妻と男の物語


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凌辱の時 3

[1607] 凌辱の時 3 紫 投稿日:2006/07/11 (火) 23:51
 埼玉から遠く離れた青森…10月になろうとしている近ごろは、秋の深まりと冬の気配を一段と感じる。 市立病院の事務職をしている智幸は、仕事を終え自宅から青森駅までの道を急いだ。
午後6時台の電車に乗り、新幹線に乗り継いで、里恵の待つアパートまでは日付が変わる少し前に着く。
新幹線に乗り込み、缶ビールを開け一息ついた智幸は、バッグから小さな包みを取り出した。
里恵とは高校生の頃から10年間もつきあってきた…ずいぶん待たせたが、今回ついにプロポーズするつもりだった…
包みには婚約指輪が入っている。
缶ビールを飲み干しながら包みを軽く握り、里恵への思いを確かめていた。

 里恵はその日、いつもより少し早く仕事を上がらせてもらった。
帰宅する電車の中、一ヵ月待ちわびたメールが届いた。
「もうすぐ着くよ」
智幸と会える…アパートの最寄りの駅で待ち合わせ…
電車を降り人影のまばらなホームを見渡すと…見つけた
里恵は智幸に走り寄って行った。力一杯抱きついて、人目もはばからず口唇を合わせた。
話したい事は沢山あるが、言葉が出てこない。
里恵は早く抱かれたかった。
裸になって、智幸の温もりを確かめたかった…

里恵は嬉しさで満たされた気持ちを感じていた。
いつも一人で歩くさみしい帰り道も、今夜だけは違う…
里恵と智幸は、朝まで交じり合った。
一ヵ月間の淋しさと、欲望をぶつけあって慰めるように…
土曜日の深夜…
智幸と再会してから5回目のセックスをした…
智幸自身を子宮で感じながら、この人の赤ちゃんを生みたい…そう実感していた。
枕元には指輪が置いてある。
智幸の腕枕に抱かれながら、里恵は最高の幸せだと考えていた…
やっとお嫁さんになれる…両親の喜ぶ顔が目に浮かんだ…

日曜日の夕方、駅まで智幸を送る…
いつもだったら、また一ヵ月後までの別れの道。
しかし、この日は違った。翌週の3連休、里恵自身も青森に帰り、智幸と一緒に実家にあいさつに行く約束をしたのだ。
電車に乗る智幸と目を合わせ、いつもなら涙が込み上げてしまうところだが、
今日は自然と笑みがこぼれてきた…
10年つきあってきた二人…当然お互いの両親も公認している。
挨拶が済んだら、翌月の里恵の誕生日には籍を入れる…
そんな具体的な約束までした…
駅ビルで買い物をし、帰り道は少し暗くなっていた。「来月には、ともくんの奥さんかぁ…」
里恵はにやけながら、アパートまで歩いた。    これから起こる悲劇を、里恵自身が予感する事はできなかった…
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