妻と男の物語


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息子の先生・授業参観①

[6950] 息子の先生・授業参観① tttt 投稿日:2009/08/01 (土) 15:03
 掃除機をかけている音で、気づかなかったのだろう。学校から帰ってきた息子に、不意に背後から声をかけられて、思わず秀子は飛び上がった。
 「ただいま、お母さん」
 「ふー・・・隆・・・帰ってたの。お帰りなさい」
 「お母さん、これ」
 「え?何?」

 息子が差し出したプリントを、秀子は受け取り、息子に微笑みかけた。
 「授業参観ね。わかったわ。ちゃんと行きますからね、隆」
 「うん!」

 遊んでくると言って、出て行く息子の背中を見送りながら、秀子は感慨深くこう思っていた。息子の隆が小学生になって、授業参観に行くのもこれで三度目。息子ももう、小学三年生の9歳になった。まあまあ、元気でいい子に育ってくれている。
 そして一方で、暗く気持ちが沈んでしまう。それは、秀子と、夫の関係である。

 原賀秀子は、今年39歳になる。夫と一人息子の隆との三人家族だ。そして、その夫と離れて一年以上になる。商社マンの夫は今、海外の支社に行って、そこで単身赴任しているのである。
 夫は秀子より6歳年下だ。二人は同じ大学の先輩後輩で、秀子が卒業後、サークルの後輩に会いに大学に行ったときに、夫が秀子を見かけ、一目惚れしたらしい。

 夫は秀子に接近しようと、まずはサークルの学生に近づき、秀子にも近づいていった。そしてある日、秀子は夫に告白されたのである。秀子は軽くあしらっていた。まだ大学に入ったばかりの、6歳も年下の男の告白は、本気に感じられなかったから。
 しかし、夫の猛烈な秀子へのアピールは続き、秀子も遊び半分でデートに付き合ったりした。そしていつしか、頻繁に会うようになっていったのだ。そして四年が過ぎ、夫が大学を卒業し、商社に入社すると、秀子にプロポーズした。

 その四年間、秀子にも夫以外に縁がなかったわけではない。女は、好きだ好きだと押しを強く迫られると、そのうちその気になってしまうのだろうか。それとも秀子がそういう性質なのか。結局、一年間、就職した商社で働いてまだ気が変わらなかったらと、プロポーズを受けてしまったのだ。

 夫は大学の四年間、秀子の体を求めてこなかった。それも理由の一つかもしれない。秀子はそう思っている。いや実際は、夫は秀子の肉体を欲していた筈だ。何しろ若いし、それに、秀子は豊満な肉体をしている。秀子自身、高校生の頃などは、発育のよさに周囲の目を気にしていたのだ。恥ずかしかったし、コンプレックスだった。その秀子の豊かな胸の膨らみや、大きなヒップを、夫は焦れた目で見ていた。しかし、求めてはこなかった。そこに秀子は、誠実さを感じた。そして、いたずら心さえ芽生えた。
 それが最大の理由かもしれない。秀子の、肉体のコンプレックスが消えてしまったのだ。六歳も若い男の目をもっと焦らしてやろうと、秀子は体の管理に気をつけるようになった。食事、適度な運動。その習慣は今も続いていて、子供を生んで39歳の今も、秀子の肉体は締まるところは締まり、出るところは出て、グラマラスだ。それなのに・・・

 一年間の猶予付きのプロポーズを受けた後、秀子は夫に体を許した。夫は待ちわびたように、秀子の肉体をむさぼった。やっと食べ物にありつけた飢えた狼のように、秀子の豊満な乳房に、大きなお尻に喰らい付いてきた。会う度に体を求めてきた。秀子は若い男の性欲に驚き、満足した。
 性的な満足ではない。快感はあった。でも秀子は、夫の愛撫や挿入に女の歓びの果てを見たのではない。夫が、自分の自慢の豊満な肉体に挑んできて、うめき、果てて行くのが、この上なく秀子の女を満足させたのだ。

 一年後、秀子は夫と結婚し、息子が生まれた。そして、夫は秀子の肉体を、しだいに求めなくなってきた。秀子には理解できなかった。夫が海外に出る前などは、もうほとんどセックスレスの状態になっていたのだ。秀子の管理された肉体は、道を歩いても振り返る男がいるほど豊満なのに。なぜ夫は、触りもしなくなったのか?この肉体。身長は低いけど、B94・W59・H90の、この肉体を、夫は何故?肌もまだまだ、20代のようだと自負している。それなのにどうして?
 最初から肉体だけが目当てだったのか?若い夫は、年上の女の、目立つほど大きな胸やヒップだけが欲しかったのか?きっとそうだ。抱き飽きたのだ。そうに違いない。

 夫が海外に行って一年以上。秀子は正直言ってほっとした生活を送っている。冷えた夫婦生活をするよりは、この方がいい。もともと秀子は淡白だと思っていたし。これでいいと思っていた。これでいい。でも、夫が帰ってきたら・・・

 

 翌日、秀子は息子が通う学校の校門の前に立っていた。保護者の母親たちが、行き来して、秀子の顔見知りもいた。授業参観・・・そのとき秀子は、その日の授業参観から、秀子の生活が変わって行くとは、思いもしなかった。
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