妻と男の物語


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私の足元で…2

[Res: 1928] Re: 私の足元で…2 わくわく 投稿日:2007/05/27 (日) 17:46
どの位寝入っていたのでしょう、私はまた話し声で目を覚ましました。

アパートは、6畳ひと間。
玄関を入るとすぐに小さな台所があり、後は水洗トイレとベランダがある
だけです。
昨日は、その部屋に夏冬の布団を2枚敷き、中央に私、左右に早紀と桜井
が寝る予定でした。

その私の横にいるはずの、ふたりの姿が見えません。
(えっ?
どこ?)

声は、足元の方から聞こえてきていました。
私の頭は、玄関と反対のベランダ側にありました。
頭とサッシの距離がなく、足元には人が横になるくらいのスペースは確保
されています。
ふたりは、そこに座って話をしていたのです。
「う~ん」
寝返りを打って、足元が見えるように顔の角度を変えました。
桜井は、私の方を窺い
「ああ、びっくりした。
寝返りだった。眠ってるよ」
少しの間、沈黙があり
「ねえ、早紀ちゃん?」
桜井の声です。
それもトーンを下げています。
「さっきの話、冗談じゃないよ」
「さっきの話って?」
「ほら、さっき古林が吐いた時に言った…。
俺さ、初めて会った時から早紀ちゃんのことが好きになったんだよ」
「ええ~」
早紀は、満更でもなさそうです。
「いや、ホントだよ。
この子だって、ビビット来たんだ。ね、真剣に考えてくれない?」
「だって、直人がいるし…」
「酒癖の悪いこいつと付き合っていたら、苦労するよ」
「それは分っているけれど…」
「ねえ?」
「はい?」
「キスしちゃダメ?」
「ええ~っ。何を言うんですか…」
「ほんと、1回だけ。ねっ、ねっ」
執拗に食い下がる、桜井です。

どこからこんな話に、発展して行ったのでしょうか。
(ばかだなあ…。
断られるに決まってるじゃない)

「う~ん。キスだけなら…。でも、キスだけですよ」
早紀は、断りませんでした。
「約束、するする。良いの?ほんと?」
こくり。
早紀が、頷きました。
(おい、早紀! 何、言ってるんだよ)

ふたりは、見詰め合っています。それはまるで、恋人の様に見えました。

「う~ん。本当にするんですか?やっぱり、やめません?」
「何言ってるの、今更。目を閉じてご覧」
桜井が、甘ったるい声を出しました。
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