妻と男の物語


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2年前、それから23-2

[Res: 3732] Re: 2年前、それから23 忠太郎 投稿日:2008/04/25 (金) 19:26
自分の部屋に戻った裕子は、自然と笑みがこぼれてきた。一人でやり遂げたという充実感に満足していた。誰かに聞いてほしくて健次に電話をした。
「パパ、あたしね。今ね、すごいことしちゃった……」
「なんだよ、裕子か。悪いけど、疲れて眠くてしょうがないから明日にしてくれ、じゃあな」
「もう、いい話なのに……」
電話は、一方的に切れた。裕子の興奮は治まらない。誰かと話したい。
“そうだ、雅子さんなら、まだ起きているはずだ!”
雅子は、丁度風呂から出たところだった。
「あら、裕ちゃん、どうしたの、こんな時間に」
「遅くごめんね。あのね、うふ、あたしね……」
夕方からの経緯を、自慢話のように雅子に話をした。いや、裕子にとっては自慢だったに違いない。
「あなたも随分成長したわね」
といった雅子の一言が、裕子にとっては最高の誉め言葉に聞こえた。
興奮冷めやらぬ裕子がベッドに入ったのは、深夜2時を過ぎてからであった。

翌朝、裕子は9時に起きた。先ずぼんやりした頭と体を、湯に入りながら戻すことにした。
通夜は、夕方の6時からである。それまでの時間をどうするかを考えた。
今、臨時収入が13万円もある。
あの人の良さそうなおじさんが、勘違いしてくれたお金だ。今晩の約束も反故にするわけにはいかない。
しかし、このまま貰ってしまうのも悪い気がする。何かお返しをしなければ、と湯の中で彼女は考えた。
裕子の出した結論は
“今晩、精一杯サービスしてあげよう!”ということであった。

11時ごろにホテルを出た裕子は、街の中をぶらついていると、あるショーウインドウが目に留まった。
マネキンのボディにフィットした、おじさんが喜びそうな、セクシーな白いワンピースだった。
“そうだ、これを着ていこう。絶対に喜ぶわ!”
たしかに、男だったら、裕子のような女が着てくれれば、誰でも喜ぶミニのワンピースだった。
店内に入ると、愛想のいい若いお兄さんが相手をしてくれた。
試着すると、裕子にピッタリだった。愛想のいいお兄さんは
「すごい、ピッタリですよ。こんなにこのワンピースがお似合いになる方は、滅多にいらっしゃいません。素晴らしいですね!」
思わず買ってしまった。勧め上手なお兄さんに、その服に合う靴とバッグまで買わされてしまった。
〆て、145,000円である。赤字だ。
“でも、おじさんの気持に応えてあげるためだ。仕方がない”
これでは商売にならない。経費の掛けすぎである。

“そうだ、下着もセクシーなのを着けていかなければ……”と思ったが、これ以上の出費は痛い。
考えた挙句、またしても裕子は素晴らしいことを思いついた。
“そうだ! 下着を着けないでいこう”
大サービスである。どうせ、ホテルの中を移動するだけだし、エレベーターに乗ればすむことである。

通夜が終り、裕子が部屋に戻ったのは9時を少し回った頃だった。
さあ、これからが本番である。子どもが遠足にでも行くような、ワクワクした気持ちになっていた。
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