妻と男の物語


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誠実な人(3) 2

[Res: 4546] Re: 誠実な人(3) イワタ 投稿日:2008/08/19 (火) 00:11
続きです。

「私は、少し気まずい雰囲気の中、帰り支度をしました。その中で奥様が私にふと尋ねられました。『なぜ、私だったら良かったのですか?』」

確かに、それは気になる事項でした。
なぜ、妻のことを思うとエレクトできるようになったのでしょうか・・・。

「私は、奥様の真摯な視線に正直に答えました。『あなたが亡くなった私の妻に似ていたからです・・・。』」
「私の妻が権藤さんの奥様に似ているのですか?」
「ええ。奥様も同じ質問をされましたよ。『私が権藤さんの奥様に似ているんですか?』と。たしかに、奥様は私の妻に似ていました。容姿も、性格も雰囲気も、全てがそっくりでした。」

妻に権藤さんの奥様の面影を見出したこと、これが、彼を突き動かしていたのでしょう。
彼の不能だったイチモツを甦らせてしまった妻・・・。
全ては、権藤さんと権藤さんの奥様との愛の記憶なのでしょうか。

「だからといって許されるわけではないのは承知しています。ただ、奥様と一緒のときは本当に楽しかった。」

心底嬉しそうな感じが、口調から読み取れます。

「『あなたに会うたび、いつも妻に会えたようで楽しかったですよ。そして、今回のことは、奥様には大変申し訳ないことをしたと思います。でも、妻で、私の中がいっぱいになりました。』」

権藤さんは妻に話した台詞をそのまま私に喋りました。

「『奥様をとても愛してらっしゃったのですね?』と聞かれ、私は沈黙しコクリとうなずきました。」

しばらく、権藤さんは無言になりました。

「私の目が潤んでいるのが自分でもわかりました。そのまま、私達は玄関に行きました。帰り際、奥様は小さな声でおっしゃいました。『また、奥様に会いたい時は、私が奥様になります・・・から。』」

妻が、そんなことを・・・。

「妻が『権藤さんの奥様になる』と言ったのですか?」
「ええ、おっしゃいました。小さな声でしたが・・・。私はどういう意味だろうと考えてしまいました。」

確かに、どういう意味なのでしょうか、肉体関係を許すということなのでしょうか。
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