妻と男の物語


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歪んだ絆 6

[28] 歪んだ絆 6 銀 投稿日:2003/05/11(Sun) 16:43
トントントン・・・。懐かしい心地よい音が、キッチンから聞こえてくる。
(おはようございます。 浩市さん。) 綾さんは黒のミニスカートにキャミソール 白のエプロン姿で挨拶してくれた。
{おはようございます。} 妻の美沙はいつも朝食は間に合わせのパンであった為 なぜか幼い頃に見た母を思い出してしまった。
(遅刻しますよ。早く食べてくださいね。)綾さんは、テーブルの上にみそ汁 ご飯 生たまご 海苔 焼き魚を並べて向かいの席に着いた。
{ああ  いただきます。} 私は少し照れながらリモコンでテレビをつけた。
(今日は買出しに行ってきます。夜なんですが、何か食べたい物 ありますか?)
{・・・。いや 綾さんの好みに任せますよ。}
(えー・・・それが一番 大変なんですよね 何にしょうかな?。)
{ご馳走さま。おいしかったよ} 食器をかたづけようとうっかり 箸を落としてしまった。テーブルの下に転がる箸を拾うが無意識のうちに綾さんのスカートの中を覗いてしまった。昨日の穴あきショーツが目に飛び込んでくる。5秒程 身体が固まってしまったが我に返り立ち上がる。
{綾さん 早めに帰ってくるんだよ。例の男達の事も気になるしそれと携帯番号
090-xxxx-xxxx 何かあったら電話ください。それじゃ行って来るよ}
(いってらっしゃい。)後ろ髪を惹かれる思いで、自宅を出た。


夕方 仕事が一段落して自販機のカップコーヒーで 喉を潤していた。
[torrru…torrru…]誰だろ・・・。
(もしもし  浩市さん 綾です。ごめんなさい ちょっと帰るの遅くなりそうなんです。たぶん 7時ぐらいになりそうなんです。それからでも夕食作ります。)
{ああ  いいですよ。気をつけて下さいね。}綾さんの言葉が周りの雑音で聞き取りにくかったが言葉のトーンは普通だったので少し安心した。
〔よっ・・。浩市君 元気か?〕そこには、高木中四国統括部長であった。
{ご無沙汰しています。四半期の営業会議ですか。}妻の美沙と私の元上司で仕事先では半年ぶりに顔を会わした。
〔美沙君 元気か?大事にしてるんだろな 泣かすような事があればクビにするぞ。〕
{いや・・・。まさか冗談きついですよ。} 高木部長に心の中を覗かれている気がしてきた。
{お嬢様は元気にされていますか。}部長の奥様は一昨年3月心筋梗塞で亡くなられていたのだ。
〔ああ だいぶ落ち着いたよ。今は隣町の全寮制の女子高に通っているよ。今の妻 裕子と折り合いが付かなくてね。〕目線を逸らした。
{でも 有名な進学校じゃないですか。それに大丈夫ですよ。しっかりされてましたから。}
〔おっと 時間だな 浩市君 今度時間があるとき付き合えよ。〕
{是非 よろしくお願いします。}私は机に戻り書類を鞄に入れ会社を後にした。


地下鉄を降りて足早に帰ろうとしていた。駅から徒歩5分程に借りた一軒家はある。途中 大規模な公園があり そこをショートカットすれば時間の短縮になる。片隅に公衆トイレがありその横を通り過ぎようとしていた。まぜか近くの芝生の上にショッピング袋が1つ置き去りにしてあった。トイレから今風のブレザーを着た高校生が2人出て来て私とすれ違いに通り過ぎる。
[最高だったぜ。まだあいつら やってんのかな?]笑いながら公園を出て角を曲がった。
私は気にする事もなく家路を急いだ。
家に着くとまだ綾さんは帰っていなかった。すでに7時は過ぎていた。お風呂の用意をして野球観戦しながらコンビ二で買ったビールを開け つまみの菓子をほうばっていた。
[ガチャ・・・。]  帰ってきたのかな?綾さんが部屋に入って行くのが見えた。
{綾さん お風呂沸いてますよ。} 廊下の奥 玄関の方にショッピング袋が置いてあった。
(あ  はい すいません 先に入っていいですか?走ってきたから汗掻いちゃった。玄関に買い物袋の中身 冷蔵庫にしまっていただけませんか。)綾さんは身支度をしているようだ。私は玄関に行き 買い物袋を手に取った。
んっ・・・。袋の底が汚れていて芝生らしい物が付いていた。まさか・・。力なく私は玄関に座り込んでいた。ほんの2分ぐらいだろうか 気持ちを取り直して冷蔵庫の中に品物を入れ込んだ。冷蔵庫から新たにビールを1本開け 知らん振りしてテレビの前に座りなおした。
綾さんが お風呂から上がるとキッチンで夕食を作り始めた。
(夕食の前にお風呂どうぞ。)その言葉に促される様に 脱衣所に向かい 見てはいけないと思いつつ、洗濯機の中のスカートを広げるとお尻の辺りに数箇所白い液体がこびり付いている。私は気付かれ無いように元に戻した。行き場の無い悲しみが込み上げてくる。
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