瀬川がうちに遊びに来ることになった」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」

 綾香はまさに「意味不明です」というような表情をしていた。確かにそうだろう。俺と瀬川には何の接点もない。
 俺は綾香に4月29日から5月1日まで、2泊3日の予定で瀬川が我が家に滞在し、そこで俺と瀬川とで一夜づつ相手をしてもらうことになったということを告げた。それで綾香のもやもやを解消してもらおうと・・・・・・。
 当然のように綾香は怒り出し、まだ瀬川のことを気にして悪い冗談を言っているのかと、憮然として台所に向かった。
だが、その顔は明らかに紅潮し、まんざらでもないかのような表情をしていたのを、俺は見逃さなかった。

「冗談じゃないんだ。俺は本気だ。俺もお前も、少なからず瀬川のことを気にしているんだし、このままうやむやにして終わらせてもしこりが残るだけだ。お前は瀬川のことが一番好きだったみたいだし、いい機会かとは思ったんだが・・・・・・。でも、悪かった、お前に何にも聞かずに勝手に決めてしまって・・・。後できちんと俺から瀬川に断っておくから」
「え?」
「だから、俺が悪かったよ。この件はなかったことに・・・・・・」
「で、でも、その・・・・・・」
「何?」
「ほら、瀬川君だって、いきなり断られても都合っていうものがあるだろうし、別に一緒に寝なくても遊びに来るくらいならいいかなって」
「瀬川も男だ。お前を襲うかもしれないぞ。さっきも言ったように、お前にふんぎりをつけてもらうためにあいつを呼ぶんだからな。瀬川もそのつもりで来るだろうし・・・・・・お前は瀬川から襲われたらどうするつもりだ?」
「それは・・・・・・・・・でも、別に私が断ればいいことだし・・・・・・。その時はその時でなんとかするから」
「そうか・・・・・・で、結局、いいのか? 瀬川を呼んで・・・・・・」
「・・・・・・うん」

 俺はまたしても嫉妬に狂いそうになった。綾香が了承してしまった・・・・・・矛盾しているかもしれないが、心のどこかでは強く断って欲しいという気持ちもあった。
しかし、それ以上に俺は、瀬川がいかに惨めで情けない奴なのかということを、綾香の前で証明できることに心が揺さぶられていた。
これで綾香の思い出の中の男たちは一人残らず綾香の思い出の中から消し去ってやることができる!

 そして、4月28日の正午、俺の携帯に瀬川から連絡が入った。滞在の準備は全て整ったようだ。
俺も瀬川の滞在に備えて様々な物を準備した。


 ついに4月29日の朝が来た。俺が目覚めるよりずっと前から綾香は起きていたようだ。
しかし、朝飯は納豆くらいしか用意されていなく、せっせと化粧をしているようであった。
話しかけても忙しいから適当に食べていてと言われるだけで、自分は鼻歌を歌いながら楽しそうに化粧をしているようだ。

 やがて俺の前に現れた綾香は、化粧のせいもあってか普段と違って随分大人っぽく、色っぽく見えた。
確かに普段も綾香は美人だ。だが、その美しさは「きれい」というよりは「かわいい」ものであって、あどけない印象が強かった。
 ここまで念入りに化粧をした綾香は見たことがない。俺との初デートの時だって、こいつはこんなにおめかししなかったはずだ。
ここ最近は掃除も念入りにするようになったし、瀬川が来ると分かってからは随分落ち着かなくなっていた。
そんな綾香の様子を見て、瀬川への嫉妬やら憎しみやらが募る一方、俺自身も「かませ犬」が登場してくれるのを今か今かと待ちわびていた。

 そして、ちょうど10時になった頃、瀬川がやってきた。
 俺が出迎える前に、綾香が我先にと玄関の扉を開けに行った。

「いらっしゃい! 瀬川君! 大変だったでしょう? さあ入って、入って」
「おじゃましまーす」

 俺の前に再び現れた瀬川は、この前俺が会った時とは別人のように小綺麗な服装で、髪もしっかりとセットして颯爽と現れた。
まさに同窓会の写真に写っている瀬川そのもので、悔しいがホストをしていただけあって容姿については申し分がなかった。
 あまりもの変貌ぶりに驚いたものの、これから化けの皮を剥がしていくならば、皮は厚ければ厚いほど剥がしてやった時の快感は高まるというものだ。俺は早くも瀬川を屈服させたかのような気分になっていた。

 瀬川は靴を脱ぐや、早速綾香をいやらしく口説き始めた。
「中村さん、これから3日間、たっぷり楽しみましょうね」
「あっ、ちょっと・・・・・・瀬川君・・・・・・いきなり・・・・・・やめて・・・・・・」

 早速瀬川は綾香の胸を揉み出した。何とも気が早い奴だ。全く・・・・・・他人の家に来ていきなりそれか?
俺は瀬川をたしなめて、さっさとこっちに来るように言った。

「まあいいじゃないですか。きちんと奥さんに説明したんでしょう? どっちにしろ後でたっぷりやるんですし、いいじゃないですか。ねー、中村さん・・・・・・。あ、紛らわしいから『綾香さん』って呼びますね。『奥さん』じゃちょっとあれだから」
「確かに俺は綾香に説明したし、お前に遊びに来いと言ったのも俺だ。だが、綾香とやるかどうかは俺が決めることじゃない。綾香に決めてもらう。もし、それで綾香が駄目だと言って不服なら・・・・・・悪いが帰ってくれ」
「ちょっとちょっと! そりゃないんじゃないですか? 綾香さんを寝取ってくれって言ったのは旦那さんじゃないですか」
「え・・・・・・? 寝取る?」
「旦那さん、俺のところにわざわざ頼みに来たんですよ。旦那さん、寝取られ趣味あるみたいですよ。貞淑な綾香さんが昔の同級生にめちゃくちゃにされるのを見てみたい、綾香さんが乱れる姿をこの目で見て感じたいって」
「・・・・・・お前、喧嘩売ってんのか?」
「ちょっと貴方!!」

 この野郎、早速でたらめなこと並べやがって。綾香も綾香で一瞬真に受けたようだし、今も少しは瀬川の言葉に影響されているのかもしれない。殴りかかりそうになるのを必死で抑えながら、もうじきこいつの方が地獄を見ることになるんだと思い、なんとか怒りを鎮めた。

「とりあえず、夜になったら綾香に決めてもらう。それまでは一切駄目だからな。あと、綾香が駄目だと言った場合、ここに泊まるのはともかく、綾香には手を出させない。いいな?」
「良くないね」
「何ぃ?」
「だって、旦那は綾香さんの意思を無視して一方的に決めているだけでしょ。綾香さんが決めることだっていうなら、今ここで綾香さんにどうしたいか、綾香さんに聞くべきなんじゃないの? ねー、綾香さん」
「どうなんだ? 綾香」
「いいよね? 時間もったいないし。2泊3日って言ったって、今はもう昼だし、3日目にも昼過ぎには帰らないといけないんだから時間ないんじゃない? あと悪いけど、旦那のことは『中村』って呼ばせてもらいますから」
「うるさい、黙ってろ。どう思う? 綾香・・・・・・」

 綾香はしばらく考え込んでいた。どうも言葉にして答えるのがためらわれるようだ。

「じゃあ、綾香さん、俺の意見に賛成なら首を縦に、こいつの意見に賛成なら首を横に振って下さい」

 綾香はなおもしばらく考え込んだ後、首を縦に振った。
俺は早くも瀬川をやり込めたと思い、思わず心の中でガッツポーズをとった。ざまあみろ瀬川、お前なんか所詮はこの程度だ。
俺は勝ち誇った顔で瀬川に笑いかけてやった。
 瀬川も思わぬ「敗北」に自信を砕かれたのか、一瞬「チッ」という舌打ちをしたかのように思えた。
しかしすぐに何事もなかったかのように表情を戻し、

「じゃあ、夜を楽しみにしていますよ、綾香さん」

と言って、用意された部屋に手荷物を運びに行った。

 こうして、2泊3日の奇妙な同居生活が始まった。

(つづく)
関連記事

テーマ:18禁・官能小説 - ジャンル:アダルト


  1. 2012/07/05(木) 12:00:00|
  2. 思い出の中の男
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0


<<思い出の中の男(4) | ホーム | 思い出の中の男(2)>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://tsumaotoko.blog.2nt.com/tb.php/142-0850500b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)