妻と男の物語


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私の足元で…24

[Res: 1986] 私の足元で…24 わくわく 投稿日:2007/06/08 (金) 19:35

早紀と桜井は、交歓が終わったと言うのに、長いこと話をしていました。
学校のこと、友達のこと、趣味のこと…。
なにもここで自己紹介をする必要もないのに…。

ただ、もう私は、緊張する必要がなくなっていました。
やはり、男女の睦み合いを見ると言うのは、辛いし疲れるものです。
している当事者より、見ている方が大変かも知れません。
「明日、会えないかな…」
「明日も、ここに泊まる予定なんです」
叔父叔母の監視の目があるから、連泊は滅多にないことなのですが…。

早紀の友達に、八千代と言う女の子がいます。
彼女も、早紀と同じ学校の生徒です。
自宅から通っていて、早紀が外泊する時は、彼女の名前を使います。
八千代の両親は、それほどうるさい人たちではありません。
八千代が酒を飲んでいることを知っていても、とやかく言うこともないのです。
早紀も八千代も成績は良い方です。
学業が疎かにならなければ、多少は羽目を外しても見逃そうと言う所でしょう。

そもそもの早紀と私の出会いは、居酒屋です。
当時、失恋した私を、友達ふたりが慰めようと“直人君を励ます会”を開いてくれました。
友達と言っても、ふたりとも私より年上なのですが…。
で、隣の席にいたのが、早紀と八千代のふたりだったのです。
彼女たちも失恋を癒す飲み会でした。
命名するなら“早紀を励ます会”だったのです。

早紀の学校は、大きな公立病院の中に組み込まれています。
看護実習は、その病院に行くわけです。
そうなると、ドクターと看護学生の交流も生まれます。
中には、元気のあるドクターがたくさんいます。
前述の様に、早紀はモー娘の元リーダー、よっすいのような整った顔をしています。
みなさんがドクターなら、放って置けるでしょうか…。
早紀は誘われるまま、ドクターのサッカーチームのマネージャーになります。
そこで、30代のドクターと恋に陥ります。
高校は女子高で、他校の男子生徒からアプローチはあったようですが、身持ちの良い早紀は処女を守っていました。
そしてそのドクターが初めての人になったのですが、彼には付き合っている彼女がいたのです。
彼女は、開業医の娘です。
早紀は、それを知りませんでした。
幾ら早紀が可愛くても、将来を考えればどちらを選ぶか想像が付くでしょう。
失恋した早紀を八千代が慰めるために、私たちと同じ居酒屋に連れて来ていたのです。
偶然の悪戯でした。
「せっかく、隣になったんだから、一緒に飲みませんか」
私たちグループの年長者が、声を掛けました。
ふたりは、顔を合わせてどうしようか?と言うような様子をしていましたが、人畜無害に見えたのでしょうか受けてくれました。
簡単な自己紹介やら、飲んでいる経緯を話すと、
「なあんだ。失恋同士でくっついちゃえば」
なんて冗談が飛び出すほど、打ち解けた場に変わりました。
私と言えば、飲む量を控えたため、乱れることはありませんでした。
その日は、また飲みましょう、と言うことで、お互いの連絡先を交換し分かれました。

そこでひとつ、問題が発生します。
我々の3人の一番年長者は、結婚を約束した彼女がいて、早紀と八千代をどうこうしたいと言う考えはなかったのですが、真ん中の彼、高橋が大変でした。
彼は、都内の商社に勤めていましたが、夜盲症の障害があり、資料室の様な所に所属していて、会社に関する新聞、雑誌の記事などをスクラップするような仕事をしていました。
昼は、テニスをやるくらいですが、夜は灯りがあっても歩くのにかなり困る状態です。
そんなことで、これまでマトモに付き合った女性がいなかったのです。
1~2度はデートするらしいのですが、女性から離れて行くと言うのです。
その彼が、早紀を気に入り、できれば付き合いたいと言い出しました。
看護学生だから、病気に対してある程度の理解を示してくれるだろうと言うのです。
いつもは、それほど自己主張をする人物ではないのですが、今回だけははっきりとしていました。
私も付き合うなら早紀と思っていたので残念でしたが、まだ一回一緒に飲んだだけですから、彼を応援する立場に回りました。
で、私はなんとなく八千代に声を掛け、映画に誘うと付き合ってくれました。
高橋の方も、早紀を映画に誘ったようです。
八千代に、付き合おうかと言ったところ、彼女がいる男性を好きになっていて、それで悩んでいると言うのです。
八千代の思いは、彼にも伝えてあり、彼もデートに付き合ってくれると言うのです。
が、身体の関係はない…。
彼は、彼女と別れるまで、八千代を抱くことはない。
けじめをつけたい、と言っているらしいのです。
そうこうしている内に、彼は関西の方に転勤になってしまいました。
その寂しさを紛らわすために、私のデートの誘いを受けていたようです。
私も、失恋したばかり。
人恋しい反面、恋愛は当分良いかなあ…、と言う考えもあり八千代とも宙ぶらりん。
で、高橋の方を見ると、あちらはあちらで宙ぶらりん。
「キスしたんですか?」
「キスなんて、とんでもない」
「手は握ったんですか?」
「握ったと言えば、この間一緒にすし屋行って、寿司握ってもらった」
「ダメだ、こりゃあ…」
こんな調子ですから、早紀と高橋の関係は一向に進展しません。
それじゃあ、と愛のキューピット役を買ってでました。
「頼む、古林~。
掛かった経費は、俺が全部持つ。
いや、酒も奢るよ」
早紀と喫茶店で待ち合わせをして、高橋のことを聞くと…。
悪い人じゃないとは思うけれど、付き合う対象としては考えられない。
実を言うと、デートの誘いも困っていると…。
出来たら、諦めて欲しい…、と。
(だめじゃん。
高橋さんの失恋記録、更新決定!)

と、ふとよからぬ考えがよぎりました。
私が、恋人候補に名乗り出たらダメなのかなあ…って。
だって最初は、私も早紀のことが気に入っていたのですから。
それを高橋が、無理やり、オマエは八千代担当なんて押し付けられ…。
「あの~、早紀ちゃん」
「はい」
「僕が、付き合ってって言ったら迷惑かな」
「えっ?」
しばらく沈黙が続きます。
「八千代と付き合っているんでしょ?」
「いや、付き合ってないよ。
と言うか彼女、好きな人いるよね?
早紀ちゃんも、知っているでしょ」
「はい…。
八千代って、なんか複雑で…」

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