妻と男の物語


スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告


今日子①

[7798] 今日子① アイジン 投稿日:2009/11/10 (火) 11:51
時は昭和の終わり・・・バブルの華やかりし頃。
今日子は、地方の銀行に勤務する26歳の人妻であった。
銀行ではテラー(窓口)をやっていて愛想のいい笑顔と制服の上からでもわかる
胸の大きさで密かなファンが多く、ボーナス時期にはスケベな中年男が指名で
預金を預けに来るほどの人気であった。
結婚3年で子供には恵まれず、出産したら退職するという不文律を守ろうと子作りに励んでいた。
しかし、旦那はアパレル会社で毎日10時過ぎの帰宅であり、疲れ果て子作りの作業さえ
ままならない毎日が続いていた。

そんな今日子に密かな思いを抱く同僚に山本という同期入社で大卒の30歳の渉外係がいた。
同期入社であったが、転勤が多い銀行業界であるので同じ店になることは少ない。
ただ、端正な顔立ちと明るい性格で人気のあった山本には親しみを感じていた今日子は
転勤で同じ店に異動が発令された時には、思わず同僚の奈津美に「今度来る山本君ってかっこいいよ。研修のときに成績もよかったし、楽しい人よ」と話した位だった。

それから1週間後、山本が赴任してきて前任者との引き継ぎも終わり、歓送迎会が行われた。
今日子は仕事中は山本と話せないのでこの日w楽しみにしていたのである。
そして業務がようやく終了し、ロッカーの前で念入りに化粧をして歓送迎会会場に向かった。
支店長の長々とした挨拶も終わり、乾杯の後、それぞれ気の合う仲間と話し始めた今日子に
山本がビール片手に近寄ってきた。
「杉本今日子さんだよね?同期入行だよね?覚えてる俺のこと?」と人懐っこい笑顔で山本が
挨拶をする。今日子は自分を覚えていてくれたことに感激し「杉本は旧姓よ。今は、江崎です」
と明るく答えた。「えっもう結婚したのか?早いね。俺も結婚してるけどね。」と屈託なく笑う
笑顔には少し大人になった山本の風格のようなものを感じた今日子であった。
その時、体の奥からジュワッと熱いものが湧き出てくる感触に今日子は驚き戸惑った。
なんだろう、この感覚はと当惑しながら・・・久しぶりに感じる熱い疼きであった。

宴会も盛り上がった頃、幹事の支店長代理の小川が「宴もたけなわですが、お時間も参りましたのでお開きにします。では気をつけてお帰りください。私は支店長と次長にお供しますので・・・
みんなは適当に帰ってください。がはは」と腰ぎんちゃくぶりを発揮してお開きになった。

「山本君どうするの?二次会行かないの?」と今日子が尋ねると
「俺は腰ぎんちゃくとは付き合わないから、帰るよ」と山本は言い放った。
思わず「じゃあ、私と同期会やる?」今日子は言ってから赤くなった。
その時、近くにいた奈津美が「じゃあ私も二次会に参加しよっと。ねえ、阿部君も行かない?」
奈津美は阿部と隠れて付き合っていたのだ。同じ支店での交際はご法度でわかるとどちらかが
即転勤となるのが銀行の恒例である。そのため、二人はよそよそしく振舞っていたが
今日子だけは奈津美から付き合っていることを打ち明けられていたので知っていた。
「じゃあ4人で行こうか」山本の掛け声でお客でもあるちょっとおしゃれなショットバーに行くことになった。
おしゃれなショットバーでは、口髭を蓄えたオーナーが
「おお今日子ちゃん、今日はたくさんで来たね。いつもありがとう」
と笑顔で出迎えた。
(いつもは一人で来るのに今日は4人か・・・くそ。おもしろくねえな。
まあ売上売上と割り切るか)と営業スマイルで場を盛り上げる。
10時を過ぎたころ、「今日子ちゃん、時間大丈夫?旦那さん待ってるんじゃないの?
帰ったら?」とオーナーが気を使うと「本当だ。私帰らなきゃ。」と今日子は答えた。
それを合図に「じゃあ帰ろ」と奈津美が阿部に言う。
奈津美は阿部と早く二人になりたいようだ。
「今日はありがとうございました。これから私が担当になりますので
いろいろをよろしくお願いします」と山本は丁寧にお辞儀をして
その場を後にした。

「杉本さん。今日は楽しかったよ。明日からよろしくね」と
明るく山本は今日子に言った。
今日子はお酒が好きな割にはあまり強くないので
多少ふらつきながら「なんでも困ったことがあれば相談してよ。私ずっとこの支店に
いるんだから」と今日子。
山本が「杉本さんは、どうして子供作らないの?仕事したいから?」と尋ねる。
「ん~私、子供出来ないみたい。というかあまりそういうことしていないからね」
酔いに任せて今日子はつい本音を言ってしまった。
「そうか・・・旦那さんとは上手くいってるの?」山本のもう一つの顔が覗いてきた。
脳裏には、(こいつは欲求不満だな・・・やれるかも)という推測があり、情報収集にかかる。
「まあ上手くいってるといえばいってるけど・・。帰りも遅いし朝早いし、
会話はあまりないから喧嘩もないわ」ふっとさみしげな顔を今日子は見せた。
いける!山本の本能が反応した。
「もう一軒行かないか?30分位は良いだろう?」と優しく誘う。
「もうちょっと話したいけど30分だけね」
30分という時間で山本は今日子から聞けるだけの情報を必死に聞き出した。
山本は用意周到な性格であらゆる情報を元に戦略を立てる。
営業手腕の優れた山本にかかれば、今日子は知らぬ間に誘導質問に
答えてしまいウィークポイントも把握されたしまうのは時間の問題であった。
結婚前に同じ店の支店長代理に処女を捧げたこと。
今の旦那とは肌が合わずセックスは子作りの為と思っていること。
義理の母とは上手くいかずにストレスになっている。
義理の父親は、たまに遊びに来るが、いやらしい目で胸を見る事。
支店長からセクハラをされている。(当時はセクハラという言葉もない時代であるが)
お客からデートに誘われていること。
ショットバーのマスターとは一度だけ酔って介抱してもらったときに
キスをされたこと・・・等
話していないのは処女を捧げた相手に妊娠して堕胎されて捨てられた過去のみであった。
山本はすべての情報を集め、自信を深めていった。よし、絶対にこいつを落とす!
と心にきめたがあせりは禁物だ。自分に言い聞かせ、「今日子ちゃん。同期入社の縁だけど
俺が相談相手になってあげるからなんでも話してね。力になるよ」と紳士面を演出しながら
山本は優しくつぶやきそっと肩を抱いた。
今日子は結婚依頼初めて他の男に肩を抱かれうっとりした。
(ああ、久しぶりだわ、こんなに優しく女性として扱われたのは・・・。山本君って
凄く安らげるわ)と今日子は人妻であることを忘れて駅まで肩をだかれたまま歩いて行った。

続く・・・。
関連記事

  1. 2013/09/29(日) 19:51:52|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0


<<今日子② | ホーム | 誰の子 ?>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://tsumaotoko.blog.2nt.com/tb.php/2007-706e64de
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)