[8989] 息子の先生7・隆(たかし)② tttt 投稿日:2010/02/28 (日) 11:42
秀子は、朝食の準備を終えた後、一人砂浜に散歩に出た。波打ち際まで進んで海を、水平線を見つめる。何千臆という宝石をばらまいた様に海面はきらめき、その宝石群をかき集めた様な穏やかな白い波が、秀子の足元に打ち寄せる。秀子は目を閉じた。海って、見なくても見ることができる。そう思った。波の音と潮の香り。秀子の肌に絡みつくような、海の風。鳥の声。きらめき揺れる海面が、雲の間からレースのカーテンのような光を注ぐ朝日が、まぶたの裏に、ありありと浮かんだ。目を開けた秀子の頬に、涙が一筋伝う。
秀子は、息子の隆が三年生に進学してからのことを考えていた。ごく平凡だった・・・いや、家の中は冷たかったはずだ?それは、秀子と秀子の夫との関係が、家の中に漂っていたからだろう。そしてそれは、ずいぶんと昔のように思うのだ。
(私は変わった・・・そして、息子の隆も、変化した)
始まりは、授業参観の時だった。担任の安田先生の授業を後ろに並んで見つめる、母親秀子。隆の前年度の担任だった牛尾先生が、その秀子に痴漢行為を働いたのだ。秀子のお尻をグニグニと揉みしだき、果てはパンティ-の中にまで指を侵入させた。授業参観の真っただ中にだ。
なんというおぞましい行為か!?その時はそう思った。だが今はどうだ?秀子は自分をかえりみる。息子の隆を思い描く。秀子は女として花開き、体の内側から充足感を感じる毎日なのだ。隆は柔道を始め、秀子の知らないうちに精悍な少年へと変貌している。
(変わらないのはあなただけなのでは・・・)
秀子は水平線を見つめそう思った。水平線の彼方にいるはずの、夫。海外赴任中の夫は、今の秀子を想像できるだろうか?秀子はそう思った。
(私はもっと、変わるかもしれないのよ。想像もできないほどに・・・)
『隆くんのお母さんの初めての男になりたいっ』
『私の初めての女になってもらいたい』
『隆くんのお母さんとアナルセックスがしたいんですっ!』
肛門に男性器を入れる。そしてきっと、腸の中に射精しようと思っているのだろう。なんと言うおぞましい行為か!?牛尾先生に告白された時、秀子はそう思った。だけど三ヶ月前も秀子はそんな事を思ったのだ。そして今の秀子がいる。
(これから数ヶ月後の私は・・・どうなっているの?)
「牛尾先生・・・」
長年、海に削られたのだろう。ごつごつとした大きな岩が、先端を尖らせて海面から突き出している。その岩を見た秀子は、牛尾先生のようだと思った。
波を受け止める頑丈な岩・・・・・・・私を抱きしめる牛尾先生
白い波しぶきを空に打ち上げる岩・・・私に向かって精液を飛び散らす牛尾先生
巨大な岩・・・・・・・・・・・・・・牛尾先生の、おち○ぽ
あんな大きな太く硬いものが、本当に入るの!?秀子はもう、アナルセックス後のことを考えている。
~~~
「おばさーんっ!」
「ワンッ!ワンッ!ワンッ!ワンッ!」
海風の中の秀子は、声がするほうを向いた。
「幸彦くん・・・ジョニー・・・」
波打ち際を、幸彦少年と愛犬ジョニーがこちらに向かって駆けてくる。秀子の元にやって来たジョニーが、ハッ・ハッ・ハッ・・・と荒い息で、秀子のスカートに前足をかけた。
「幸彦くん、あなたも散歩してたの?」
「うん、おばさん」
「ど、どうしたの?幸彦くん・・・」
ぽかんと口を開けて秀子を見上げる少年に、秀子は戸惑った。ひょっとしたら寝癖でもついているのではないか、と黒髪を撫でるのだが、少年の心の中までは、アナルセックスを考えるまでにメスの進化をとげている秀子には分からないのだ。幸彦少年が海の方を向いた。赤くほてる少年の頬は、朝日に照らされていて、なおさら秀子に少年の心情をとらえさせずにいた。
「ねえ、おばさん。僕、この合宿にこれてよかったよ。柔道教室に時々参加できていいってことなんだ・・・それはね、おばさん。隆くんの友達でいれて良かったってことだよ」
「幸彦くん・・・」
「それとね・・・」
「何?」
「ううんっ、なんでもない」
秀子は少年としばらく見つめあった。少年の瞳はあまりにも澄んでいて、引き込まれそうだった。秀子にとって運命の少年、幸彦。目に見えない運命の糸が、秀子と幸彦少年との間にあって、その糸は秀子の思いも及ばない、ずっと先まで伸びていることを、秀子は知らない。
「ワンッ、ワンッ、ワンッ」
「ああっ、ジョニーっ、引っぱるなよっ。おばさんっ、ジョニーがお腹すいたって」
「そうね、もう戻りましょう」
秀子は、ジョニーに引っぱられる幸彦少年を小走りに追った。
午後からは、交流試合が待っている。
~~~
幸彦少年は、牛尾先生と隆が話し合っているのを、遠目で見ていた。牛尾先生は隆の肩をぽんぽんと叩きながら、ずっとしゃべっている。うなずき続ける隆。きっと試合のアドバイスを、牛尾先生がしているんだと、少年は思った。柔道場は、交流試合のためにやって来た、地元の柔道教室の生徒たちが大勢いて、緊張感に満ちている。
「クウン・・・」
ジョニーはそんな異様な雰囲気にのまれたのか、鼻を鳴らした。そして何かを見つけたようにガバッと立ち上がると、あっという間に走っていってしまったのだ。幸彦少年はジョニーが向かう方向を見た。
「おばさん・・・」
秀子が、両手を胸の前で組むようにして、隆と牛尾先生の方を見ているのだ。幸彦少年は今日の朝の事を思い返した。そして、胸がドキドキとしてしまうのだ。朝日に光る秀子の顔が、少年を固まらせてぽかんと口を開けさせた。見とれる、という事が、まだ九歳の幸彦少年には理解できないが、綺麗だ、という感覚は十分に分かる。
『綺麗だ・・・凄くきれいだ・・・』
少年は何度もそう思って、秀子に見とれていた。
『友達の隆くんのお母さんが、おばさんで良かったよ』
そう言い掛けてやめた。
「隆くん、勝ってよ」
整列して向き合う生徒たちの方を、少年は見て、そうつぶやいた。隆は先方だ。隆が勝つと、きっと秀子の笑顔が見れる。少年はそう思っているのだ。
(おばさんには笑っていてほしい)
幸彦少年にも見えない、秀子との運命の糸。それは、幸福という糸に違いない。
~~~
「ああっ、ジョニー・・・」
いつの間にか足元にやって来ていたジョニーを、秀子は抱きしめた。五対五の交流試合。息子の隆が十人の中で一番小さいではないか!あんな大きな子たちの中で、怪我でもしたら・・・。
「ジョニーぃ・・・」
心臓が爆発しそうな秀子は、ジョニーの頭を思わず力任せにグシャグシャと撫で回していた。そんな秀子から逃げたいのか、ジョニーは首を苦しそうにねじって、「ワンッ」と助け舟を見つけたように尻尾を振った。牛尾先生が、秀子の後ろに立っている。
「隆くんのお母さん、始まりますよ」
「う、牛尾先生、わ、私、緊張してしまって・・・」
「ふむ。まあ落ち着いて、隆君を見て御覧なさい。いい顔をしている。初めての試合とは思えないですよ」
「隆・・・」
あぐらをかいて座っている息子を見て、秀子は、凝り固まった緊張がほどけていくように感じた。強い視線を、真っ直ぐに前に向けている。対戦相手を見ているのだろうか?少年の、少年にしか持てない瞳を見て、秀子は朝の海の幸彦少年の瞳を思い出した。輝く澄んだ瞳。誰かに話したくなって、牛尾先生を見上げた。
「牛尾先生、今日の朝・・・」
秀子は、朝焼けの海での、幸彦少年とのやり取りを話してみた。幸彦少年のことを話すと、きっと隆が勝つのではないか、なぜかそう思ったのだ。
「ほう・・・そんな事が。お母さん、これを見てください」
牛尾先生が、手に持つファイルの中から、数枚の用紙を秀子の顔の前に出したのだ。秀子が手に取ったその用紙には、数字やアルファベットが並び、三角や四角の図形が描かれている。グラフもある。
「これは、数学・・・」
明らかに算数ではなかった。有名私立大学を卒業している秀子にさえ、チンプンカンプンな問題が、ぎっしりと書き込まれている。
「そうです、高校生がする数学の問題集のコピーですよ。幸彦が、この合宿に持ってきていたのです」
「幸彦くんが?」
「はい。昨夜私は、夜中に宿舎に戻ったのだが、食堂に灯りがついていましてね、不審に思ってのぞいてみると、幸彦が勉強をしていたのですよ」
「・・・」
秀子は、弱弱しい体つきの、幸彦少年の優しい顔つきを思った。そして、少年の執念のようなモノが、秀子が手に持つ薄い用紙から沸き立っているように感じた。
「幸彦は、あいつは、凄いやつだ。きっと、とんでもない男になる」
牛尾先生のうなるようなつぶやきに、秀子は少年の言ってくれた事を、また思い出した。
『隆君の友達でいれてよかった』
(隆、勝ちなさい。こんなことを言ってくれる、凄い友達のために)
秀子は真夜中に一人、もくもくと、とんでもなく難しい勉強をする小さな少年の姿を、まもなく始まる試合を待つ息子の姿にだぶらせた。幸彦少年の姿が、大きく隆を包み込んだ。その少年の姿は、秀子さえも見守っているように感じ、秀子ハッとした。
(幸彦くんが隆の友達でなかったら、私は・・・)
秀子はがく然と、牛尾先生を見上げる。その牛尾先生は、前を向きながら言った。
「さあ、始まりますよ。隆くんのお母さん」
~~~
隆は、ジョニーを抱きしめて頭を撫でる母親を、イライラしながら見た。そして、きつい目を対戦相手に向けた。相手も、こっちをにらんでいる。その視線とぶつかっていると、母親やジョニーに対するイラつきが消えていった。牛尾先生に教えてもらった呼吸の仕方をやってみる。ゆっくりとお腹を膨らませながら息を吸い込み。一杯になったら一気に吐き出す。ゆっくり何度も繰り返した。回りのざわつきが、別の空間のように静かに感じた。審判が、進み出てきた。相手方の柔道教室の先生だ。隆は立ち上がった。
相手と向かい合って、礼をした。隆には、相手の手が鮮明に見えた。緊張で足が震えているのに、相手の動きが鮮明すぎるほど濃く映るのだ。審判が、大声を張った。
「やあっ!」
両手を伸ばしてきた相手に向かって、隆は気合の声を投げつけた。
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- 2013/07/29(月) 10:03:31|
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