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[8250] 愛と支配の狭間で 金木犀 投稿日:2009/12/27 (日) 19:16
~ まえがき ~
私達夫婦の実話を元に脚色を加えた半実話の話です。
私自身のこだわりとして、妻の名前は実名にしました。
不馴れなため稚拙な文章になるかと思いますが、
読んでくれる方がいれば幸いです。
~ 一章 ~
「友香…あのさ…これ…」
何か思い詰めたような表情で、
男は友香と呼んだ女性に小さな紙袋を差し出した。
男の名は博行、そして女はその恋人である。
「なに?開けていいの?」
何気なくそれを受け取り、友香は紙袋を開いた。
「あっ…」
中には小さなケース。
さらにそれを開けた友香は、
思わず声を上げてしまった。
「あの…さ、そろそろどうかな…って…」
ケースの中身、
誕生石のピンクトルマリンと、
小さなダイヤがちりばめられた指輪を見つめながら、
友香はクスッと笑う。
「もう、
そろそろどうかな…って、
そういう事くらいちゃんと言ってよ。」
「あ…ああ。
あの…何て言っていいか…。
その…」
「頑張れ、ひろくん。」
茶化す友香は、
恋人がプロポーズしようとしている事を理解していた。
友人の紹介で知り合い、
交際が始まって五年になる。
お互いの両親にも公認の仲。
同い年の二人は今年、
揃って三十路の境を踏み越えた。
そろそろ結婚をと催促されるこの頃でもあった。
「け…結婚…して…ほしい…」
百点には程遠いが、
口下手な博行にしては頑張った方かな…
そんな風に考えながらも、友香は涙が溢れるのを止められず、
ただ頷くしかできなかった。
両親も喜ぶだろう…
誰が見ても幸せの絶頂…
しかし友香の心の中にたった一つだけ…
一つだけではあるが、結婚の喜びに靄をかける秘密があった。
深夜…
友香は何かに導かれるように目を覚ました。
枕元には婚約指輪。
それと携帯電話が置いてある。
ふと目をやると携帯は暗闇に青く光っていた。
携帯電話を開く友香の手は微かに震え、
掌には汗が滲んでいる。
ディスプレイには受信メールを知らせるマーク。
一件のメール…
『友香、急だが明日時間が空いた。
それだけ伝えておく。』
メールを確認すると、
胸の鼓動が高鳴るのを感じ、
身体の奥から何か熱い物が込み上げて来るような感覚に襲われる友香だった。
~翌日~
友香はとある場所にいた。
フローリングの床…
その冷たさと固さを、友香は剥き出しの膝、そして脛に感じていた。
全裸で正座し、首輪を着けた異様な格好…
首輪から伸びるリードの先には男の手があった。
男は博行ではなかった…
「ヒデ様…」
友香は男をそう呼んだ。
博行に明かせない只一つの秘密…
プロポーズの喜びに靄をかけた秘密…
「ヒデ」との出会いは三年程前。
友香は幼い頃から被虐嗜好癖があった。
簡単に言えばマゾと呼ばれる性癖を持っていた。
テレビの時代劇などで縛られる女性を見ると、
自分と重ね合わせ言い知れぬ興奮を感じた。
女性が乱暴に扱われるシーンに昂る感情を抱いた。
しかし、ごく真面目な家庭に育った友香には、
その自分の性癖は異常で、間違った事だという思いも強くあり、
決して口外する事は無かった。
当然付き合う男性にも秘密にしてきた。
恋人とのセックス…
優しく抱かれ愛を確かめ合う。
もちろんそれが嫌なわけではない。
幸せを感じる…
ただ何か満たされ切れぬ思いがあった。
やがて友香はそういった類いのサイトがある事を知る。
最初は同じような思いを持つ女性とメールを交わしたり、
体験談を聞く程度だった。
貞操観念の固い友香にとっては、
すでに恋人である博行がいる以上、
メールだけとはいえ男性と関わるのは許されざる行為だった。
しかし、幼い頃から友香に巣食うM性は、
徐々にその貞操観念をねじ曲げるようになっていった。
あくまでも趣味嗜好であって、
浮気とは違う…
満たされない普通の人とは違う欲求を、
それを満たすための行い…
友香がサイトで出会った女性達は、
皆そんな考えを持っていた。
恋人や夫はいるがマゾである事を打ち明けられず、
あくまでも肉体の欲求を満たすためだけのパートナー探し…
恋愛関係ではない…
夫や恋人を裏切る行いではない…
と、同じ性癖を持つ女性達は友香に語った。
初めは納得がいかなかった。
しかし、友香の肉体は鬱積した欲求で限界だったのかも知れない。
メールだけなら…
友香のM性が少しずつ貞操観念を崩し始めた。
チャットやメールを利用して、
Sだと言う男性と知り合った。
何人かとやり取りをする中で、
友香は「ヒデ」に出会う。
他の男の中には、
単にセックス目的ですぐに会おうと急かす者も多かったが、
「ヒデ」は絶妙な距離感と何か言い知れぬ魅力的な雰囲気を感じさせる男だった。
彼氏がいる事もヒデには話した。
浮気とは違う行為なのだと、
自分自身に言い聞かせるためだったかも知れない。
ヒデは、彼氏持ちや既婚者も調教してきたと言う。
あくまでもSMプレイのパートナーであり、
不倫とは別次元の行為だと…
それからヒデとのやり取りは続き、
友香のひた隠ししてきたM性は、
いつしかその虜になっていった。
メールやチャット、時には電話を使っての羞恥心を弄ぶような調教。
友香は命令された事を忠実にこなし、
ヒデに報告した。
下着着用禁止の命令をされ一日過ごす事がある。
仕事をしながらも時々に、自分がはしたない行為をしている事が思い知らされ、被虐心が満たされた。
トイレに立てば、身体の奥から溢れている蜜の感触に、
日常の中にいながら自分だけが非日常の虜になっているようで、
言い表せぬ程の高揚を感じた。
「ヒデ」とのやり取りは毎日ではなかった。
週に一回程度。
一度崩れ始めた貞操観念は止まる事無く…
メールやチャットという、言わばバーチャルな関係では、
友香のM性は満たし切れなくなっていった。
それを察したかのように、「ヒデ」からの誘い…
「友香が望むなら、
リアルな調教をしてやろうか?」
博行への罪の意識に苛まれ、
貞操観念とM性の葛藤をしながらも、
やがて友香の足は「ヒデ」の元へ向かう事になった。
恋人ではない男性に初めて晒した裸体。
幼い頃から胸の奥に秘めてきた、
男性に責められ弄ばれる自分がいた。
手足を拘束され、身動きのとれない自分を感じた時、友香は自然と涙を流していた。
恐怖や悲しみではなく、
それは歓喜の涙だった…
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- 2013/11/24(日) 11:51:37|
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