妻と男の物語


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2年前、それから20

[3700] 2年前、それから20 忠太郎 投稿日:2008/04/17 (木) 15:00
〔再びの藤本別邸〕
その年の師走、木村から“パパといっしょに来てね”と、裕子に連絡があった。
藤本別邸での忘年会の招待だった。
裕子は、藤本の別邸の蔵の中でのことは、健次には話していない。
裕子が、木村と藤本の別邸にいった時は、自分が、仕組んだ事とはいえ、健次を典子に盗られてしまった様な、一時的な嫉妬からであった。しかし、藤本別邸の蔵の中に連れて行かれたときは、木村にリードされて、自分でも記憶にないほど、乱れた恥ずかしい姿を晒してしまったと思っている。

忘年会を企画した方の、木村と藤本は、裕子を抱きたいだけであって、名目は忘年会でも新年会でも、何でもいいのである。特に、藤本があの日以来、裕子を忘れられなくなっていたのだ。だが、藤本としては木村に遠慮があり、直接裕子に接近する訳にはいかない。

木村は、健次が傍にいないときの裕子よりも、健次といっしょにいる裕子のほうが、“パパがいっしょ”という安心感からか、吹っ切れたような天然の明るさがあり、健次に見られているところでの裕子の乱れる姿が、堪らなく魅力的だということが判ったのだ。
健次には、雅子から連絡をしている。勿論、雅子から誘われて、健次が断るわけはない。

「パパ、ちょっと聞いてくれる……」
珍しく、言い憎そうな表情の裕子だったが、藤本別邸の蔵でのことは、言わなければいけない様な気がして、ずっと心の隅に引っ掛かっていたのである。
それでも、ポツリ、ポツリと、あの夜の木村とのデートの内容を、裕子が話しをできる範囲で、健次に打明けたのである。
木村から誘われて裕子がついていった事でもあり、健次には大方の予想はついていたが、裕子の話から、藤本別邸の、蔵の中の様子を想像して股間を勃起させていた。

忘年会に参加した顔ぶれは、木村と雅子夫婦、藤本と妻の由紀江、岡田と真由美の夫婦、それに裕子と健次の4組の夫婦だった。
先ずは、豪華なリビングでの食事が始まった。藤本の妻、由紀江の豪華な手料理であった。
この前、裕子が木村と来た時にも、由紀江は蔵の中にいたのだが、裕子は覚えていない。無理からぬことであろう。健次は、由紀江と初対面であった。何にも遊び人の藤本が好みそうな、料亭の女将といった風情を想わせる艶容の女である。が、決して表に出るような言動は一切ない。藤本の影のように控えている。

心ゆくまで食して飲んだ後に、あの蔵へと移動した。
蔵の中は、由紀江の好みによるものなのか、壁にしても照明にしても、妖艶な演出が施されているが、下品ではない。健次は、建築家として、由紀江のセンスを評価できると思った。
真ん中に直径が2~3メートル位の円形のステージがあった。部屋の雰囲気だけでも、健次の股間は反応を示していた。裕子も何かを期待している自分に、恥じらいながらも、体の中心が熱くなっていくのを感じていた。健次がいっしょなら恐れはなかった。
「今日は、ちょっと趣向を凝らしてみましたので、期待してください。とは、言ってもやることは一つなんですが」
藤本の説明に皆が苦笑した。
「でも、プロセスは大事ですから」
木村が補足したが、これも笑いを誘った。場が少し和んだ。
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