妻と男の物語


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息子の先生7・隆(たかし)④

[9037] 息子の先生7・隆(たかし)④ tttt 投稿日:2010/03/03 (水) 11:51
 舌にピアスをしている男の舌が、秀子の首筋を這った時、秀子の意識が半分飛んでしまった。助けを求める叫びをあげる事もできない。秀子の口をふさいでいた男は、もうその手を違う事にめいっぱい使っている。秀子の乳房を後ろから揉みまくっているのだ。秀子の口は自由になっている。それでも声が出ない。
 「ああ、あああ・・・あうう・・・」
 という、うめき声が洩れるのみだ。
 
 「そんなに感じるのかい?お姉さん。三本あるからな、これからたっぷり、楽しんでもらっていいぜ」
 舌にピアスの男が秀子の耳元でささやく。
 「俺はパイズリで発射してぇっ!すげぇぜっ、このボインはよぉっ!」
 秀子の後ろから乳房を揉んでいる男がそう言った。声は、秀子の頭のずいぶんと上から聞こえる。背が高い。
 「二人だけでずるいよぉ。僕ちゃんにも触らしてぇ・・・」
 気持ちの悪い動きをする男が、背の高い男を押しのけて、秀子の背中に絡みついてきた。カクカクと腰を振って、秀子のお尻にぶつけている。
 「柔らかいねえ、柔らかいお尻だよぉ」
 背の高い男は、よほど秀子の乳房に執着を持ったようだ。横にまわっても揉みしだいて離さない。
 「早く脱がそうぜっ。このボインにはさませてぇっ」

 「ああ・・・ああああ・・・」
 秀子はうめいた。三人の暴漢に絡みつかれ、出るうめきは、絶望の音だ。声とはいえない。秀子の内側から、絞り出され続けるうめきは、感情のない音だ。
 「いい声出すねぇ、お姉さまぁ」
 陵辱する者は、喉から出るものはすべて、肉体の感情が入った声だと思い込み興奮する能力にたけているのだ。声を音だと思える事はない。
 「早く脱がそうぜっ」
 「あわてるなっ。こんな上玉めったにお目にかかれねえ。車に連れ込んでからだ。ビデオはまだ残ってるだろうな?」
 「大丈夫大丈夫。たっぷり撮れるよ。このお尻を撮りまくりたいよぉ」
 「俺はこのボインだっ」
 「いい作品ができるぜ。俺たちの最高傑作ができそうだぜ。女優が最高だからな、お姉さんよ」

 舌にピアスの男は、手にナイフを持っている。その刃は、薄い月の光に淡い光を浮かべて、秀子を威圧しているようだ。だが秀子はもう、十分に絶望している。人は、恐怖の時、そこから何とか逃げのがれる事ができる。しかし、恐怖から絶望に変わったとき、もう何もできないのだ。力は無抵抗に変わり、声は音に変換する。涙すら、でない。陵辱魔は、それを、しのぶ喜びと思える能力があるのだ。
 「このお姉さん、すっかりその気だぜ。期待してうろついてたんじゃねえか?よし、車に運べ」
 「ここでやろうぜっ」
 「馬鹿。ここはのぞきが多いんだよ。気が散るだろ」
 「アナルぅ。僕ちゃんはアナルに入れちゃうよっ。ばっちり撮影してねぇ。アナルにズボズボの僕ちゃんを」

 「!!!っ」

 秀子の真っ暗な目の前に、ほんの少し灯りがともった。守らなけらばならないものを、耳にしたのだ。力が入り、声が出た。守らないといけない絶対に。秀子のメスの本能。
 「いやっ、嫌ぁっ、はなっ、離してっ・・・痛いっ」
 舌にピアスの男が、秀子の黒髪をつかみ力まかせに振る。冷たい鋭さが、首筋に触れた。ナイフ。
 「乳首を、落としてやろうか?もちろん、ビデオ撮影の後だ」


 男たちの武器は、ナイフ。そして、絶望におとしいれる技術。絶望から逃げ出すには・・・人が絶望から逃れるには、何が必要なのだろうか?
 「おい、後ろを開けとけ」
 秀子の目に、大きな黒い、ワゴン車が見えた。


 ~~~


 「隆くん、今日の試合ほんとに凄かったよ。興奮して鳥肌立ったよ」
 「ありがとう、幸彦くん」
 隆と幸彦少年は、バーベキューのあと花火をして、その後片付けを終わったところだ。これから風呂に入ろうというところだろう。食事の時も花火の時も隆はずっと、無意識にできた背負い投げの瞬間を、繰り返し思い描いていた。思い出すと、体が熱くなる。
 『お前はもっと強くなれる』
 牛尾先生の言葉に、自然とこぶしが握られる。
 『お母さん、感動したわ』
 母親の感嘆に、おどりだしたくなる。明日からすぐに稽古を始めよう。合宿が終わったからって、休憩はなしだ。隆はそう思っていた。
 
 この少年たちは、絶望というものを知らない。絶望に向かう恐怖に立ち会ったことはないのだから。それに二人の目の前には、やるべき事が、真夏の入道雲のようにもくもくとしていた。二人が出している芽は、しっかりと成長しているのだ。

 だが、ナイフはそんな芽を、簡単に切断できる。 

  

 「クウン・・・」
 「あっ、ジョニー」
 聞きなれた声を聞いて、隆はそっぽを向いた。母親と散歩に行くのを、隆は目にしていた。その時も、腹ただしいほどの嫉妬をジョニーに向けていたのだ。
 「ジョニーっ!どうしたのっ!?ジョニーっ!」
 尋常ではない幸彦少年の様子で、隆は振り向いた。ジョニーが、幸彦少年に抱かれるようにして横向けに倒れている。隆は駆け出していた。舌を力なく伸ばして倒れているジョニーのかたわらに、見覚えのある靴が、一つだけ転がっていたのだ。それを見た瞬間、勝手に足が動いていた。

 (あれはお母さんの靴だ)
 手足がちぎれるほどに、隆は走った。母親の片足の靴を見た瞬間、母親の悲しそうな顔が隆の胸に一杯になったのだ。隆は間違いなく危機を察知した。母子だからだろうか?ジョニーが運んだからだ。愛犬ジョニーは、秀子と隆が母と子であることを知っている。そして、幸彦少年が、秀子にとって運命の少年である事も。隆は、走った。

 砂浜に入る入り口は、防風林と防風林の間で作られている。その入り口に大きな黒い車があった。隆はその車の横を駆け抜け、一人の若い男とぶつかりそうになる。
 「うわんっ・・・こらこら少年、危ないよぉ。殴っちゃおうかぁ・・・」
 その若い男は、クネクネと気持ち悪い動きで、隆をのぞき込んでくる。そして隆は、その男の向こうから現れた、異様な影を見た。

 隆には、この少年には、恐怖に立ち会った時どういう感情をむき出せばいいのか、まだ分かる年齢ではない。ただ、日ごろの鍛錬で、その小さな肉体が躍動するのだ。
 「お母さん・・・」
 隆は、背の高い男と、もう一人の男に絡みつかれている女の人を見た。その人は真下を向いていて顔が見えなかったが、母親の秀子である事がすぐに分かった。母親の匂いがした、そう言うしかない。
 「お母さん・・・」
 その声に、秀子が顔を上げた時、隆は叫んだ。
 「お母さんっ!」

 「隆ぃっ!」
 叫んだ母親の口を、背の高い男が手でふさぐ。
 「おいおい、お母さんだってよぉ。人妻だったのか、この女」
 「ひゅ~・・・特別ゲストの登場じゃん。この前は、『母と娘、どんぶりレイプ。たっぷり白あんかけ丼を召し上がれ』が馬鹿売れしたもんねぇ。今度はどんなタイトルにする?」
 「たまんねえっ、息子の目の前で犯るの、たまんねえっ」

 クネクネする男が、隆に近づいた。
 「へい少年、君もぉ、ビデオに出たいかいぃ?なんちゃって・・・」
 隆の目に、男の手がスローのように見えた。正面ががら空きだ。男の手が、隆の頭をおちょくるようにポンポンと叩いた時、隆は気合を発した。
 「いやあっ!」
 もし隆に、もっと身長があれば、その背負い一つで決まっていただろう。顔面から地面に落ちた男は、ゴロゴロと数メートル転がった。
 「うわあっ!」
 隆は、母親に向かって走った。立ちふさがる、舌にピアスの男にタックルするように腰を低くぶつかって、また叫んだ。
 「やああっ!」

 隆がもっと背が高く、そして、下が柔らかい土の地面ではなくコンクリートであったならば、その背負いで決まっているのだ。男たちが立ち上がってくる事はなかったはずだ。
 「何すんのぉっ!」
 「クソがきぃっ!」
 隆は、背の高い男の袖を取り、腰からぶつかった。ビクともしない。さっき投げた二人と違い、大柄な大人相手では無理もない。ひょっとしたら、柔道の経験があるのかも知れない。抱えあげられた隆は、地面に叩きつけられた。

 「隆ぃっ!やめて下さい!何でも言う事聞きますから!子供には手を出さないでっ!」
 「うるさいよぉっ!そうだ、今回のタイトル決まっちゃったよぉ」
 クネクネする男が、立ち上がって目を三角に吊り上げている。そして、楽しむように言った。
 「『傷だらけの息子の前で、母親は下の口で泣く』どう?文学の香りがしないぃ?」
 「ガキが・・・」
 舌にピアスの男が、隆の目の前にナイフを付きつけた。母親の鳴き声が聞こえる。恐怖に立ち向かう時にむき出すもの。それを、隆は、次の瞬間目の当たりにする。
 
 「ガルルッ!」
 茶色の物体が飛び出して、男の腕にはさみついた。隆は見た。
 「うわあっ!痛てえっ!」
 隆は、ジョニーの目を見た。いや、ジョニーの目に、すくんだ。男の腕に噛み付いているジョニーは、裂けた口から牙をむき出して、涎を垂らしている。そして目は、野獣だ。真っ赤な、獣の目だ。飼い犬の愛犬ジョニーじゃない。怒り狂う、野生の狼。その目が、隆の小さな体内に入り込んでいく。

 「うわっ!離せっ!おいっ、こいつを何とかしろっ!」
 ナイフを落とした男は、ジョニーを振り払おうと腕を振った。
 「ギャンッ!」
 クネクネ男がジョニーを蹴り上げ、ジョニーが飛ぶ。ジョニーの野性の目がこびりついた隆が叫んだ。
 「わああっ!」
 隆は背の高い男にぶつかり弾き飛ばされ、舌にピアスの男がナイフを拾う。
 「本当にぶっ殺すぞっ!」

 隆は見た。ぶっ殺すと叫んだ舌ピアス男が、真横に吹っ飛ぶのを。そして、背の高い男が、硬直したように動けなくなっているのを。良く見ると、黒い大きな影が、背の高い男の頭を上から掴んでいる。
 「どうした?隆、どうしたんだ。うん?」

 その太く低い声に、隆は答えていた。
 「その、大きな人を、投げれなかったんだよ・・・牛尾先生」
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