妻と男の物語


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私の足元で…26

[1996] 私の足元で…26 わくわく 投稿日:2007/06/11 (月) 02:21
酒に飲まれなきゃ、良い人なのに…。

これが大部分の人の、私に対する評価です。
私自身は気をつけているつもりでも、中にはおもしろがって酒を薦める人もいて、ついつい杯を重ねてダウンと言うこともありました。
酒に飲まれると言っても、別に暴力を振るうわけではないのです。
ただ酔っ払って目が据わり、焦点が定まらなくなるから人をじっと見てしまう。
知っている人なら、そろそろダウンの信号と分るのですが、知らない人にとって見れば、睨んでいる喧嘩を売っているとなるのです。
大抵の人は相手にしませんが、たまに血の気の多い人にぶつかると、トラブルも発生しました。
早紀の前でも、何度かみっともない変身ぶりを披露しましたが、暴れるわけではないのでその辺は許容の範囲だったようです。
が、ある日早紀が泊りがけで遊びに来て飲んだ帰り、向かいの席に座っていたのがチンピラ風の男で、その男を私が睨んだと言うので文句を付けられてしまったのです。
その男にとっては、ちょっとした時間つぶしだったのでしょう。
早紀が必死に謝って事なきを得たということですが、早紀も私も暴力を振るわれたわけではないのです。
が、早紀にしてみれば、それが心に残ったのでしょう…。


場面は、当時の私の部屋に戻ります。
交歓の後、しばらく話をしていたふたりですが、早紀にちょっとした変化が起こります。
「はあ…」
深いため息です。
「どうしたの?」
「どうしよう…」
「だから、どうしたの?」
「私、とんでもないことしちゃった。
なおのこと、好きなのに…。
桜井さんと、えっちしちゃった。
私、だらしない…」
「早紀、なに言い出すの。
早紀は、悪くはないよ。
謝るのは、俺の方だよ」
「…。
私ね、桜井さんのこと、嫌いじゃないです。
でも、こう言うことをするまで好きかなあって…。
さっきは、愛してるって言っちゃったけれど」
「ごめん。
早紀が断れないように、どんどん進めたのは俺だものね」
「私…。
なおのこと、好きなんです。
優しいし…。
ただ、お酒を飲みすぎて、この間変な人に絡まれた時、凄く不安になって…。
次の日、そのことをなおに言ったら、覚えてないんです」
「あいつはさ、自分の酒の限界とか、まだ分っていないんだよ。
酒飲んで楽しいから、ついつい調子になって飲んじゃって…。
気が付いた時には、限界を越えている。
あいつも、その辺のことが分ってくると、人間的にも成長するんだろうな…。
俺が思うにさ、早紀と古林は、出会うタイミングが悪かったんだよ。
あいつがもう少し大人になっていたら、早紀が苦しむこともなかった。
気にすることはないよ」
「桜井さんは、こんな私を軽蔑しませんか?
好きな人がいるのに、違う人に抱かれて…。
それも、そばで寝ているのに」
「それは、俺に責任があるから、軽蔑なんてしていないよ。
それに、こう言うことって、男と女の間では良くあることだよ」
「私今、凄い自己嫌悪に陥っています。
明日、なおの顔が見られない…。
どうしよう」
「だから、俺が古林に話をするって。
あいつに、謝るよ」
「話をしたら、なおが傷つきます」
「じゃあ、どうすれば良いの?」
「なおには、絶対言わないで下さい。
今日のこと…」
「俺と付き合うって言うのは?」
「考えさせて下さい。
なおのこと好きだし…、桜井さんも嫌いじゃないし…。
それに、こんなことしてしまったし…。
もう少し、時間を下さい。
ごめんなさい」

早紀が私の酒癖の悪さに不安を持っている時、そこに桜井が大人の余裕で迫り、早紀が断れないように仕向け、男と女の関係になってしまった。
それは桜井の作戦勝ちにも見えましたが、早紀は落ち着くととんでもないことをしてしまったと改めて後悔しているようです。

そうなると、勝手が違ってくるのが桜井です。
若くて魅力的な早紀に、愛しています、付き合いますと言わしめたのに、今はまた私に戻ろうとしているのです。
もし私が、桜井なら…。
早紀にもう一度関係を迫り、自分とのSEXを忘れられないようにするのですが。
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