妻と男の物語


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私の足元で…16

[1964] 私の足元で…16 わくわく 投稿日:2007/06/02 (土) 23:43

話は、意外な進展を迎えます。
続きです。


「ねえ…」
桜井の催促に、早紀はなんと答えるのでしょう。
「ごめんなさい…。
私も切ない。
抱かれたい。
桜井さんのこと、嫌いじゃない…。
でも、直人がいて、それも横に彼がいて…。
裏切られない…」

いや、もう十分に裏切っているのですが…。
よくアンケートに、どこからが不倫と思うか、なんてありますが、あそこにちんちんを入れなければ不倫じゃないという人も、結構いるようです。

「どうして?」
桜井の疑問も、男なら分ります。
男って、キスを許してもらったら、えっちをしたも同然ですよね。
それが、早紀は、桜井にあそこを触らせておきながら、いや、なにまであてがうことさえ許しながら、ダメと言うんです。

「抱かれたいなら、素直になって…」
「素直になりたい…。
でも、ここではイヤなんです」

(ここじゃなきゃ、抱かれても良いって言うの?)
なんだか複雑です。
私のことを裏切られないなんて嬉しいことを言いながら、私が横にいなければ抱かれても良いと思っているんじゃないですか。

でも、良しとします。
一時的でも、桜井から早紀を守ることが出来たのですから。
いや、私は何もしていませんが…。

「じゃあ、違う日に会ってくれる?」
「はい…」
「連絡先は?」
「後で教えます」
今と違って、携帯電話が普及していなかった頃の話です。
簡単に、電話番号やメアドの交換とは行きません。

私は、楽しくなりました。
そうそう、上手い話があってたまるものですか。
後は、早紀と桜井が直接連絡出来ないように、注意すれば良いのです。

なにしろ早紀には、監視の目があります。
と言うのも、早紀が通う看護学校は、公立の学校で、自宅通学か寮生活が基本です。
誤魔化してアパートに住む学生もいますが、発覚した時点で退学です。
早紀は地方出身ですが、幸いにも学校の近くに叔母夫婦が住んでいて、そこにお世話になっています。
しっかりとした身元保証人がいれば、そこから通学することも認められています。
叔母夫婦も、大事な姪っ子を預かり責任重大です。
変な虫が付かないようにと監視の目があるので、私でさえ早紀に電話をすることは出来ません。
いつも彼女から、連絡が来るようになっています。
外泊は、女友達の名前を借りています。
ですから、桜井の自宅の電話番号さえ教えなければ、ふたりで連絡を取り合うことは出来ないのです。

早紀が、桜井のことを好きと言ったのも、あれほど愛撫されちゃったのですから、気の迷いが生じたのでしょう。
私は起き上がって、桜井に向って
「ば~か」
と言いたい気分でした。
いや、彼は面倒見の良い先輩です。
それは分っているのですが、早紀を寝取ろうとしたのですから、彼の私の信頼度はぐんと下がりました。

やれやれ、と力が抜けました。
疲れました。
ぐったりとしています。

しかし、人間とは現金なものです。
桜井の寝取りの作戦が不成功に終わったと思うと、なんだかつまらなくなってしまいました。
えっちしても良かったのに…。
そんなことさえ、思うようになりました。
本当に、調子が良い男です。

残された興味は、ふたりがどうやって後片付けをして、そしてどう言う顔をして、私の横に潜り込むかと言うことです。
そして、夜が明けたら、ふたりはどう言う顔をするのでしょう。
私のことを、まともに見られるのでしょうか…。
なにか、意地悪してやろうかしら。


桜井と早紀は、姿勢を変えて、畳の上に座っています。
早紀のお尻の下には、桜井のシャツが敷いてあるようです。
早紀の愛液が、スカートを汚すのを防いでいるのでしょうか。

座りながら、桜井は早紀を見つめています。
早紀も、桜井を見つめ返しています。

(嫌な感じだなあ…)

「ねえ…」
「はい」
「例えば、僕が君に連絡先を教えたとして、君が電話をかけてくると保証できるの?
それにもし、君が連絡先を教えてくれたところで、それが本当の番号だとは、どうやって保証できるの?」
流石、主任です。
上手い言いがかりをつけます。
「信じてもらうしか…」
「俺、早紀ちゃんのこと本気なんだ。
そりゃあ、横恋慕だって分っているよ。
こんなことをしながらも、古林には悪いことをしていると言う罪の意識はあるよ。

古林は、可愛い後輩だし…
でも、早紀ちゃんが好きになっちゃったんだ」
「直人のことが嫌いじゃないなら、なお更こう言うことはいけないことです。
それに、会社が一緒ですよ」
「そうだよね。
でも、誰にも言っていないけれど、色々あってね。
実は、小さいけれど、実家は会社を経営しているんだ」
そうです。
桜井の実家は大阪にあり、従業員40名ほどの会社を経営していると聞いています。
「数ヶ月前に、おやじが倒れたの。
心臓が悪くって。
今はお袋が代わりに会社を切り盛りしているんだけれど、かなりしんどいらしいんだ。
で、こっちに出てきてる兄貴と帰って、一緒に実家を手伝おうと思っているんだ。
俺、独身じゃない。
30だし、そろそろ嫁さんも欲しいなあって。
で、早紀ちゃんを見てて、良い子だなあって思うようになったの」
「でも私は直人と…」
「早紀ちゃんがうんと言うなら、きちんとするよ。
古林にも話は付ける。
経済的にも、苦労はかけない。
それに、直ぐには決断できないだろうし、学校が終わってからでも良い。
それまで、待つ」

(おいおい、いきなりプロポーズですか?
それは反則じゃないですか?
もしかしたら、やりたいだけのリップサービス?)

「急にそんなことを言われても…。
私は、看護婦になりたいし…」
「分ってる。
だから、結婚してからも、看護婦を続けて良いし」
「ええっ?
考えさせて下さい…」
「うん、良いよ。
待つから。

で…」
「はい?」
「その…。
本当に、会ってくれる?」
「はい。
でも、今の話を聞くと、もっと真剣に考えないと…」
「そうだね。
そうしよう。
その時に、きちんと話を聞いてくれる?」
「はい」
「でさ…。
その…、会う約束の証しを見せてくれない?」
「証しって?」
「俺を受け入れて欲しい。
受け入れるだけで良いから。
動かないから。
ねえ。
ダメ?
好きなんだよ…」

早紀の両肩を抱いています。

早紀の、再びの貞操の危機です。
落ち着いたはずの心臓が、また高鳴り始めました。

最初のキスの時は、座っていると私がいつ目を覚ますか心配だからと、畳の上に横にならせたのに…。
今は、座りながらキスをしようとしています。
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