妻と男の物語


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私の足元で…25

[Res: 1986] 私の足元で…25 わくわく 投稿日:2007/06/09 (土) 19:33

早紀も私を憎からず思っていたようで、ふたりは付き合うことになります。
「失恋した者同士、付き合ったらって言われたでしょう。
あの時、それでも良いかなあって、思っちゃった。
でも、後で八千代から、古林さんに映画に誘われたって聞いて、ショックだったんですよ」
私も、早紀のことが気に入っていたこと、でも、高橋から早紀との交際の応援をしてくれと頼まれたことなどを話しました。
「ちょっと遠回りしちゃったね」

私は、早紀と前の彼とのことも聞いて、金銭面でのことなど正直なところ躊躇はありましたが、早紀はそれ以上に魅力的で交際を申し込みました。
そしてその日は、何もなく別れました。

早紀と別れた足で、高橋と約束の居酒屋に行きました。
さしあたっての問題は、高橋をどう納得させるかです…。
高橋は既に、ビールを飲んでいました。
「お疲れ~。
さあ、座って座って。
お姉さん、こっちにも大生ひとつ。
オマエ、つまみは何にする?」
高橋は、私の重い気持ちなど知る由もありません。
「さあ、ぐううっと行って下さいな、古林さんよ~」
上機嫌です。
「で、どうだった?
彼女、なんて言ってた?」
「すみません。
良い返事、もらえませんでした」
頭を下げました。
「えっつ。
やっぱり…。
やっぱりダメかあ…。
しかしオマエ、はっきり良い過ぎ(苦笑)
まあ、その方が、早く諦めが付くけれどさ。
で、彼女、好きな人でもいるの?」
まさか、私が付き合うようになりましたとは言えません。
「いえ、いないって言っていました。
ただ、いまは、恋愛は良いかなあって」
「時間が解決してくれるのを待つっていうの?
じゃあ、まだ俺にもチャンスは残っているの?」
「…」
私の顔が、苦悶に満ち溢れていたのでしょうか、
「冗談だよ、冗談。
俺はさ、慣れているから。
諦めが早いの。
さあ、のものも」
「あの…」
「なんだい?」
「僕がアタックしても良いですか?」
「へっつ?
そりゃあ自由だけどさ。
彼女、当分恋愛は良いって言っているんだろう?」
「はあ。
いや、今すぐにと言うわけじゃなくって」
「それは、俺がどうのこうのと言える立場じゃないよ」
なんとか納得してもらい、後は高橋の女性観をたっぷりと聞かされました。
が、流石にご馳走になるわけにも行かず、割り勘を申し出ましたが、勘定は結局、高橋が持ってくれました。
「なあ、俺ってこんなに気風が良いのに、分ってくれるおんながいないの…」
なんか、寂しそうでした。

私の引越しなどで、高橋とは徐々に疎遠になりました。
随分後で聞いた話ですが、商社を辞めるとマッサージの勉強をはじめ、資格を取得したそうです。
そして、生まれ故郷である九州に帰りマッサージの店を開いたと言うことですが、それ以降のことは分っていません。

次は、八千代です。
早紀とのことは、特に八千代にも言っていませんでした。
しばらくして、八千代から連絡があり、大阪に行くと言うのです。
早紀も一緒と言うことですが…。
で、帰ってくると呼び出され、話を聞くと
「大阪の彼とは、決着を付けて来た」
「決着?」
「別れて来たの…、と言ってもあなたも知っての通り、きちんと付き合っていたわけじゃないけれど」
「あっ、そうなんだ」
不思議です。
なぜわざわざ私を呼んだのでしょう。
「前に、付き合おうかって言ってくれたでしょ?
その気持ち、まだ変わってない?」
「えっ?」
「こんなおんなですが、よろしくお願いします」
「えっ!?」
「どうしたの?
そんなに驚いた顔をして…」
「いや…、あの…」
「おかしいわよ」
「ごめん。
今、早紀と付き合ってる…」
「えっ?
早紀、何も言ってなかったわよ。
高橋さんとは、付き合わないようになったって言うのは聞いたけれど」
「ごめん。
君には、もう少し経ってから言おうと思っていたんだ」
「なあんだ、そうなの…。
おい、古林、そう言うことは早く言え!
私大阪まで行って断ってきて、バッカみたいじゃん」
「ごめん…」
「まあ、しょうがないかあ。
私が、はっきりしなかったのが悪いんだよね…。

よおし、今夜は飲むぞ~。
おいこら古林!
早紀も呼べ!」
「酔っているの?
飲んでないのに」

おかしな関係になってしまった八千代は、全面的に私たちふたりをバックアップしてくれると言うのです。
高橋含め、当時私たちは近くに住んでいましたが、しばらくして私は杉並に越しました。
と言うことで、八千代とも疎遠になり、早紀と別れてから久しぶりに再会することになるのですが、今考えてみればみんな変な縁で結ばれていたのかも知れません。
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