妻と男の物語


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悪魔のささやき12

[4814] 悪魔のささやき12 ナオト 投稿日:2008/10/01 (水) 18:38
mmさん、真夏の夜の夢さん、武蔵さん、ジャンクさん、まことさん、ロッキーさんありがとうございます。
色んなご意見があり、嬉しく思います。自分で書いていながら、辛くなるときがあるのが不思議です。


新宿の繁華街のビルの最上階にある中華料理店に、真由香はいた。
結構高級な店のようだ。夕暮れの街が見下ろせる窓際の席ではなく、真由香たちは奥の個室に通された。
高そうな陶器などが飾ってあり、調度品も格式のある雰囲気である。
しかし、真由香は店の雰囲気に感心するどころではなかった。
相手の男性はすでに席についていたのだが、その傍らにはいかにも水商売風の女性が座っていたのである。

男性は五十代後半、恰幅のいい大柄な身体で赤ら顔。オールバックにした頭には白いものが混じっている。
目ははれぼったく、唇の厚さが目立つ。薄いグレーの背広に赤系のネクタイ。腕にはマグネットリングと金色のブレスレットが見えた。
ホステス然とした女は三十代前半か。細身だが大きな胸が、白地に柄の入ったブラウスを押し上げている。
黒のタイトミニにややダークな色合いのストッキングが、妖艶さを際立たせていた。顔は離れた切れ長の目に、少しエラが張っていて化粧が派手だ。

ここに来る途中、真由香は矢崎にあることを指示されていた。
「今日はカウンセリングを兼ねた食事です。私の会話に合わせることを約束してもらえますか。」
真由香は意味も分からず、うなずくしかなかった。
「いやあ、天城さん、これはまた別嬪さんをお連れで。どうも初めまして、私はこういう者です。」
男は名刺を真由香に差し出した。
『パシフィック電器株式会社 開発本部長 大田司郎』

パシフィック電器?真由香は仰天する。しかも肩書は部長である。瞬時に真由香の頭に浮かんだのは貴彦だった。
業界最大手のパシフィックの、主にマーケティング戦略において、その大半を請け負っているのが、
貴彦の会社ITVエージェンシーのいわばライバルとなる広告代理店である。
しかし、それよりも真由香を驚かせる言葉が矢崎の口から飛び出した。

「こちら真由香ちゃん。行きつけのスナックで働いてるんですが、一応人妻さんです。」
引きつった顔で矢崎に驚きの目を向けるのを気にも留めず平然と言葉を続ける。
「久しぶりの大田さんとの会食に、女の子の一人も連れてこないと失礼に当たると思いまして。
まだ勤め始めたばかりなんで素人同然なんですが。ね、真由香ちゃん。」
何かを促すようなニヤついた顔で矢崎は真由香を見つめる。
真由香は石のように体が固まってしまい、何かを言おうとしても言葉が出てこない。
女の子、という表現に身震いがした。

「ほう~っ、どおりで初々しいはずですな。どこから見ても普通の奥さん、いやお嬢さんといってもいいくらいの方だ。」
大田という男は赤ら顔に笑みを浮かべながら、舐めるような視線で真由香をじろじろと見つめた。
「ほら、ご挨拶くらいしなきゃ。」
矢崎は身体を少し寄せ、真由香の太ももをポンポンと軽く叩く。何か急に馴れ馴れしさを増した矢崎の態度だ。
これがカウンセリングだというのだろうか。
真由香は混乱した頭で腑に落ちないまま、それでも上手く演じてこの場を切り抜けねばならない、という責任感のようなものが先に出てしまう。
こういうところが真由香の律儀な性格なのだろう。
ここで拒んでいたら、わざわざ貴彦に嘘を言ってまでやって来た意味もなくなる。

「ど、どうも、初めまして。」
「大田です。よろしくね~。」
黄ばんだ歯を見せてニンマリと猫なで声を出す大田に、ちらりと目を向けたのだが、真由香は自分のことを「真由香です」などとは言えなかった。
ほどなくビールが運ばれると、大田の横に座っていた女が矢崎の隣りに席を移動してくる。
女は矢崎に必要以上に身体を寄せて、媚びた目で微笑みながらビールを注ぐのだ。
自分の立場を否が応でも理解させられた真由香は、後悔の念が一気に湧き上がる。

目配せするように矢崎がこちらに目をやる。真由香は困り果てた風情でビール瓶を手に取るのだが、その指先は震えていた。
六人掛けのテーブルの向かいに座る大田のグラスに身を乗り出そうとする真由香だったが、大田は自分の隣の席を叩きながら、
「真由香さん、さ、こっちこっち。」と、えびす顔で手招くのだった。
  1. 2012/12/24(月) 11:36:54|
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悪魔のささやき11

[4796] 悪魔のささやき11 ナオト 投稿日:2008/09/29 (月) 21:27

明日の企画会議用の資料をまとめながら、貴彦は自らの動悸の激しさを感じずにはいられない。数分前の真由香の携帯電話での一言を思い出していたのだ。
「偶然友だちと会って、外で食事することになったの。」
真由香が当日になって家を空けるなどというのは、結婚以来初めてだ。真貴は貴彦の実家に預けているらしい。今日は朝からずっと仕事にも身が入らなかった。
実は昨日の夜、矢崎からメールが届いていたからである。

『奥さんから電話がありました。二度目の鑑定を明日行います。
とりあえず何とか食事まではこぎつけようと思ってます。お楽しみに^^』

今朝、真由香は正直に貴彦に鑑定に行くことを伝えてきた。やはり真由香はこういう女性なのである。
どんな些細なことも貴彦には全部話す。あらためて愛しくなった。
そんな真由香が食事の誘いなどに乗るわけがない。ましてや、あの矢崎の誘いになど。
しかし、そんな浅はかな自信はあっさり裏切られた。しかも真由香は嘘をついたのだ。
友人と食事をすると、あの真由香が嘘をついた。いったい矢崎はどうやって真由香を誘ったのか。きっとでたらめな嘘を並べたに違いないことは容易に想像できる。

「お先失礼しまーす。」
後輩の若い社員が、貴彦の横を退社の挨拶をして通り過ぎても、生返事するだけだった。
昨日の矢崎からのメールには、もうひとつ重要なことが書かれていた。

『ひとつ提案があるんです。
奥さんとのセックスですが、あと一週間だけ我慢してもらえますか。
その間に僕が落とせなかったら、キッパリあきらめます。このゲームは終わり。
そのかわり落とすことが出来たら、ご主人は僕の許可無しで奥さんとはセックスさせないつもりです。どうですか、この賭けに乗りますか?』

衝撃的な提案だった。一週間?あと一週間で真由香を落とせるとでも言うのか。いったいどこからそんな自信が湧いてくるのだ。
貴彦はすぐさま矢崎にメールを返した。きっとレイプでも考えているだろうと思ったからだ。それはルール違反だ。
矢崎はすぐに返信してきた。

『奥さんを落としたら、、ということです。つまり合意の上のセックスです。
奥さんが嬉々として私を受け入れてくれたら、その証拠はビデオにでも録画しますよ。
それなら文句ないですよね?レイプはしませんからご安心を^^』

人を小馬鹿にしたような矢崎の提案に、ついに貴彦はまんまとオーケーしたのだった。
真由香が嬉々としてなど、そんなことあるものか。
許可無しで真由香を抱けない、、それこそ正気ではいられないだろう。

時計は午後6時を回っていた。7Fのオフィスから見えるビル群にオレンジ色の陽がキラキラ反射している。真由香のいない食卓がふいに浮かんでくる。
一人、また一人と退社していく中、貴彦はぼんやりとデスクで足を投げ出していた。
言いようのない焦燥感とともに、下半身が硬直しているのを感じながら。
  1. 2012/12/24(月) 06:55:35|
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悪魔のささやき 9

[4755] 悪魔のささやき 9 ナオト 投稿日:2008/09/24 (水) 16:23
火曜日、都内の貴彦の実家に真貴を預けて、真由香は新宿にやって来ていた。
天城蒼雲のところへ行くのは迷っていたのだが、やはりどうしても気になった。
貴彦について何か為になることならば、聞いておかなければならない。それに、最近貴彦の漏らした言葉も気になっていた。
「新規の営業が取れなくて困っている。」
貴彦が仕事上の悩みを真由香の前で言うのは初めてだった。何か貴彦の力になってあげたい。夜の生活がしばらく無い不安も、心の片隅にはあった。

約束の時間は午後の5時だ。もう少し早くしてもらえないか、真由香は天城に頼んだのだが、この時間しかないのだと言う。
5分前に着いた真由香がドアをノックすると、前回と同じようにダミ声が返ってきた。
「どうぞどうぞ、すみませんね、お時間とれなくて。」
天城は、主婦の方をこんな時間に呼び出して申し訳ないと、真由香をソファーに手招きする。
前回とは違い、作務衣姿ではなく、普通の格好だった。白のポロシャツに紺のズボン。
腕に金色のロレックスが光っていた。

「よろしくお願いします。」真由香が緊張した顔でそう言うと、
「まあ、そう硬くなさらず。暑かったでしょう。」とためらいもなく、真由香の手を握る。
一瞬ビクリとする真由香だったが、これが鑑定の仕方であることを思い出す。
「佐々木真由香さんでしたね。」
「はい。」
天城は握った真由香の手の平に少し親指を滑らせながら、じっと目を見つめてくる。
何か悪寒のような物が走り、心を落ち着かせようと真由香は必死だった。
「ご主人の件ですが、今のままですと、ちょっと心配ですね。」
「ど、どう心配なんでしょうか?」真由香の表情に不安が広がる。
「背筋を伸ばして、目を閉じてください。」真由香が従うと、天城はゆっくりその背後に回る。

天城、、いや、矢崎は真由香を背後から見下ろし、少し顔を近づけて、気づかれないよう大きく息を吸い込んだ。
七月の午後、ここに来るまでに当然汗をかいたであろう真由香の首筋から仄かに漂う人妻の香り。柑橘系の薄いコロンと混じって、恥ずかしげにフェロモンを漂わせている。
真由香の両肩に手を置く。柔らかい栗色の髪が、矢崎の芋虫の様な指をくすぐる。
白のノースリーブのブラウスに、くるぶしが見える八分丈のベージュのスキニーパンツ。
まだまだ、女子大生でも通用するような真由香だが、足元のスニーカーが健康的な若妻といった清潔さをかもし出している。

真由香は後ろの矢崎が気になって仕方なかった。
気のせいか、鼻息がかかっているような気がする。自分の脇の下を汗が流れるのを感じた。
沈黙が耐えられなくなる寸前のところで、背後の矢崎は喋りだす。
「ご主人は相当ストレスが溜まってらっしゃるようです。仕事にも影響が出てるのではないでしょうか?」
真由香は貴彦の言葉を思い出す。その通りだ。
「何か思い当たることはありませんか?」
「、、はい、、実は最近、あまり仕事がうまくいってないみたいです。」
矢崎はその言葉を当然のように聞き流し、肩に乗せた手をゆっくりノースリーブの二の腕に下ろす。しっとりと真由香の肌は吸い付くようだ。真由香がぴくりと動いた。
(可愛いぞ、真由香)矢崎は心でそう呟きながら、つとめて冷静な声で言った。
「やはり、そうですか。ご主人は失礼ですがご職業は?」
「広告代理店で営業をしています。」矢崎は口元に笑みを浮かべながら続けた。
「ははあ、というとITVエージェンシーですね。チケットを配りましたから覚えています。営業ですか、成績が伸びないとか?」
「はい。仕事のことはあまり口にしない人なんですが。」

矢崎はニンマリしながら、釣り糸にかかり始めた獲物を逃すまいと気を引き締める。
「前回も少しお話しましたが、奥さんの性格がかなり関係してますね。」
自分の性格が?夫のストレスに自分の性格が関係してるのか?真由香は動転する。
「ど、どういうことでしょうか?」
矢崎は大胆に真由香の髪を手で優しくすくい、真由香のうなじを露わにした。
「ごめんなさいね。」そう言いながら、うなじをなぞるように、指先で撫でる。
「ほら、前回も言ったと思いますが、奥さんは真面目すぎるくらいなんです。」
矢崎の指は、うなじから耳たぶの裏側にも移る。
「すみません、ちょっと、くすぐったいです。」真由香はさすがに体勢を前にずらし、
笑いながらだが、少し低い声で矢崎に告げた。女性に対し、あまりに無遠慮すぎる。
すると、意外にも厳しい声が返ってきた。
「姿勢をくずさないでください。波動が乱れるので。」
「あ、、す、すみません。」逆に真由香が謝ってしまう。

(耳が感じるみたいだな。赤く上気して)まるで美容師のように、堂々と真由香の髪を束ねると、今度は逆の耳も優しく撫でてやる。今度は真由香はじっとしていた。
「夜の生活も相変わらず無いようですね。」
矢崎は耳たぶの裏側から、襟足にそって指で優しくなぞってあげながら、実に事務的な声で問いかける。
真由香は何ともいえぬ不快な空気が嫌だった。努めて明るく笑いながら返す。
「そーなんですよ。オジサン化が始まっちゃったのかも知れないです。ハハハ。」
冗談めかした言い方が、矢崎にしてみればかえって可笑しい。真由香の体温の上昇をしっかり確認しながらほくそ笑むのだ。
(感度は悪くない。子ども産んでるくせに、ウブなところもたまらんな)
矢崎は手を離し、ふたたび真由香の向かい側に座った。

「ちょっと厄介ですな。」
真由香は不安いっぱいの表情で、次の言葉を待つ。
「はっきり言いますね。奥さんの生真面目で固すぎる性格が、旦那さんを無理させているのです。それがストレスとなって、自然とセックスも遠ざかってきています。」
ショックだった。真由香は自分の性格が夫を苦しめているなど、到底信じられない気持ちでみるみる瞳に涙が浮かんでくる。もちろん所詮は占いのことだから、全て当たるわけではないと分かっている。
いつもの真由香なら占い師にこんなこと言われても毅然として、決して己を見失ったりはしない。だが、真由香は天城蒼雲のあまりの鑑定力の凄さにすっかり仰天してしまっていた。占いではなく、真実を聞いている気分だったのだ。
「今はまだいいんですが、この先、二人の間には必ず溝が出来てしまいます。」
矢崎は真由香の動揺を楽しみながら、たたみかけるように口から出まかせを続けた。
  1. 2012/12/23(日) 20:46:56|
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悪魔のささやき8

[4746] 悪魔のささやき8 ナオト 投稿日:2008/09/22 (月) 18:34
ご無沙汰しております。あと10回ほど…。


土曜日の午後の百貨店の賑わいをぼんやり見つめながら、貴彦はわが子を抱きかかえて
ぐったりと、ベンチに腰掛けていた。真貴は疲れて貴彦の腕で眠っている。
家ではたまに、おむつの交換も貴彦がするときがあるが、今はそんな気力もなかった。
頭の中は、真由香と矢崎のことでいっぱいだった。あれから40分を過ぎようとしている。
矢崎は真由香に何を話しているのか。考えるだけで、貴彦の胸は初恋のときのようにきゅんとするのである。
「お疲れーっ!」
ふいに人混みから聞きなれた声が響いた。真由香がにっこり立っていた。
「ちゃんと、お守りできましたか?パパ。」
何ともいえぬ安堵の表情を浮かべる貴彦の腕から、「真貴ちゃんは、ねむねむでしゅかぁ」と娘を抱き上げる。
「あ、おむつ替えなきゃだよ。ちょっと貴ちゃん、待ってて。」
娘を抱いて足早にトイレに向かう真由香に、貴彦は女性のたくましさをしみじみ感じていた。

「霊媒鑑定って、あんな凄いって思わなかった。」
帰りの電車の中で、貴彦は真由香の話に聞き入っていた。
実際は一語一句聞き逃すまいと集中しながらも、大して興味なさそうに相槌を打つ。
「あたしの読書の趣味まで当てるんだよ。」
どくん、と心臓が鳴った。
矢崎が貴彦に様々な質問をした意味は薄々感じてはいたが、実際にこうして矢崎の作戦に見事に利用されていることが分かると、言いようのない焦りを感じる。
「肩とか手とか、触ってね。」
「え?」
「身体に触れると、何か伝わるのかも知れない。よく分かんないけど、なんでも見透かされてる感じで、ちょっと恐かったよ。」
「身体に触ったのか?」
思わず貴彦の声が上ずり、真由香は笑う。
「どうしたの、貴ちゃん。顔、こわいんだけど。」
矢崎と真由香が、例えほんの少しであれ、触れ合ったという事実。おそらく裏社会で生きてきたであろう矢崎と、そういう世界とは無縁の真由香なのだ。
アダルトサイトという、不特定多数の男の欲望の群れから矢崎は現れ、ゆっくりではあるが、確実に真由香ににじり寄って来ている。
「いや、、それで、他にどんなこと言われたんだよ?」
貴彦は、勘の鋭い真由香に変な不審を抱かれないように、ごまかした。
「それがねー、これからって時に電話がかかって来て。なんか、急用が出来たらしくて。
もしよかったら、また来てくださいって言われた。」
きっとそれも計画通りなのだ。矢崎はいともたやすく、真由香と再会するきっかけを作った。あの男はもしかすると本当に、、。
(本当に真由香を口説くことに成功するのでは、、?)
そこまで考えると、貴彦は頭がクラクラとした。
あんな男に、ありえない。この真由香が。いや、あの男なら何とかするかも。自分でも自分が何を望んでいるのか、支離滅裂になっていく。
「ねえ、聞いてるの?」
「え?」
真由香が怪訝そうな顔をしながら貴彦を見つめていた。
「もー、全然、人の話聞いてないでしょ?」
「いや、聞いてるよ。そうだ、天城蒼雲ってどんな人だった?」
貴彦は真由香が矢崎に対してどういう印象を持ったか、気になった。
「うーん、なんか悪いんだけど、正直苦手なタイプ。」
「へえ、どうして?」なぜか苦手なタイプと聞いて、貴彦は身を乗り出す。
「作務衣に茶髪なの。別にそれはいいとしても、、」
なるほど、それじゃまるで一見暴力団風に見えなくもない。しかし、真由香が気になったのは別のことのようだった。
「なんとなく、この人ダメっていうのがあるの。雰囲気としか言いようがないんだけど。
男の貴ちゃんには分かんないかもね。
最初はほんと、胡散臭いなーとか思ったよ。」と真由香は笑った。
そうだ、その通りだ。真由香はやはり、ちゃんと見ている。
「占いの続きは気になるんだけど、何となく気が乗らない。どうしようかな。」
貴彦について矢崎が思わせぶりなことを言ったのは伏せたまま、真由香は、
抱いている我が子を見つめた。
真由香が迷っているときの顔だ。真由香の中の何かが、危険信号を発しているのかも知れない。
ここで真由香を止めることだって出来るのだ。そうすれば永遠に、真由香はあの男とかかわらずに済むのだ。
しかし、貴彦は何も言わなかった。
電車は中目黒を過ぎ、少し傾いた陽を浴びながら、3人の家路へと急いだ。
  1. 2012/12/23(日) 16:40:40|
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「悪魔のささやき」7

[Res: 4270] Re: 悪魔のささやき ナオト 投稿日:2008/07/13 (日) 22:00
「悪魔のささやき」7

真由香を見送った後、娘をベビーカーで押しながら、百貨店へ引き返す貴彦の足は、
宙に浮いているようだった。
ついに、あの矢崎と真由香が会う、、、。
あの狡猾で、得体の知れない四十男と、我が妻真由香。
最も真由香に不釣り合いな、普通だったら最も近寄らせたくないタイプの男。
そんな油断ならない男に、自ら、真由香を出会わせてしまうのだ。
ギラギラと午後の太陽が照りつける新宿の街を、夢遊病者のように、ふらふらと歩いた。

窓付きの古びたエレベーターが、3Fのランプを点し、ゆっくりと扉を開く。
昼間にしては薄暗い廊下に、小さな個人事務所や、囲碁クラブなどの、時代遅れとも思える
スペースが、案内表示に書かれている。
その中に、「霊媒鑑定~天城蒼雲」と比較的新しいプレートがあった。
真由香は、何か不安な気持ちが拭えないまま、案内のある方向へ向かう。
コンコンとノックをすると、「どうぞ」という、やや高い男のダミ声が返ってきた。
狭い部屋の中は、ごく普通の応接室のようだ。
小さな神棚のようなものが、サイドボードに乗っかっている。
奥の机の席に、作務衣姿の男が一人いるだけだった。
真由香と目が合った。眼鏡をかけているが、その奥の目は鋭い印象がした。
「あの、、優待券を知人に頂いたんですけど。」
「そうですか。どうぞ、お掛けください。」
真由香は男に促されるまま、ソファーに腰掛ける。
「えっと、、会社に知り合いがいまして、その方が優待券を、、」
「いいんですよ。どうぞ、お気になさらず。事務所開設でご挨拶代わりに、
 何枚かお配りさせて頂いたんです。」
真由香の向かい側に座った男は、真由香の目をじろりと見つめると、
「天城蒼雲と申します。こちらにお名前と生年月日をご記入ください。」
と真由香に紙とペンを渡す。
(この人が鑑定を?、、こういう人も髪を染めたりするんだ、、)
勘の鋭い真由香は、作務衣と茶髪のアンバランスさに違和感を覚える。
『佐々木真由香、昭和54年9月…』
少し緊張した面持ちで文字を書く真由香の指先を、天城蒼雲…矢崎は見つめていた。
白くて綺麗な指である。主婦らしく、爪は短く、マニキュアもしていない。
ピンクのノースリーブ。細いが、二の腕にはポッチャリと脂肪がつき、
人妻の色香を仄かに漂わせている。
ハーフパンツの膝と膝を、しっかり閉じている座り方が、真由香のつつましさを表していた。
「佐々木真由香さんですね。」
矢崎は紙を受け取ると、あまり興味なさそうな顔でそれをテーブルに置き、
「私の目を見てください。」と真由香に言った。
真由香は視線を男に合わせた。射抜くような瞳に、なぜか真由香は一瞬恐怖を覚えた。
(霊媒鑑定とかする人は、皆こういう目つきなのかも知れない)と、真由香は自らを納得させる。
「奥さんは真面目な方ですねえ。」
指輪に気づいたのだな、と真由香は思ったが、確かに自分は真面目すぎる、とよく言われる。
「真面目すぎるくらいですよ。」
まさに自分の考えたことが見透かされた気がして、真由香は目を丸くする。
「少し失礼しますね。」
矢崎はそう言うと、真由香の右肩にふいに右手を乗せた。
矢崎と真由香が、初めて触れ合った瞬間である。
「ご結婚以前は、色々と夢も持っていらっしゃいましたね。」
元々真由香が、夫の勤める広告代理店に就職したのも、クリエイティブな仕事で独立したい、
という夢があったからだ。会って間もないのに、霊媒鑑定というのはすごいと
真由香は素直に感服した。ただ一方で、自分の肩に乗せた、じとっとする男の手の平に、
女の勘だろうか、妙な不快感も感じていた。
「読書好きですなぁ。ミステリーなんかお好きでしょう?」
あまりに的確に、自分の嗜好まで見抜かれたことに驚き、つい真由香は答えてしまう。
「ええっ?すごいですね。アガサ・クリスティとか、好きです。」
「失礼。」
矢崎はごく自然に、今度は真由香の右手を握る。
(こうして触れることで、色んなものが見えるのかな)
真由香はようやく納得した。
矢崎は真由香の手の感触を味わっていた。柔らかい手だ。
29才の、子どもを一人産んだ人妻の手は、意外に小さく、可愛らしさすら感じられた。
少し汗ばんでいるようだ。真由香の体温が伝わる。
(いつか、あんたのオ○ンコに、たっぷり俺の物を馴染ませてやるからな。)
胸の中の、獣じみた情欲を、表情には露ほど見せず、矢崎は微笑みながら続ける。
「貴女は非常に家族思いで、優しい心根を持ってらっしゃる。
 この先も幸せな家庭を築かれていかれると思うのですが、、」
そこまで話して、矢崎は言葉を濁した。
真由香は、男の表情が曇ったことに不安が広がった。
「、、あの、何か、悪い事でも、、?」
「貴女よりも、貴女の旦那さん、ですがねぇ。」
「主人が?」
真由香の動揺が手の平を通して伝わる。
「失礼ですが、最近、ご夫婦の営みはお変わりありませんか?」
予想外の質問に、真由香は顔を赤らめる。しかし、夫の事が心配になり、すぐに冷静に考えた。
そういえば、ここ最近夫は求めてこない。真由香は最後に夫と愛し合った日を思い出した。
あれはまだ6月だった。確かに夫としばらく愛し合っていなかった。
「少し、間隔が空いている気がします…。」
恥ずかしいので、真由香はうつむいて答えた。
その時、テーブルに置いてあった矢崎の携帯が鳴った。
「もしもし、あ、どうも。」
男が手を握ったままだったので、真由香はすっと手を離す。
「そうですか、わかりました。今から伺います。」
矢崎は電話を切ると、
「佐々木さん、すみません。ちょっと急用が出来てしまいました。
 もし、何でしたら、この続きは次回にさせて頂きます。」
真由香は、一瞬どうしたものか、躊躇する。
「今日のお話の続き、奥さんもお気になさると思いますので。
 名刺渡しておきますので、いつでもお電話ください。」
真由香は、何か言おうとしたが、強引に渡されるまま、名刺を受け取った。
  1. 2012/12/23(日) 11:54:36|
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タイトル : 青山真希 初裏無修正動画 母子家庭の母と娘 後編 ?覗いた母?
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ジャンル : 三十路
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公開日  : 2012-12-23

娘のさやかに婚約者の杉浦を紹介して数日、仕事から帰宅すると玄関には杉浦の靴が。あの人、来てたんだと廊下を進んでいくと何やら普通じゃない空気が漂っていた。娘のさやかが自室に男を連れ込んでいるのかと思った真希は「あの子ったら…なかなかやるじゃない」とコッソリとさやかの部屋を覗くことに…しかし、さやかの部屋に居たのは自らの婚約者杉浦とさやかだった。全裸で絡み合う娘のさやかと婚約者の杉浦。さやかはとても気持ち良さそうに喘ぎ、杉浦は娘のヴァギナを執拗に攻める。予想だにしなかった後景に呆然とした真希だったが、その想

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  1. 2012/12/23(日) 11:20:17|
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「悪魔のささやき」6

[Res: 4270] Re: 悪魔のささやき ナオト 投稿日:2008/07/12 (土) 20:29
二日後の土曜日。
貴彦と真由香は、娘の真貴と三人で新宿へ出かけていた。
百貨店で買い物をした後、店内の甘味屋で冷やしぜんざいを食べながら、
気乗りしない表情で真由香は貴彦に言う。
「やっぱ、あたしいーよ。貴ちゃん、行ってきなよ。」
「俺、そーゆーの苦手なんだよ。真由香は占い好きじゃないか。」
「わざわざ、霊媒鑑定士みたいな人に見てもらおうとは思わないよ。なんか恐いし。」
「一応、部長が親切でその招待券くれたんだから、感想聞かれたら困るんだよ。
 それに、その人、誰でも見てもらえるわけじゃないみたいだよ。結構有名人も見てもらってるら しいし。頼むよ。」
あの日、喫茶店で受け取った「霊媒鑑定士:天城蒼雲の無料優待券」。
矢崎はそれを真由香に渡し、鑑定を受けるよう勧めることを、貴彦に伝えたのだ。

あの夜、貴彦は待ちきれない気持ちで、深夜1時10分前にはチャットを覘いた。
矢崎はすでにチャットルームに待っていた。
「いいですね、必ず土曜日、奥さんをそちらの場所に行かせてください。」
「矢崎さん、わかりましたが、、その、、一体何をするつもりですか?」
「そう、大げさに考えないでくださいw。とりあえずは顔合わせですよ。
 ものの2~30分で終わりますから^^」
相変わらず、ヘラヘラとした矢崎の返答である。
「天城蒼雲というのは、、?」
「ハハハ、僕のことですよ。ま、ハッタリですけどね。」
貴彦は、矢崎という男のずる賢さを瞬時に理解する。
「それから、」
矢崎は最後にもう一言追加した。
「奥さんの前で、一言、旦那さんに口にして欲しい言葉があるんです。」
「何でしょうか?」
「最近、新規の開拓が出来なくて困ってる、とかなんとか。」
貴彦は、言葉を詰まらせた。この男は自分が営業職だということを知っている…。
「いいですね。佐々木さん。」
なんと矢崎は、貴彦の本名が佐藤ではないことも、すでに知っていたのだ。いったいどうして。
引き返すなら今ではないか…。貴彦の心に、暗雲が立ちこめ、矢崎への恐怖心が増す。
しかし気持ちとは裏腹に、貴彦の指は戸惑うこともなく、キーをはじいてしまうのだった。
「わかりました。」

矢崎の指定した、霊媒鑑定の場所は、この新宿の百貨店から目と鼻の先にあるビルだ。
ビルのそばまで真由香と一緒に行き、百貨店で待っているから、と真由香を見送る。
入り口でちらりとこちらを振り返り、不安そうに手を振る真由香。
自分は何をしているのか。
取り返しのつかないことをしているかも知れない自分に、
罪悪感を募らせながらも、悪魔のいると思われる、ビルの三階に目をやるのだった。
  1. 2012/12/23(日) 06:53:56|
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「悪魔のささやき」5

[Res: 4270] Re: 悪魔のささやき ナオト 投稿日:2008/07/12 (土) 06:31
「悪魔のささやき」5

矢崎と会ったあの日、自分の罪悪感を紛らすため、夕食のビールもいつもより多く飲んだのだが、
いつまでも頭は冴えたままだった。
深夜、妻が眠った後、例によってパソコンを開き、メールをチェックした。
真由香には内緒の、パスワードが無いと開けない、自分だけのメールボックスだ。
一通の新着メールがあった。矢崎からである。
たった一行の文章が目に飛び込み、その瞬間、なぜか股間のあたりがビクリと反応するのを
貴彦は知覚した。
『とりあえず、今日から十日間、奥さんとの性交渉はしないでください。』


今年はどうやら空梅雨のようだ。
契約カメラマンとの撮影の打ち合わせの後、
貴彦は先日矢崎と話し込んだ、喫茶店ボンボンに向かっていた。
エアコンをかけていても、営業車の、ノンスモークウインドウを突き抜けて入り込む日差しは
ジリジリと貴彦のワイシャツを透して、汗を吹き立たせる。
外回りの多い貴彦にとっては、辛い季節である。
あの矢崎のメールから、今日で一週間。
貴彦は矢崎の言いつけ通り、真由香とはセックスしていない。
実際に、最後に真由香と行為をしたのは、あの四日前だから、
矢崎のいう十日間と合わせると、二週間性交渉がないということになる。
出産の時期を除けば、こんなことはあまりなかったかも知れない。
真由香からエッチを誘ってくることは今までもなかった。
ごく稀に、貴彦の胸に甘えてくることはあり、強いて言えば、
それが唯一の真由香のつつましいサインかも知れないのだが、それでも貴彦が抱きつくと
「こうやって抱っこされてるだけでいーのっ」という時さえあり、
真由香にとって性交渉とは、愛を確認することの延長なのだろう。
この一週間も、一度だけ真由香から手を繋いできたことはあったが、
それ以上貴彦から何もしなくても、おそらく不自然には思っていないだろう。
その間、矢崎からの連絡は一切なかった。
このまま、何も起こらなくていい、という気持ちと、ヤキモキと矢崎からの連絡を待つ気持ちが、
貴彦の中で交差しているのを見透かすかのように、ようやく昨日の夜、
矢崎から新しいメールが届いたのだ。
『明日、この前の喫茶店ボンボンに行ってください。ウエイターに封筒を預けておきますので、
 それを貰ってきて下さい。』

公園の傍にある、喫茶ボンボンが見えた。
先日と同じパーキングに車を止め、「ふぅーっ」と深呼吸をする。
封筒に何が入っているのか。内容が分からないだけに、不安な気持ちになる。
しかしその一方で、貴彦は不謹慎にも、事態が動き始めたことに
どこか、期待感のようなものを感じてしまう自分に驚きながら、しだいに早足になるのである。
カランカラン、というレトロな鐘の音とともにドアを開け、
薄暗い店内の、奥の窓際の古びたソファー型の席に腰掛け、ポケットから煙草を出す。
「いらっしゃいませ。」ウエイターは見渡すところ、彼しかいない。
「アイスコーヒー。」
「かしこまりました。」「…あの、、」男に声をかける。
無表情のまま、彼は貴彦を見つめる。
「封筒、預かってませんか?」
ウエイターは一呼吸おき、「少々お待ちください。」とカウンターの向こうに消えた。
しばらくして、トレイにアイスコーヒーと茶封筒を載せて、彼はふたたび現れた。
アイスコーヒーをガラステーブルのコースターに置くと、貴彦に向かって、
「こちらでございますね。」と封筒を差し出す。
ウエイターが立ち去った後、はやる気持ちで貴彦は封筒を開けた。
一枚のグレーの厚紙が出てきた。
何かのチケットのようだ。
『霊媒鑑定士:天城蒼雲 特別無料優待券』
(なんだ、、これは?)
読んでみると、関係者以外譲渡を禁ず、などと書かれている。
封筒の奥に、何かもう一枚、薄い紙切れがあるのに気づいた。
ボールペンで、お世辞にも上手いとは言えない字で、何か書いてある。
「今日の深夜1時、例のチャットで待ってます。矢崎」
  1. 2012/12/22(土) 19:52:22|
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「悪魔のささやき」4

[4270] 悪魔のささやき ナオト 投稿日:2008/07/10 (木) 08:34
「悪魔のささやき」4

真夏のような暑さでベトベトした身体をシャワーで洗い流すと、キッチンではすでに
真由香が夕食の準備を終えるところだった。
「ごはん出来たよー。ビールだよね?」
真由香は張りのある声でそう言うと、ママゴトセットで遊んでいる真貴を抱きかかえ、
食卓の小さな椅子に座らせる。
クマのプーさんのエプロンをはずすと、冷蔵庫から発泡酒を取り出し、
「あたしも飲もっかな。」とグラスを二つ持ってくる。
真由香はあまりアルコールは口にしない。
せいぜい夏にビールを1~2杯、あとはワインをたまに飲む程度だ。
真由香がすすんでビールを口にするときなど、貴彦はむしろ嬉しくなるのだが、
今日に限っては、そんなことすら全く上の空だった。
「なんかあった?」
「え?」
「ミスかなんかしたの?貴ちゃん。」
真由香が貴彦を呼ぶときは様々だ。出会った頃は「佐々木さん」付き合い始めてからは
「貴彦」「貴ちゃん」、今は「パパ」が増えた。
勘の鋭い真由香は、やはり貴彦の微妙な心の揺れをなんとなく感じたのだろうか。
「いや、、今日は暑かったから、ちょっとバテたんだよ。」
「もー、あんまり遅くまで起きてるからだよ。はい、お疲れ様。」
少し口を尖らせた、ぶっきら棒な言い方。
しかし、ビールを注ぐその表情には、真由香らしいいたわりが感じられる。
「はーい、真貴ちゃんも喉かわきまちたかぁ?」
可愛らしい娘のコップに冷たいお茶を注ぐ姿を見ながら、貴彦はゴクゴクと喉を潤す。
おろし醤油のたっぷり乗ったハンバーグ、かいわれやレタスに豆腐の入ったピリ辛サラダ。
どれも美味いはずなのだが、貴彦の意識は、午後のあの公園で会った男との会話に囚われてしまうのである。

あの後、薄暗い喫茶店で矢崎と長々と話した内容は、実に後味の悪いものだった。
レイプなどはしない、という約束で始まった矢崎の話。
それは殆ど、貴彦への質問攻めだった。
真由香の生年月日や血液型。生い立ち。貴彦は最後まで住所や本名だけは伏せた。
矢崎のピラニアのような執念深さを感じさせる瞳に、危険を感じたのだ。
しかし、まるで蛇に睨まれた蛙のように、矢崎の尋問のような問いかけに、ありとあらゆることを答えた。
「どんな本を読んでますか?」
「奥さんの好きな音楽は?」
「悩みとかありそうですか?」
「初恋は?」「奥さんの好きなタレントは?」「恋愛中の思い出は?」
答えるたびに胸がしめつけられた。自分だけの大切な真由香の秘密を、少しずつ、この低俗な男に明け渡しているようだった。
話は夫婦の夜の生活にも及んだ。どれぐらいのペースか。
フェラチオはするのか。潮はふいたことがあるか。
中派か、クリ派か…。
貴彦と真由香は、セックスレスということは全くない。
妊娠中はともかく、出産後も、週一くらいで愛し合っている。
ただ、貴彦自身は、自分の捻じ曲がった情欲が、沸々と心の奥底で不完全燃焼のようにくすぶっていたことは確かだが。
矢崎は安っぽいノートに、ことごとくメモし、真由香の海辺のスナップをしおりにするように、挿みこむと、
「じゃ、あとはメールでやりとりしましょう。」
と言ってレシートを取り、さも自慢げに、
「コーヒー代くらい持ちますよ。」とさっさとテーブルを立つのである。
店を出ると、夕方になりほんの少し不快感の消えた生ぬるい空気に、木々の緑が爽やかに映る。
貴彦は、今までの薄暗い中でのやり取りが、何か気味の悪い映画の中の出来事のように思えるのだ。
別れ際、矢崎は貴彦に向けて指鉄砲を作り、どこかのテレビ番組で聞いたことのあるようなセリフを言い放った。
「これで、貴方の奥さんの不貞は約束されました!」
  1. 2012/12/22(土) 16:51:43|
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「悪魔のささやき」3

[Res: 4225] Re: 悪魔のささやき ナオト 投稿日:2008/07/09 (水) 07:43
「悪魔のささやき」3

「ほら、真貴、パパにいってらっしゃいのチューは?」
「ぱぱ、いってやーさい」
玄関で貴彦を送り出した、愛すべき妻と娘の顔が浮かんだ。
娘の名前は、貴彦と真由香の文字をとって、真由香が考えた。
少しずつ言葉も覚えて可愛いさかりだ。
絵に描いたような幸せの中にありながら、貴彦は自らそれを放棄するかのような行動を
取るべく、ハンドルを握り目的地にやって来た。
矢崎と待ち合わせた、都内のある公園である。
初夏とはいえ、今日は三十度を越える猛暑だったが、
公園内の緑は、ヒートアイランドに侵された都会の暑さをいくぶん和らげてくれる。
午後のデスクワークを済ませると、クライアントとの打ち合わせと、
得意先回りをしてくると会社には伝えた。
パーキングに車を止め、時計を見るとまだ約束の時間より10分ほどあった。
エンジンをかけたまま、煙草に火をつけてウインドウの隙間から煙を吐く。
内ポケットから封筒を出し、中から数枚の写真を取り出した。
今年のゴールデンウィークに、真由香の実家の石川県へ行ったときのものだ。
海岸をバックに真由香がピースをしておどけている。
ジーパンにチュニックというラフな格好を、真由香らしく品良くまとめている。
肩くらいまでの髪は、このときは後ろで結んでいる。
裾を捲り上げて、波とたわむれる写真もあった。
決してグラマーではないが、均整の取れた、まだ女の子らしさを残した妻の身体。
丸みを帯びたジーパンのヒップが健康的だ。
写真を仕舞うと、車を降りた貴彦は、指定された北側のベンチへ向かって歩き出す。
三つあるベンチのうち、ひとつは誰もいなかった。もうひとつは学生風のカップルだ。
そして一番向こう側のベンチに、ひとりの男が新聞を広げて座っていた。
オレンジ色のポロシャツに、グレーのストライプのパンツ。今風の眼鏡をかけている。
髪は短く、染めているのだろうか、少し茶色がかっている。
貧乏ゆすりをしながらスポーツ紙を見る姿に、胡散臭さが滲み出ていた。小太りで腹が出ている。
矢崎は四十五才だといった。この男に間違いない。
近づくと男は顔を上げた。眼鏡越しに細く鋭い目がこちらを向いた。
「佐藤さん?」貴彦は本名の佐々木ではなく、佐藤と名乗っていた。
「はい、、矢崎さんですか?」
男はうなづくと貴彦に座るように促した。
「若いねえ、三十三~四ってとこだね?」
矢崎は貴彦の年齢を言い当てると、さっそく切り出す。
「写真持ってきましたか?」
「ええ。また、昨日の話に戻りますが、どんな風に口説き落とすおつもりですか。」
矢崎は口元をニヤリとさせたが、瞳は笑っていなかった。
この男は堅気の人間ではない、やくざとまでは言わないが、
少なくとも勤め人ではないと貴彦は直感した。
「旦那さん、さあ。本気で寝取られたいんでしょ?」
矢崎は小声だが、その分顔を寄せて続けた。
「最悪やっちまえば、女なんてどうにでもなるんですよ。襲っちまえばね。」
貴彦は心臓を射抜かれたように身体を固める。
「一晩中可愛がってやれば、どんな女でも落ちる。こりゃ身をもって僕が経験済みです。」
「レ、、レイプするってことですか。」
「僕は、口説いてほしい、とは言いましたが、、レイプなどとは、、」
矢崎は胸ポケットからマルボロを取り出すと火をつけて、たるんだ顎を上に向け煙を吐く。
「レイプにも色々あるんですよ。強姦、和姦。」
この男は何を言ってるのだろうか。返す言葉もなく、貴彦はただ見つめていた。
「ハハハ、まあ、旦那さん、これはあくまで、最終的な手段としてです。
僕だってプライドがありますしね。色々考えもありますし。」
「レイプは、止めてください。いくらなんでも、そういうつもりはありません。」
矢崎は貴彦の顔をチラリと見つめると、少しイラついたように言った。
「とりあえず、写真見せてくださいよ。止めるのなら帰りますよ。」
貴彦は一瞬考えた。
この判断が、これからの自分の人生を、大きく変えることになるのを、貴彦は気づかなかった。
しかし、矢崎というこの男からは、得体の知れぬ説得力のようなものを感じたのだ。
矢崎は写真を手に取ると奇声をあげた。
「ひょーっ!こりゃ、どストライクだ!」
写真を食い入るように見つめる男のその瞳が、みるみるギラついてくるのを貴彦は感じた。
矢崎は貴彦の背中をポーンと叩くと、
「まかして下さい、旦那さん。絶対落としますよ!」
と何ともいえぬ嬉しそうなニヤケた顔で、濁った瞳を向けるのである。
  1. 2012/12/22(土) 11:50:34|
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「悪魔のささやき」2

[Res: 4225] Re: 悪魔のささやき ナオト 投稿日:2008/07/08 (火) 11:48
「悪魔のささやき」2

「こんばんわー!」
チャットルームに入るや否や、すばやく向こうから挨拶してきた。
時々、キーを打つのが遅い相手に当たるときがあるが、その心配はないようだ。
「こんばんは、はじめまして」
入室すると、貴彦の簡単なプロフィールも表示されるので、矢崎というその男はさっそく本題に入った。
「旦那さんは三十代ですか。奥さんは?」
「今年二十九になります」
「いーですねー^^たまりませんね。お子さんは?」
「二才の、、娘がいます。」
すでに向こうのペースに成りかけていることに気づく。だが、貴彦も伊達に営業畑で鍛えられてはいない。こういった駆け引きの中でも冷静に相手を分析していた。
「100%の確立で、成功するとのことですが。そんなこと言い切れるんですか?」
「^^今まで成功率十割です。まあ、大船に乗ったつもりでいてくださいw」
矢崎の打つテキストから、四十代らしからぬ軽い性格が読み取れる。
「妻は非常に真面目で、とても浮気なんかするタイプじゃないんです。用心深く、騙されたりするタイプでもありません。いったいどうやって口説くつもりですか?」
貴彦は、さあ答えてみろと言わんばかりに相手の反応をみる。
しかし、貴彦の予想に反し、相手はあっさりとかわしてきた。
「その前に、奥さん、美人ですか?」
「僕はねえ、好みじゃないと引き受けませんよ。そのかわり、タイプだったらどんな方法使っても落とす。奥さんの写真見てみないと。」
今まで何度もチャットしてきたが、こういう相手は初めてだった。
夫のM性を刺激して会話してくる相手はいた。しかし、この矢崎という男からは、はなから成功することを前提としているかのような、不思議な自信のようなものが感じられる。
ここのチャットは画像が送れる機能がついている。矢崎はそれを促しているのだ。
「写真見せてくださいよ。それとも、自信ないんですかw」
失礼なヤツだ。
真由香は勘の鋭い女性である。人を見る目のある女だ。
こんな品のない男に騙されるような女ではない。ダンディな紳士や、相当なイケ面でもない限り…。
そこまで考えたとき、ふと貴彦は思った。
(ダンディな紳士やイケ面、、そういう男に、俺は真由香を寝取られたいのか?)
いつも澱んだ妄想の中に浮かぶ間男は、こういった下種な野郎ではないのか。
一瞬、顔も知らぬこの男と真由香が交わることを想像し、どす黒い扇情が胸を打つ。
「どうするんですか。写真見せてくれないんですか?」
煽る男に、しかし貴彦も冷静だった。
「僕もそこまで無用心じゃないんですよ。相手のことも分からぬまま、妻の写真を見せるわけにはいきません。」
矢崎は黙っている。
「貴方が本当に妻を口説いて、成功する可能性があるかどうか。それを見極めたいのです。」
「一度お会いしましょうか。」
矢崎の言葉にドキリとした。
貴彦は今まで、自分の夢の中でしか描くことのできなかった妄想が、ふいに現実味をもって姿を現してきたことをそのとき感じたのだ。

息苦しくなって目を覚ます。
ぼんやりと浮かんだ目の前には、いたずらっぽく笑う真由香がいた。
鼻をつままれて目が覚めたのだ。
「もー、早くしないと遅刻するよ。まったく」
そう言うと真由香はカーテンを開け、朝の光が差し込む。
「また遅くまで仕事?ほどほどにしなよ。ご飯できたよ。ほら、起きる!」
貴彦の腕をつかみベッドから上体を起こすと、真由香はパタパタと駆け足で部屋を出て行く。
七分丈の白いサマーパンツから伸びた、真由香の白い足が残像のように残る。
どこまでも穢れなく、清やかな彼女に、昨日の夜のあの男は何とおぞましいことか。
それでも貴彦は、一夜明けても、昨日の誘惑が自分の心を捉えて離さないことを知っていた。

  1. 2012/12/22(土) 06:49:28|
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悪魔のささやき

[4225] 悪魔のささやき ナオト 投稿日:2008/07/07 (月) 01:58
「清楚人妻…」の仁さん他、素晴らしい投稿者さんの作品を拝見し、
自分も読ませていただいてるばかりじゃなく、少し書いてみようかなと無謀な挑戦です^^
何とぞ、全く初めての書き込みですので、つまらなかったら、どうかスルーして下さい。


「悪魔のささやき」本編

 妻が寝入ってから、自分の部屋でこっそりパソコンを開くのが佐々木貴彦の日課のようになっていた。
 広告代理店勤務という仕事上、深夜自室にこもってパソコンキーを打っていても、別段妻に不審がられたりもしない。
 実際こういう仕事は、毎日情報を張りめぐらせていなければならないし、企画書を自宅で練り直すなどというのは日常茶飯事なのだ。
 もっとも、今年ニ才になる娘の子育てに懸命な妻は、初めての育児に、貴彦の案ずるような疑念など持つ余裕もなく、その心配は皆無だったが。
 貴彦三十四才。五つ下の妻、真由香とは社内恋愛の末結ばれ、今年で結婚四年目になる。
 真由香はとびきり目立つ美人、というタイプではない。身長も160センチ程で、パッと見平凡な印象だ。しかし、よく見るとまったく欠点のない非常に端正な顔立ちをしている。
 涼しげな目元は、笑ったとき目じりが少しだけ下がるのが愛らしく、貴彦のお気に入りだ。
 誰からも好かれる明るい性格だが、なかなかどうして、気性の強さも持っていて、間違ったことは大嫌いである。結婚前、まだ勤めていたころは、上司であっても理不尽なことに対してははっきりと物言いをするし、見ていてひやひやすることさえあった。だが、そういう誠実で筋の通ったところも貴彦が惚れこんだ大きな魅力のひとつである。
 そんなかけがえのない妻、最愛の妻。誰よりも大切な妻を、貴彦は誰かに差し出したかった。
 どこの馬の骨とも分からないような男に、そっくりそのまま。
 妻でありながら、自分にとって指をくわえて一生見ていることしか許されない存在にしてほしい。あるいは、自分以外の全ての男の共有物になってほしい、、。それが貴彦の夢だった。
 いつからこんな狂気じみた妄想の虜になってしまったのか。
 貴彦自身もそんなことは自分の歪んだ情欲のファンタジーとして終わると思いつつも、深夜になると今日もまた、怪しい同士達の集うアダルトサイトに立ち寄るのである。
「寝取られチャット」-。
 自分の妻を提供したい男たちと、他人の妻を抱きたい男の出会いのチャット…。
 所詮は自分の妄想の捌け口として、悶々とした気持ちを少しでも紛らわすため、貴彦はこのチャットに出入りするようになった。実際に自分がそんなことを出来るわけないと高をくくっていた。
(ふぅーっ、、この男もこの前話した奴だな。)
 だいたい、こういうチャットに何度も足を踏み入れていると、段々常連の男たちの癖もわかってくる。少し会話するだけで、以前も話した人間かどうか分かるのだ。
 妻は性格からして、まともに貴彦の妄想など話せる相手ではない。何しろ潔癖で、貴彦がアダルトビデオを観ることさえ嫌うし、浮気や、ましてやスワッピング、貸出しなどという異常な世界とは無縁の女性だ。
 したがって貴彦がチャットの話し相手に求めるのは、妻に気づかせず、それとなく誘惑し、引きずり込めるような可能性を少しでも感じさせる男である。
 そんなセンスを持った男はそうはいない。誰よりも貴彦を思い、娘を思うあの真由香を誘惑するなど。
(1時半か、、そろそろ寝るかな)
 今日もまた、いつものごとく、つまらない相手と話しただけで終わったとページを閉じようとしたとき、あまり見慣れないメッセージを見つけた。
『奥さんをいただきますよ。100%の確立で。お好みの形に奥さんを変えてあげます』
 都内、四十代、未婚男性と書かれている。
 この男を最後に今日は寝よう。そう思って貴彦は例によって軽い気持ちで、その部屋の入室ボタンをクリックした。
  1. 2012/12/21(金) 19:48:47|
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芙美子という名の女優(2)<完>

[4175] 芙美子という名の女優(2)<完> 角笛 投稿日:2008/06/29 (日) 17:44
(4)
 後藤に嬲られて(マッサージされて)いる芙美子は、平静と官能の狭間をフラフラと
彷徨っていた。貞淑と肉欲、清楚と淫乱の境界上をウロウロしている感じだった。
そのとき、頭の中で声がした。以前に聞いたことのある、艶かしい声であった。
――フェリス、聞こえるか? 俺が誰だかわかるか? わかるよな?――
――えっ? あなたは……ディーン?――
――いかにも、我が名はディーン。おまえのインキュバスだ――
 その声は確かにインキュバス・ディーンであった。結婚直前の芙美子が、夢の中で
さんざん弄ばれた夢魔の声であった。(拙作:#12「淫夢」参照)
――さあ、肉欲の扉を開けて、官能の虜になれ! 芙美子からフェリスに変われ!――
――ダメよ。これ以上肉欲に溺れるわけには……いかないわ……――
――何を言う。フェリスも立派なおまえの人格だ。さあ、呼び起こせ、官能を!――
――ああっ、そんな……ダメェ……我慢できない……イヤッ……ウフン……――
 その瞬間、芙美子の瞳からは貞淑な光が消え、艶やかに濡れを帯びた。
半開きの唇から、熱く、甘い吐息が漏れる。
――もっと……もっと欲しい……エッチなわたし……もっと……欲しい……――

(5)
「……ウフン……気持ち……イイわ……」
「気持ちエエか、奥さん。さあ、どこがスイッチかな? ここかな? それとも……」
 フェリスモード(淫乱モード)のスイッチが入ってしまった芙美子が嬌声を漏らすと
それに呼応するように、後藤が答えた。芙美子の膣の中に挿入した指で蜜壺の中を
探索していた。快感のツボ・スイッチを探っていたのだ。
「あっ、ダメェー、イヤぁー」
 後藤にGスポットを探り当てられた芙美子は、大量の潮を吹いた。

「奥さん、素晴らしいですよ。これはいい撮影になりますよ。さあ、私らのチンポを
しゃぶっていただけますか?」
 全裸の津川と後藤に挟まれるように、体中ローションまみれとなった芙美子は
ベッドの上に坐らされた。目はトローンとしていた。
仁王立ちしている津川と後藤のイチモツを交替でフェラチオすると、ふたりの肉棒は
あっというまに完全勃起状態となった。後藤のモノは赤黒くテラテラ光って巨大に
そそり立っていた。津川のモノも、後藤ほどではないもののかなり大きかった。
特に、カリの部分が太かった。
「……あーん、おかしくなっちゃう……。早く……、早く欲しい……。お願い……」
「ほんじゃあ、監督、先にオメコをいただきますわ」
 そう言うと、後藤は芙美子の上に被さり、正常位で挿入した。
巨大な亀頭が膣口を押し広げ、子宮に届かん勢いでブチ込まれた。
「ああっ、スゴイ……」
「おおっ、よう締まるなあ、奥さん。エエ塩梅やでェ」
 しばらくピストン運動をしたあと、後藤は芙美子の手を自分の首にからませて
抱きかかえると、騎乗位に移行した。
「さあ、奥さん、好きなようにグラインドしてや」
「……ええっ……気持ちイイわ……ああっ……ウフン……」
 芙美子がアヘアヘ言いながら前後左右に腰を振ると、すぐに後藤が悲鳴を上げた。
「アカン、アカン、奥さん。ちょっと止まって。奥さん、ものすごう締まるなあ。
アカン、動いたら……。出てしまう……。ちょっと待って……」
「おいおい、後藤ちゃん、どうしたんや。AV男優が素人さんにイカされてたら
商売上がったりやでェ」
「そんなん言うても監督、ものすごう締まるんやでェ。キュッ、キュッ、というより、
ギュッ、ギュッ、という感じ? ザラつき具合も最高なんや」
 しばらく停止していた芙美子は、
「……イヤぁーん、もう我慢できなーい……」
 と言うと、再び腰を激しく振り始めた。
「あー、アカン、アカン……、それ以上……、ウッ……」
「イクッー……、イクッー……。アッハーン……」
 後藤がグッタリした。芙美子も背中を仰け反らせた。
「……この道長いけど、初めて素人さんにイカされてしもた……」
 と後藤が呟いた。
「津川さん、エッチしましょ……」
 傍らで状況を観察していた津川の屹立する男根へ向かって、芙美子が動き出した。
後藤の元気を失いフニャッとなったイチモツを抜くと、膣口からトローリと精液が
垂れ落ちてきた。やや黄色みを帯びた白色の、かなり濃いめのやつが、時間をかけて
ゆっくりと滴り落ちてきた。
「あーん、中に出されちゃった……。ウフン……。津川さーん、セックスしましょ」
 芙美子は、津川のモノの太い亀頭部分をカプッと咥え込んだ。
フェリスとなって暴走し出した芙美子を止める術はない。

(6)
 芙美子は、後藤と津川を相手に何度も何度も交じりあった。最初は嬲られて始まった
セックスであったが、途中からはフェリスと化した芙美子が主導権を握っていた。
ふたりの精液を、膣の中や口の中に受け止め、ときには体にかけられながら、
ザーメンにまみれて芙美子はご満悦であった。
 カメラを担当していた加瀬は、その様子に畏怖の念を抱き、極力、第三者的立場を
装い撮影に徹した。その効果があったのか、加瀬は芙美子の餌食にならなかった。

 淡いピンクのシーツが張られた方のベッド――淡いピンクのシーツは、濡れた部分の
色が変わってわかり易いので、よく用いられる。実際、今回はそのほとんどのエリアが
ぐっしょり濡れて色が変わっていた――に仰向けに横たわっていた芙美子が
起き上がろうとしたとき、事務所の入り口ドアの開く音がした。

「遅れてすみませーん。『桜田社長』からの連絡にミスがあったので遅れました。
津川監督はいらっしゃいますか? 奥の部屋?」
 毛皮(フェイクか?)のハーフコートを羽織った若い女が部屋に入って来た。
栗色の髪で年は20代半ばぐらい、少しケバイ感じだがなかなかの美人だった。
「あれェ、撮影中でした?」
「君は?」
「桜田プロの『桜田社長』の紹介で来ました、栗原美玖でーす」
「えっ? 君が『桜田社長』からの紹介? 何か手違いがあったんじゃない?
この女性、柏木芙美子さんが来てくれて、もう撮影は終わったよ」
「ええっー、ウソッー。わたしですよぉー」
「そんなばかな。奥さん、芙美子さん。あなたは桜田プロの『桜田社長』の紹介で
来てくれた方ですよねェ?」
「えっ? 『桜田社長』?」
 芙美子は快楽を堪能して朦朧とする意識から現実に引き戻された。
「……わたしは主人の友人である『桜庭さん』の紹介でこちらに伺ったのですよ。
駅前の第一ビルにある『フェアリリー・プロダクション』で面接を受けるように、と」
「えっ? 『桜庭さん』? 『フェアリリー』?」
「ええ、そうですわ。『フェアリリー・プロダクション』」
「『フェアリリー・プロ(Fair Lily Production/美百合プロ)』は6階ですよ。
ここは4階。うちは『フェアリイランド社(Fairyland Co.Ltd)』です」
「えっ、ほんとうに?」
 芙美子は立ち上がってセカンドバッグを取りに行った。孝太郎に渡された名刺を
よく見ると、確かにフェアリリー・プロダクションは6階となっていた。
「そんなあー、間違って訪問していたなんて……」
「まいったなあ、こりゃあ」
 津川が頭を掻きながら呆然とした。
「ねえ、どういうことなんです? 美玖でAV撮ってくれるんでしょ?」
 気を取り直して津川が口を開いた。
「えーっと、栗原さんでしたっけ? 今回の撮影は、もう終了しました。手違いでは
ありましたが、こちらの女性で無事に撮り終えましたので、今日のところはこのまま
お帰りください。桜田社長には、私の方から連絡を入れておきます」
 栗原美玖は、えー、とか、お金が要るのに、とか、予定が狂った、とかボヤいて
いたが、加瀬が丁重に執り成して退散させた。

 津川が芙美子に向き直って話し始めた。
「あらためまして、私はフェアリイランド社の津川正義と申します。フェアリイランド
では主にアダルトビデオを撮っています。彼はAV男優の後藤くんです。
そうですか……。間違いでしたか……。どうりで……。
あなたのように清楚で美しい人妻が……、おかしいとは思ったのですが……。
まあ、いまさら後悔しても仕方ありません。契約書もこのようにキチンと
交わしていることですから、今日撮影したAVは予定通り販売させていただきます」
「えっ? そんな、困ります……」
「間違いがあったとはいえ、こちらも仕事ですから……。予定どおりスケジュールを
こなさないと会社が立ち行かなくなるのですよ。そこのところを、
どうかご理解ください。心配なさらずとも、このAVは人妻企画ものですので、
奥さんのご要望があれば目隠し線を入れるなどの処置はとらせていただきます。
もちろん、ご希望があればですけどね……」
「入れてください。わたしの顔が絶対わからないように……」
「わかりました、できる範囲で処置させていただきます。でも、AVを視るお客さんが
最低限興奮できるよう、ある程度は画像を残さないといけませんので、そこは諒解して
くださいね。それでは奥さん、今日はお疲れさまでした。契約どおりのギャラを
お支払いしますので、これで帰っていただいて結構ですよ」

(エピローグ)
 AV撮影から約1ケ月後、2月の半ば過ぎに、芙美子の手許に一通の宅配便が届いた。
差出人はフェアリイランド社であった。津川の簡単な挨拶文を同封して、件のAVが
梱包されていた。
   『トロける人妻フミコ:開けてしまった淫乱の扉』
 パッケージの写真は目隠し線こそ入っているものの、明らかに芙美子であった。
パッケージ裏の右上には、精液に顔を汚された芙美子が淫猥に微笑んでいた。

(芙美子という名の女優:完)"An Actress by The Name of Fumiko"

******次回予告******************************************************************
「芙美子のいちばん長い日」"A Longest Day for Fumiko"
********************************************************************************
  1. 2012/12/21(金) 16:47:23|
  2. 芙美子シリーズ
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芙美子という名の女優(1) 

[4173] 芙美子という名の女優(1) 角笛 投稿日:2008/06/29 (日) 17:39
"An Actress by The Name of Fumiko"

(プロローグ)
 柏木孝太郎の許に桜庭大介から連絡が入ったのは、桜庭と堤和也の訪問
(拙作:#10「淫舞」参照)を受けてから10日後のことだった。
ぜひとも相談したいことがある、ということで、その日の夜仕事が終わったあとに
駅前の喫茶店で会うことになった。
「このあいだはありがとう。とても楽しいひとときを過ごさせてもらったわ。
奥さんにもよろしくな」
「いやいや、こちらこそ、来てくれて楽しかったよ」
「ところで、今日呼びたてたのは、折り入っておまえに相談したいことがあるんや。
厳密には、おまえの奥さんにお願いしたいことがあるんやけどなぁ」
「芙美子に?」
「ああ、そうや。うちの会社が運営するスポーツジムが新たにオープンするんやけど、
そのキャンペーン・スタッフをお願いできひんかなあ、と思って。
そんなに難しいことはあらへん。イベント・コンパニオンみたいなもんや。
ほら、おまえの奥さん、美人でスタイルいいやろ? モデル以上にカッコイイやん。
ジムの宣伝に一役買ってもらえへんかなあ」
「芙美子が? そんなことできるかなあ?」
「けっこう大勢のスタッフを募集しているんやけど、なかなか集まらへんのや。
面接だけでも受けてもらってくれへんか。頼むわ。このとおり……」
 桜庭に手を合わせて懇願され、孝太郎は断ることができずしぶしぶ引き受けること
になった。面接会場となるプロダクションの名刺を渡され、孝太郎は帰宅した。

(1)
「フミちゃん、このあいだうちに来てくれた桜庭に頼まれたんだけどさあ。
フミちゃんに力を貸してほしいようなんだ。協力してやってくれないか?」
 孝太郎から手短に内容を説明された芙美子は、最初は少し躊躇するそぶりを見せたが
事情を考慮し、結局引き受けることになった。
「これが行き先らしい。プロダクションのようだ」
 名刺には、フェアリリー・プロダクション代表取締役社長、萩原充とあった。
「すまないけど、明日にでも行ってみてくれるかい」
「わかったわ。あなたと桜庭さんの頼みとあっては、しかたないわね……」

 次の日の午後、芙美子は面接のためプロダクションへと向かった。
名刺によると駅前の第一ビルに事務所を構えているとなっていた。
「どうやらこのビルのようね。フェアリー、フェアリー……。あっ、ここかしら?」
エレベーターで4階に上がり、廊下の突き当たりへまで進むと事務所があった。
ベルを押すと40歳前後の男が出てきた。
「あのう、こちらはフェアリーさんでしょうか?」
「ええ、フェアリイランドですよ。あなたは?」
「『桜庭さん』に紹介されて面接に伺いました柏木芙美子と申します」
「ああ、『桜田社長』の紹介の……、ハイハイ諒解です。どうぞうどうぞ、
中へ入ってください。むさ苦しいところですが、さあ、どうぞ、どうぞ」
「……失礼します……」
 芙美子は男に促されて部屋の中へ入った。
「申し送れましたが、私、フェアリーランドの津川正義と申します。
現場を取り仕切っています。ええと……」
「柏木芙美子です」
「ああ、フミコさんですね。フミコさんはどういう字を書くのですか?
ああ、そうですか。『芙美子』さんと書くんですね。諒解です。少しお待ちください。
すぐにパートナーを呼びますので……」
 そう言うと津川と名乗った男は電話を掛け始めた。その際に、部屋の中にいた
もうひとりの男がカメラ担当であることを説明された。
「自分はカメラ担当の加瀬と言います。よろしく」
 20歳代半ばに見える加瀬の手短かな挨拶に芙美子は会釈を返した。

「パートナーはすぐにやって来ますから、しばらくお待ちください。
とりあえず、住所や名前など、こちらの用紙に書き込んでいただけますか?
項目ごとに空欄を埋めるように書き込んでいってください。これが契約書になります。
なあに、形を整えるだけのものですよ。書けたら、引き続き面接を始めましょう」
 芙美子は言われるままに、渡された用紙の空欄を埋めいった。

(2)
「カメラがまわっていますが、気にしないでください。それでは面接を始めます。
まずは名前と年齢をお願いします」
 ソファーに坐らされた芙美子の正面にはカメラを構えた加瀬が、その隣には津川が
席をとり、面接は開始された。
「柏木芙美子、年齢は25歳。3月が来たら26歳になります」
「身長とスリーサイズをお願いします」
「えっ?」
「お願いします。身長とスリーサイズを」
 芙美子は少し面食らったが、気を取り直して津川の質問に答えた。
「身長は168センチ、スリーサイズは上から91、56、89です」
「おおっー、そうですか。なかなか、素晴らしいプロポーションですね。
服の上からでもなんとなくわかっていましたが……。そうですか、ふうーん。
胸が大きそうですけど、ブラジャーは何カップのものを着けておられますか?」
「えっ? そんなことも言うのですか?」
「お願いします。大事なことですので……。すみません」
「……普段着けているブラのサイズは、『70F』です……」
 芙美子は恥ずかしそうに俯きながら答えた。
「ほおー、Fカップですか。ふうーん、なるほど。セーターの上からでも大きいのが
よくわかります。ところで、芙美子さんは結婚されていますよね。
いつ結婚されましたか?」
「24歳のときに結婚しました。今度の5月でちょうど2年になります」
 芙美子は左手の薬指に光る結婚指輪にチラリと視線を落とし、答えた。
「じゃあ、まだまだ新婚さんのうちですね。性感帯はどこですか? 好きな体位は?」
「えっ? そんなこと……。言えません……」
「まあまあ、そうおっしゃらずに……。その初々しい感じがイイですねェ。
ポイント高いですよ」
 そのとき、入り口のドアが開き、男が入ってきた。
「チワーッス。監督さん、いはりますか?」
「おおっー、後藤ちゃん、こっちこっち。ご苦労さん」
 津川が手招きをすると、後藤と呼ばれた男がこちらへとやって来た。
身長180センチ前後のガッチリした体形の男だった。年齢は30歳前後に見える。
「こちらが本日奥さんのパートナーを務める後藤くんです。こちらは面接に来られた
柏木芙美子さん。25歳の人妻さん」
 芙美子は後藤と挨拶をかわした。
「さあ、それじゃあメンバーが揃ったということで、場所を移そうか。
さあ、奥さん、あちらの部屋へどうぞ」
 津川に誘導されて、芙美子は奥の部屋へと入って行った。

(3)
 奥の部屋にはベッドがふたつあった。ひとつは淡いピンク色のシーツが張られた
ベッドで、もうひとつの方はブルーのビニールシートが張られていた。
ベッドの周りには、既に撮影機材がスタンバイさせてあった。
「……あのぉー……これは……どういうことでしょうか?」
 芙美子が怪訝な表情で津川に訊くと、
「心配なさらないでください。こちらで、面接・オーディション・撮影、だいたいの
ことをやってしまうんですよ」
「……はぁ……、そうなんですか?」
「ええ、大丈夫ですよ。それではね、奥さんにはリラックスしていただいてから
オーディションに入りたいので、まずはこちらに着替えていただけますか?
奥さんのプロポーションも確認させていただきながら、同時に『癒し』を体験して
いただきたいので……。あちらに更衣室がありますので、さあ、どうぞ」
 芙美子は津川から、薄い紙のような生地でできたタンクトップとショーツを
手渡され、更衣室へと案内された。
「えっ? これに着替えるんですか?」
「そうですよ。服を着たままでは奥さんのナイスバディがよくわからないですし、
リラクゼーション・マッサージを体験していただくこともできませんので。
部屋は暖かくしているので、1月ですけどむしろ暑いぐらいでしょ? さあ、どうぞ」
 津川に強引に押し込まれるようにして、芙美子は更衣室に入った。

 手渡された衣装をよく見ると、上下ともにオブラートのような半透明の生地で
できていた。タンクトップは丈が少し短めのようで、ショーツは股上をしっかりとった
オーソドックスな形のものだった。芙美子はまず、白のハイネックセーターを脱いだ。
続いてベージュのベルベットスカートを脱ぐと、丁寧に畳んでハンガーにかけた。
さらに、ベージュのノンガーターストッキングを片足ずつ脱ぎ、防寒用に着ていた
薄いピンクのアンダーシャツを脱ぐと、淡いピンク色の下着のみとなった。
Fカップのオッパイを支える3/4カップブラは、縁の部分にに可愛らしいフリルが
あしらわれており、ショーツの縁にも同様のフリルがあしらわれたいた。
ショーツのセンター、臍の下の部分には小さな赤いリボンが飾られており、
クロッチ部分以外は透ける生地でセクシーさも表現されていた。
 芙美子は、ブラジャー、ショーツの順に脱ぐと、全裸の上に先ほど手渡された下着を
まとった。胸と腰が充実している芙美子が着用すると、薄い紙製の下着は張りつめて
いまにも破れそうであった。

「……あのう……、ちょっと恥ずかしいんですけど……」
「おおっ、やっぱりナイスバディだ! さあ、こちらにどうぞ」
「奥さん、エエ体してはるわ。ええよ。とってもええよ」
 津川と後藤に賞賛された芙美子は、モジモジしたままブルーシートの張られたベッド
へと導かれた。何故か後藤は服を脱いで、ビキニパンツ一丁の姿になっていた。
「そんじゃあねえ、奥さんはこちらにうつ伏せに寝てくれますか。後藤くんの
ローションマッサージを受けてリラックスしてください。後藤くんのマッサージは
なかなかたいしたもんなんですよ。気持ちイイですから」
「やっぱりなんか、恥ずかしいですわ。これ、ちょっと透けているでしょ?」
「大丈夫ですよ。さあ、後藤くん、よろしく。さあ、奥さん、ローションですよ」
 うつ伏せに眠る芙美子の背中の上に津川がローションをたっぷりかけた。
後藤がそのローションを両手で体全体に延ばしながら、背中、腰、尻、太腿などを
巧みにマッサージし始めた。
「……あっ……」
「どうです、奥さん。揉んで欲しいとこがあったら言ってくださいよ。
奥さんエエ体してはるから、マッサージのしがいがありますわ」
 ローションを塗られてから5分も立たないうちに、芙美子は体の芯が
とても熱くなってきていることに気付いた。官能の中枢をくすぐられるような、
なんとも言えない感覚である。いつもエッチのスイッチが入ってしまう、あの危うい
感覚であった。ダメッ、熱い。思わず声が漏れる。
「……ああっ……ダメェ……」
「奥さん、だんだんエエ声が出てきましたなあ。リラックスできてきた証拠ですわ。
ねえ、監督?」
「そうだねえ。あっ、そうそう、言ってなかったかもしれませんが、ローションの中に
特別な媚薬を少し混ぜてあるので、けっこう興奮されると思いますよ」
 そんなこと、全然言ってなかったじゃない、と心の中で芙美子は文句を言いながら
言いようのない快感に、次第に身も心も支配されつつあった。

「さあ、奥さん、そろそろ仰向けになってください」
 津川はそう言うと芙美子の体をクルリとひっくり返し、体の前面にもローションを
たっぷりかけ始めた。仰向けになって、視線を体の方に向けて芙美子は気付いたが、
ローションのかかったところの下着が溶けてなくなっていた。どうやら簡単に溶けて
しまう生地でできているようだった。オブラートのような素材であると感じていたが、
案外、オブラートそのものだったのかもしれない。
 体全体にローションを塗りたくられて、芙美子はほとんど全裸といってよかった。
後藤が左右のオッパイを下から上に揉み上げたり、胸を鷲づかみにして揉んだり、
乳輪を指先でこねくりまわしたりする快感に堪えながら、芙美子が横に視線を這わすと
津川が服を脱いでパンツ一枚になろうとしている姿が目に入った。
もう、いったいどういうことよ、と不満を漏らす代わりに、
「……あっ……ああっ……アン……」
 という悦びの声が漏れた。後藤の手がウエストから腰の充実した肉塊へと移り、
その大きな手でマッサージされると、確かに気持ちよくウットリさせられた。
下腹部に手が這ったときには、その次に続くであろう期待に胸がふくらみ、
陰唇へと手が移動した際には思わず体がビクンと反応してしまった。
「……ああっ、ダメェ。……イヤッ……、気持ちいイイ」
「中の方も大事にマッサージさせてもらいますでェ」
 後藤の中指が陰唇を割り、アソコの中にズブリと挿入された。
「……ああっー……」

(続く)"An Actress by The Name of Fumiko"


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淫夢――夢魔の誘惑――③(完)

[4094] 淫夢――夢魔の誘惑――③(完) 角笛 投稿日:2008/06/22 (日) 18:41
(4)
 芙美子は安西環の声で目が覚めた。
「芙美子先輩、変な声を出さないでくださいよ」
「えっ、わたし……」
「なんか、色っぽい声を出しておられましたよ……。エッチな夢でも見てたのですか?」
「えっ、ホント? いやらしい声を?」
「ええっ、そんなに大きな声ではなかったですけど、アッハン、ウッフン、と
かなり色っぽかったですよ」
 芙美子は顔を真っ赤にすると、ごめんなさい、と言って俯いた。
そして、さっきの夢が――あれは本当に夢だったのだろうか?――生々しく思い出され、
体が火照ってくるのを感じていた。

(5)
 その夜、芙美子の夢に、また、ディーンと名乗る男が現れた。
黒人の姿ではなく、最初に出会ったときの男の姿であった。ベッドの横から誘う仕種で
芙美子を立ち上がらせた。芙美子はピンク色のネグリジェを着ていた。
「さあ、おいでフェリス(芙美子)。我が愛しい、性のしもべよ。キスしておくれ」
 芙美子は自分でも信じられなかったが、ディーンの言うとおりに彼の唇に自分から
唇を重ねていった。互いをむさぼり合うように、激しく音をたててキスをした。
芙美子の体が柔らかくなってくると、ディーンはネグリジェを脱がせた。
さらに、ノーブラのオッパイをしゃぶりながらパンティに手をかけると
一気に足首までずらした。
「……あっ……」
「フェリス(芙美子)、69を愉しもう。さあ、おいで」
 ベッドに仰向けに寝たディーンの上に四つん這いで覆いかぶさるように
芙美子は69の体勢へと移行した。ふたりは、互いの性器を口唇でしゃぶり合い
愛撫し始める。
「……アッ……ハーン……ダメェ……イヤぁ……気持ち……イイ……」
 芙美子の秘部は瞬く間に潤い、ビチャビチャに濡れてきた。その甘い汁を舐めながら、
ディーンはフェラチオ中の芙美子に話しかける。
「フェリス(芙美子)、そうだよ。だんだんうまくなってくるねェ。
おまえがしゃぶってくれるおかげでチンポは最高にご機嫌になってきたよ。
いいかい、そうやって世の男どもを悦ばせるのだよ。肉欲の虜、フェリス(芙美子)よ」
 芙美子は返事はしないで、その艶やかに濡れた目で同意を示した。
「……ゥフン……欲しい……男の……お願い……欲しい……」
「わかっているよ、フェリス(芙美子)。さあ、この屹立する我がシンボルの上に
またがってごらん。ゆっくり、ゆっくりと、秘肉に挿入されていく感覚を味わいながら
腰を下ろしていくんだよ。さあ……」
 芙美子はディーンの言われるままに彼の勃起した肉棒の上にアソコをあてがうと
ペニスの先端を秘裂に割り込ませた。そして、亀頭部分を陰唇に沈め、感触を確かめた。
「……ぁハーン……入ってくる……大きい……」
 さらに、ゆっくり、少しずつ腰を下ろしながら、芙美子は巨大なペニスが膣に挿入
されていく感触を味わい、ついには完全に腰を下ろした。ディーンのチンポの先端は
芙美子の子宮口にピタリと密着していた。ディーンは、その外見・容貌を自由に変える
ことができるので、ペニスのサイズ(長さや太さや)も好きなように変えることができる。
女のアソコの状態に合わせてベストフィットを演出することができるのだ。
 ディーンがオッパイを揉み出すと、芙美子は腰を振り始めた。上下に、前後に、
左右にまわすように、結合部分を接点として弄ぶように腰を振った。
ディーンが両手でウエストをつかみ、芙美子が腰を動かす手助けもしてくれた。
「……あー……熱い……体の中から熱いわ……気持ちよくて……溶けていくよう……
あー、ダメェ……ディーン……ああー……気持ちイイ……ァハーン……イキそう……」
「いいよ、フェリス(芙美子)。さあ、言ってごらん。『わたしはフェリス。
官能の虜。肉欲のしもべ。性の奴隷。セックスの悦びに支配された女』と。さあ!」
「……わたしは……フェリス……。……官能の……虜、……肉欲の……しもべ、
……性の……奴隷……。セックスの悦びに……支配された……オ……ン……ナ……」
「そうだよ。そのとおりだよ。さあ、そろそろイクよ。このあいだのように、
サキュバスの能力の一部を一緒に注ぎ込んであげるよ。サキュバスの力は、フェリスの
女としての能力を増幅させていくからね。男を惑わすフェロモンが、多量に分泌される
ようになるから、おまえのことを男が放っておかないよ。肉欲だよ……」
 芙美子の腰を両手でつかんでストロークの補助をしていたディーンの腰の動きが
速くなった。それに呼応するように芙美子の腰の動きもスピードを上げて激しくなった。
ディーンがビクンと体を震わせてザーメンを放出した。一瞬、芙美子の膣いっぱいに
膨張したペニスが子宮口に多量のエキスを吐き出した。
インキュバス(男の夢魔)としての能力を駆使し、サキュバス(女の夢魔)の力の基を
一緒に注ぎ込んだ。
「……あー……スゴイ……熱い……アッハーン……」
 芙美子がガクンと背後に仰け反った。全身からは汗がフツフツと噴出していた。
「淫らでとっても美しいよ、フェリス(芙美子)。これから毎夜、おまえを抱いて
おまえの中に力を注入していくからね。そうすることで、フェリスはますます淫乱で
美しい『現世のサキュバス』に近づくことができる。おまえたちの世界では、それを
『ニンフォマニア』などと呼称していうようだけどね」
 快楽の果てにグッタリと体を横たえていた芙美子は、ディーンの言葉をボンヤリと
聞いていた。濡れた黒い瞳、紅潮した頬、半開きになった愛らしい唇、汗ばんだ姿態。
その艶かしい様子の全てが、芙美子が悦楽を享受していることを物語っていた。

(エピローグ)
 こうして、芙美子は結婚式を迎えるまでの三週間、インキュバス・ディーンの訪問を
毎夜毎夜受け容れ、情事を繰り返したのであった。その体内に少しずつサキュバスの
力を注がれ、肉欲に溺れる女の顔を――今までになかった新しいもうひとつの顔を――
得ることになるのであった。結婚と同時に、インキュバス・ディーンは訪れなくなった。

 彼が再び芙美子の許に姿を現すのは、ずいぶん先のことになる。
芙美子の心が、肉欲の権化を必要とする欲望を抱いたとき、彼は現れるのであった。

(淫夢――夢魔の誘惑――:完)"Wet Dream ―Fumiko seduced by Incubus―"

******次回予告******************************************************************
「芙美子という名の女優」"An Actress by The Name of Fumiko"
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  1. 2012/12/21(金) 06:44:47|
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淫夢――夢魔の誘惑――②

[4093] 淫夢――夢魔の誘惑――② 角笛 投稿日:2008/06/22 (日) 18:40
(2)
 降車駅の名前を告げるアナウンスの声で、芙美子は目が覚めた。
いやらしい声を上げていなかったかと一瞬狼狽したが、周囲の雰囲気からして
大丈夫そうだった。今の夢(?)は何だったのだろう、と考えながら、芙美子を改札を
抜けて会社へと急いだ。
 ロッカーで着替えを済ませて席に着こうしたとき、桂木啓佑とすれ違った。
すれ違いざま桂木が、
「……あのぉ、吉村先輩……。週末は、どうもでした……」
 と言ってきた。振り返ると、横で堀田学がニヤニヤしていた。
芙美子は不機嫌な笑みを返すのが精一杯だった。
 席に着いてPCの電源を入れたとき、隣席の安西環が声をかけてきた。
「おはようございます、芙美子先輩。金曜日は大丈夫でした?
あのあと、あいつらはキチンと芙美子先輩を家まで送り届けてくれましたか?」
 縦巻きロールの髪を揺らしながらアーモンド形の大きな目を見開いて、愛らしい唇が
動く。芙美子は挨拶を返すと、ええっ、とかなんとか言いながらはぐらかした。
「それよりあなたの方こそ、ひとりで帰っちゃったけど、彼氏とはうまくいったの?」
「えへへへへ。仲直りできました。彼が先に謝ってくれて、わたしも謝っちゃいました」
「そう、よかったわね」
「今度、先輩の旦那さんも一緒に、みんなで呑みにいきたいですね」
 そう言うと環は立ち上がり、給茶室の方へと歩いていった。

 PCが立ち上がってくるのをボンヤリ眺めていた芙美子は、急に、強い睡魔に襲われた。
意識が急激に闇へと引きずり込まれていくように眠りに落ちた。

(3)
 芙美子は、M字開脚の状態で、全裸で電車に坐っていた。
彼女の周りには見ず知らずの男たちが二十人前後群がっていた。
また、夢の世界に戻ってしまったようだった。
「お帰り、芙美子。さあ、続きだ。心と体を開いて、男たちの前に全てを
晒したまえ。おまえの欲望の導くまま、快楽を求めていくのだ」
 ディーンにキスをされて口を塞がれたため、芙美子は答えることができなかった。
声にならない呻きを上げながら、体中に唇と舌を這わせる男たちの愛撫に堪えた。
理性を保とうとするが、徐々にそれが怪しくなってきていた。
官能に支配されつつある自分を自覚し、芙美子はいっそう強く快感に抵抗しようと
心で強く意識した。エッチに溺れまい、と……。
 彼女の葛藤する心を読み取ってかどうかわからないが、ディーンが耳をしゃぶりながら
囁いてきた。
「『芙美子である』ということが、快楽を追求しようとするおまえの素直な欲望の
妨げになっているのだったら、おまえにもうひとつ別の名前を与えるとしよう。
おまえに官能の顔を与えてやろう。そうだなあ……。
『芙美子』の頭文字は『F』だから、『F』で始まる名前がいいなあ。そうだ!
フェリス(Felice)がいい。柔らかい音の響きで、エロティックな雰囲気もある。
これからおまえは、こちらの世界では『フェリス』と名乗るがよい。
貞淑な芙美子とは異なり、フェリスは欲望に忠実で、ときに艶やかで、淫らなことも
いとわず、セックスに貪欲な淫乱女にもなる、快楽を追求する性の虜。
そういう人物になればよい。とは言っても、もともと芙美子自身が潜在的に持っている
性格の一面が顕在化したにすぎないのだがな……。さあ、フェリス、目をあけろ」
 フェリスと呼びかけられた芙美子は、ゆっくり目をあけた。その瞳には
貞淑と淫乱のはざまで葛藤していた光は既になく、妖しく濡れそぼっていた。

 ディーンはさらにやさしく語りかけてきた。
「フェリス(芙美子)が望めば、なんでも思うようになる。俺のこの姿も
おまえのイメージにある理想の男の姿を形づくったものだが、おまえが望めば
どんな人間にでも変わることができる。例えば、巨根の黒人を望めば
このように姿を変えることができるのだ」
 ディーンがそう言った瞬間、彼の姿は長身の黒人へと変わった。
鋼のように鍛えられた赤銅色の体で仁王立ちするディーンの股間には、男根が
信じられない大きさで屹立していた。
「おまえが望めば、オフィスに移ることもできる」
 その瞬間、芙美子は全裸のまま仕事場の席に坐っていた。大股開きで秘部を周囲に
晒したままの体勢で椅子に坐っていた。仕事場の同僚たちは、芙美子のことには
全く気付いていないように、普通に仕事を行っている。不思議な光景であった。
「じゃあ、とりあえず、おまえの上司にしゃぶってもらおうか?」
 黒人の姿をしたディーンが合図を送ると、それに弾かれるように課長がこちらへと
やって来た。もうすぐ50が近い、小太りで髪が薄くなった脂ぎった男であった。
芙美子の股間を眺めると、舌で唇のまわりを舐めて充分潤わしてからクンニリングスの
体勢に入った。
「……ああっ、課長……ヤメてください……そんな……あっ……ダメェ……」
「そうそう、やさしく舐めて差し上げろ。まだ経験が少ないから、やさしくな」
 クリトリスと陰唇を舐められた快感に、芙美子は思わず悦びの声を漏らした。
「……ゥフーン……ああ……気持ち……イイ……」
「そうだ、フェリス(芙美子)。いま、おまえは淫乱のフェリスなんだから、
誰に遠慮することもない。ほら、アソコからおいしい蜜が次から次へと溢れてくるゾ」
 ディーンにそう言われて、芙美子の理性はどんどん失われていった。そうなんだわ。
わたしは名はフェリス。芙美子ではない、フェリス。そう、フェリスよ。
 フェリス(芙美子)の体から力が抜けていき、柔らかくトロけてきたのを確認すると、
ディーンはクンニする課長を退けた。そして、艶やかに微笑むと、
「さあ、フェリス、言ってみろ。何が欲しい。おまえの体は何を欲しているのだ?」
 と言った。
「……エッチしたい……。ディーンの……大きな……○○が欲しい……」
「聞こえない。何が欲しい? ハッキリ言え!」
「……ディーンの……男性の……シンボルが……欲しい……」
 その瞬間、黒人のディーンは、その巨大な肉棒をフェリス(芙美子)のアソコに
突き立てた。陰唇を割り、膣の中を満たしながら、子宮に届くサイズの男根が
インサートされた。
「……あっ、スゴイ……大きい……ああっ……」
「おまえの中は最高に気持ちがイイ。チンポに襞のひとつひとつがからみつくように
締め上げてくる。入り口だけでなく、奥の方もよく締まっている。
インキュバスである俺に快楽を与えるとは、やはり見込んだとおりの女だ。
芙美子という名の女は、処女を失って、フェリスという名の淫乱女を手に入れた。
これからは、自身のフェロモンだけでも男たちを惑わすだろうが、さらにその力を
強化してやろう。これから毎日、少しずつ種を植え付けていってやる。
サキュバス(女の夢魔)の力のもとをね。その能力を得ることで、おまえは男を誘い、
快楽の悦びを追求する力を増幅させることができる」
 巨大なペニスを用いて、ロングストロークで膣を攻めていた黒人のディーンは、
うっ、と声を上げると、子宮の口へ向けて精子を放出した。ドクッ、ドクッ、ドクッ、
と大量のザーメンが注がれた。アヘアヘと嬌声を上げていたフェリス(芙美子)は、
体をビクッ、ビクッ、と痙攣させていた。
 ディーンが長く大きなイチモツを引き抜くと、しばらくしてから
やや黄色みを帯びた白色の、非常に濃い液体が生き物のようにドロリと
陰裂から溢れ出してきた。
「フェリス(芙美子)の子宮に、しっかりサキュバスのエキスを注ぎ込んでやったから、
おまえはますます色っぽくなっていくゾ。男を惑わすフェロモンが強くなる。
さあ、フェリス。私のペニスをしゃぶって、キレイにしておくれ」
 トローンとした目でフェリス(芙美子)は、まだ充分な硬さを保ったままのディーン
の肉棒をしゃぶって、精液で汚れた部分を口で舐め取っていた。

(続く)"Wet Dream ―Fumiko seduced by Incubus―"

  1. 2012/12/20(木) 20:03:48|
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淫夢――夢魔の誘惑――①

[4092] 淫夢――夢魔の誘惑――① 角笛 投稿日:2008/06/22 (日) 18:38
"Wet Dream ―Fumiko seduced by Incubus―"

(プロローグ)
 処女を失った(拙作「芙美子の秘密」参照)あくる日、芙美子は奇妙な夢を見た。
夢、だったと思う。たぶん……。妙な現実感はあったが、すべてがいいかげんで
不可思議だった。これが現実であるはずがない、と芙美子は自分に言い聞かせた。
が、心と体が受けた感覚は真に迫り、とても生々しいものだった。
そのようなことが、結婚式を挙げるまでの三週間のあいだ、繰り返された。

(1)
 芙美子は、いつもの時間の通勤電車に、いつもと同じように乗車していた。
通勤時間帯なのに車内が妙に空いているのが奇妙ではあったが、それ以外には
特におかしなところがあるわけではなかった。ウトウト居眠りをしながら
窓の向こうの景色をときおり眺めていた。
 どこかの駅に着き、隣の席に人が坐ってきた。他にも席はたくさん空いていたのに、
わざわざ芙美子の隣に、まるで密着するように男が腰掛けてきたのが奇妙であった。
「おはよう、芙美子さん」
 隣に坐った男が話しかけてきた。芙美子は咄嗟に挨拶を返したものの、
男の顔には全く見覚えがなかった。
 短めの髪に端正な顔立ちの青年で、純粋な日本人ではなく、どこかヨーロッパの
血が入っているような、少しエキゾチックな雰囲気のある美形であった。
年の頃は二十代半ばで、背が高く、引き締まった体躯はスポーツ選手を思わせた。
「あのう、失礼ですが、どちらさまでしょうか?」
 芙美子が訊ねると男は微笑しながら答えた。
「そうですねえ、名前なんか別にどうでもいいんですが……。
と言って、無しというわけにもいかないでしょうから、そうだなあ……。
『ディーン』とでも呼んでもらいましょうか」
「えっ? それがお名前ですか? ディーンさん?」
「イエス。そういうことにしときましょう」
 おかしなことを言う男だなあ、と芙美子は訝しげにディーンと名のる男を見つめた。
雰囲気から言って、頭がおかしいというわけでもなさそうなのだが……。
芙美子がそんなことを考えていると、突然、ディーンが芙美子の頬にキスをした。

「えっ? やめてください。何をなさるのですか」
 ディーンは嘲るように微笑むと、芙美子の耳元で囁いた。
「ふっふっふ……。俺は、おまえの夢の世界に棲むインキュバス(男の夢魔)だ。
おまえの願望や欲求が現実世界で満たされていないときに現れてくる魔物だ。
おまえの精神と肉体の奥から沸き起こってくるセックスに対する欲望を満たすために
俺は呼ばれてきたようなものなのだ。おまえの深層心理によって……。
ディーン(Dean)の『D』は、デザイア(Desire)の『D』を意味している。
願望・欲求・欲望・渇望。どうだ、心当たりがあるだろう?」
「何をおっしゃってるんですか。変なこと言わないでください。
そんなこと考えていません」
「まあまあ。そうとんがりなさるな。人間は、自分の中にある本音と建前には
なかなか気付かないものだ。少しずつ確認していけばよい……」
 そう言うと、ディーンは芙美子の髪にやさしく触れた。

「あっ、やめてください」
「そうか、耳が感じるんだな?」
「アン、やめて……。あっ……」
 ディーンに耳をさわられて、芙美子は身をよじって逃げるように抵抗した。
「誰か、助けてください。おねがい……」
「無駄だ。ここは、おまえの夢の世界だ。おまえがエッチに弄ばれることを
望んでいるのだから、誰も見向きはしない」
 空いているとはいえ、車内には老若男女を問わずたくさんの人がいるのだが、
誰ひとりとして芙美子の声に反応する者はなかった。
「なっ? 言ったとおりだろ? さあ、立ち上がれ」
 ディーンに手を引かれて芙美子は立たされた。立ち上がった芙美子は、ディーンに
抱きしめられながらキスをされた。そして、耳をなめられた。
「……あっ、やめてっ……。イヤッ……、ダメェ……。誰か、助けて……。あっ……」
 芙美子はダークグレイのジャケットをディーンに脱がされた。白のブラウスの上から
胸を鷲づかみにされて揉まれた。さらに、ボタンをひとつずつ外されていく……。
「……イヤッ、イヤッ、やめてっ……。あっ、あっ、ぁふーン……」
 芙美子のヒップを撫ぜまわしていたディーンの手がスカートのホックを外して
ジッパーを下げた。グレイのタイトスカートは、ウエストのいちばん細い部分から
肉が詰まって充実した腰を経て、スルリと足元に落ちた。同時に、ブラウスも脱がされて
しまった芙美子は、白い下着とベージュのノンガーターストッキングだけになった。
3/4カップの白いブラジャーが重たそうに豊満な胸を支え、ローライズぎみで
股上の短い白いパンティは今にもずり落ちそうなエロイ光景であった。
「美しいボディとおまえの放つフェロモンは、男どもをほってはおかない。
おまえが望めば、鼻の下を伸ばした男どもがいくらでも群がってくるゾ。
望んでみろ。ほらっ! そうそう。男たちが集まってくる……」
 下着のみで立たされている芙美子の周りに、知らないあいだに男たちがたくさん
集まってきていた。二十人ぐらいの男たちが、何故か全裸で群がってきた。
こんなに大勢の人間が、この車両に乗っていただろうか? 芙美子は不思議に思った。
「男たちが寄ってきただろう。みんな男根を勃起させて。
芙美子のフェロモンに惑わされて、射精しそうにギンギンになっているよ」
「……イヤッ……」
 少し脚を開かされた――開かされたのか? 芙美子自ら開いたのか?――芙美子の
股間部分がディーンによってパンティの上から指で愛撫されていた。
パンティの上からクリトリスや陰唇を撫ぜまわされ、みるみるうちに、
クロッチ部分に染みが広がっていった。
「……あっ、ダメェ。ァハーン……。気持ち……イイ……。あー……」
 既に肩紐が落ちていたブラジャーのホックをディーンが外すと、ブラジャーが落ちて
芙美子のオッパイは露となった。ピンク色の乳首と少し大きめの乳輪をディーンの指で
弄ばれて、芙美子は悦びの声を上げた。
「アテンション、プリーズ! ご開帳!」
 と言うと、ディーンは芙美子のパンティを一気に下ろした。さらにディーンは
芙美子を座席に坐らせ、両脚をM字に開脚させて股間を開かせた。
ディーンをはじめ、男たちの眼前に芙美子の大事な部分が晒された。
「イヤァー、やめてェー。恥ずかしい……」
「そうは言っても、アソコの方はたいそう潤っているゾ。感じているんだろ?
快感と悦びを感じているんだろ?」
「ウソよ! そんなことありません」
「さあ、皆の者、しゃぶって差し上げろ!」
 ディーンの掛け声を合図に、ディーンを含む男たちは一斉に芙美子へと群がり、
オマンコ、オッパイと言わず、芙美子の身体全体をしゃぶり始めた。
「……イヤァー……。……あっ、あっ、あっ……。……ぁふーン……」
 芙美子は歓喜の声を上げた。

(続く)"Wet Dream ―Fumiko seduced by Incubus―"
  1. 2012/12/20(木) 16:03:18|
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芙美子の秘密⑥(完)

[4007] 芙美子の秘密⑥(完) 角笛 投稿日:2008/06/01 (日) 15:23
(6)
 ベッドに仰向けに寝そべっている堀田の股間を覆うような姿勢で、芙美子は男根を
弄んでいた。目はトローン、唇は半開きの状態で、官能に陶酔している様子だった。
「桂木に手伝って欲しいんやけど……。対面騎乗位でやりたいので、先輩を抱え上げて
チンポの上に坐らせてくれへんんか? 」
「諒解!」
 と言うと、桂木は芙美子の脇に腕を差し込んで抱え上げた。そのまま、堀田の股間へと
移動させる。
「ほな先輩、自分の手でチンポの先にアソコをあててください。そうそう。そうして、
ゆっくり咥え込んでいってちょうだい。おおっー、おおおっー」
 欲情した芙美子は、堀田の肉棒の先端を膣口にあてがうとヌプリと亀頭まで挿入した。
しばらくそこで停留したあと、さらに腰を沈めた。
「……ぁふーうーン……」
 堀田のイチモツが根元まで深く突き刺さった。桂木の支えを受けながら、芙美子は
腰を動かした。上下に、前後に、回転させるように腰を動かしながら、己の快感の壺を
探った。
「そうそう、先輩。なかなか上手ですよ。わふぅー! たまらん!」
 アヘアヘと喘ぎながら芙美子が腰を振る。髪を振り乱し、両腕でバランスをとりながら
騎乗で淫らに舞っている。すでに桂木の支えは必要でなくなっていた。
「またムラムラしてきましたわ。先輩、すみません。僕のものを咥えてください」
 桂木が芙美子の唇を割って半立ちのチンポを挿入してきた。突然の闖入者に口の中を
いっぱいにしながら、芙美子は腰を振っていた。

「……ああ……気持ち……イイわ……ゥふン……あっ、あっ、あっ……感じる……」
「エエなあ……。吉村先輩の旦那さんになる人は、毎日この快感を味わえるんやなあ……。
うらやましいなあ……。そう思うやろ、桂木?」
「そうだね」
「……ハッ、ハッ、ハアーン……。……あーん、そんなこと言わないでよ……。
孝太郎さん……ごめんなさい……。あっ、あっ、ああっー……」
「おっ、そろそろイキそうになってきたわ」
 堀田の合図を聞き、桂木は芙美子の口から肉棒を引き抜いた。唾液が糸を引いている。
下から突き上げる堀田のスピードと、上で腰を振っている芙美子のピッチが上がる。
二人とも、ときときビクン、ビクンとしながら、絶頂へ向けて全開であった。
「あかん、イクっー! 出るー! 先輩! うっー……」
 ビクビクンと震えて堀田は芙美子の中に射精した。芙美子も騎乗位のまま、体をビクン
と痙攣させた。
「……あっー……はあーン……。ゥふーン……。スゴイ……」
 芙美子が上体を後にのけぞらせるのを桂木が支えた。芙美子は全身汗ビッショリで
堀田も汗だくになっていた。余韻が去った頃を見計らい、桂木は芙美子の体を抱え上げた。
陰裂からグニャリと元気をなくした男根が姿を現し、ワンテンポおいてからザーメンが
滴り落ちてきた。ポタリ、ポタリと、二回目の射精の割に結構な量の白濁液が落ちてきた。
芙美子は騎乗位でも中出しされてしまった。
「先輩のアソコはトロトロにとろけていて、最高ですわ。気持ちエエわ……」
「……そう……。わたしのアソコ、そんなに良かった? ウフン……」
 芙美子が艶やかな瞳を堀田に向けて、唇の端を少し上げて微笑んだ。

「桂木くん!」
 体を抱え上げてくれていた桂木の方に向き直り、芙美子は妖しい瞳と唇で桂木を誘った。
「……もう一回……。もう一回しよ……。ねえ、もう一回……」
「えっ? もう一回? マジですか? 先輩さっきまで処女だったんですよねェ?
なんか信じられないなあ。もう一回? ホントに?」
 桂木の問いに返答する代わりに、芙美子は桂木の首に手をまわしてキスをした。
そして、首筋から胸へと愛撫し、さらに臍から下腹部へと唇を移していった。
「エッチしましょ! ねっ!? ウフン」
 と言うと、芙美子はパクリと桂木のペニスを咥え、しゃぶり始めた。

(エピローグ)
 ついさっきまで処女だったはずの芙美子に弄ばれ、桂木も堀田もヘトヘトになっていた。
何度も挿入を強要され、射精させられて、出すモノはもう何もなかった。
完全に搾り取られたのだ。芙美子はやや不満げな表情で二人を見下ろしていた。

 結婚を三週間後に控えた今、孝太郎のために守ってきた処女を失ってしまった。
しかし、セックスの悦びと官能に燃える感覚を知ってしまった。
甘美な背徳の蜜を味わってしまい、芙美子は、自分が淫らな女に堕ちていってしまう
のではないかと、言いようのない不安にかられていた。
 その不安が現実となり、彼女の淫乱な側面が開花するのは、まだ先のことである。

(芙美子の秘密:完)"Premarital Untold Story of Fumiko"

******次回予告******************************************************************
「淫夢――夢魔の誘惑――」 "Wet Dream ―Fumiko seduced by Incubus―"
  1. 2012/12/20(木) 11:02:32|
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芙美子の秘密⑤

[4006] 芙美子の秘密⑤ 角笛 投稿日:2008/06/01 (日) 15:21
(5)
 芙美子が少し落ち着きを取り戻すと、桂木が口を開いた。
「さあ、吉村先輩。本番の方をちょっとずつ進めていきましょうか!?」
「えっ? それはダメ……。ダメよ……。お願い……。それだけは許して……」
「ダメですよ、先輩。ちゃんと順番に経験しておかないと……。旦那さんを悦ばせて
あげないといけないんだから……。なあ、堀田!?」
「そうそう、桂木の言うとおりですわ。ちゃんとヤラなあきまへん」
 堀田は芙美子の背後にまわりこむと、椅子になるような姿勢で後から芙美子を抱えた。
オッパイを揉みながら桂木を促す。
「俺は背後から抱きかかえてオッパイを愉しませてもらうから、おまえはアッチの方を
ゆっくりほぐして差し上げてくれや!」
 M字に開脚された芙美子の股間に顔をうずめて、桂木は再び陰唇を愛撫し始めた。
かなり濡れてはいたが、さらに潤わすべく、刺激を与えた。舌も使った。
そうして、貫通の下準備として、小指でやさしく膣口をマッサージしだした。
ゆっくりと、ゆっくりと、小指の先端を挿入する。第一関節から第二間接のあいだまで
入れると、今度はゆっくりと引き抜く。芙美子が、アッ、と呻くのを聞きながら……。
 堀田は乳を揉みしだいて桂木の援護をする。乳輪を撫ぜまわし、乳首の先端をコロコロ
ころがしたりしながら、オッパイ全体を揉む。バストトップが敏感とみえて、
愛撫されるたびに芙美子が悦びの声を漏らしていた。

 芙美子のアソコをクンニしていた桂木が立ち上がった。充分に潤ったのを確認して、
いよいよ挿入を試みようとしているようであった。処女の滝上りにそなえて、堀田は
芙美子をしっかり羽交い絞めにしていた。
「吉村先輩! 吉村芙美子さん! それでは、いきますよ。なーに、心配しないで。
誰でも経験することですし、やさしくやりますから……。ねっ!?」
「イヤっ。やめて。お願い。桂木くん! ダメェ……」
「さあ、それでは、まずは先っぽだけね」
 処女を犯す悦びで硬くなったイチモツを膣口にあてがうと、桂木はヌプリと先端のみを
挿入した。まだ、亀頭の最大径部分までは入れていない。
「……あー、イヤっ……。やめてェー……。あっ……」
「さあ、ちょっとだけ我慢してね」
 桂木が亀頭まで収めた。とても狭い膣口だったが、よく濡れていたおかげか
亀頭までは以外と簡単に挿入できた。
「……あっ……。……痛い……」
 桂木は指でクリトリスをころがしながら、亀頭まで挿入したチンポをゆっくりと
前後させた。それ以上深く突き立てることはなく、亀頭までの挿入度を維持しながら、
膣の入り口を少しずつ開かせていく。まるで、柔軟体操をさせるように……。
 堀田は引き続きオッパイを愛撫していた。背後から髪の匂いを嗅ぎながら、耳を舐めた。
耳たぶを吸った。左手で芙美子の唇を撫ぜたあと、口の中に指を突っ込んだ。
芙美子の唾液で濡れた指先で、再び乳首をこねくりまわした。
「……あー……イタイ……あっ……ゥふーン……ァはーン……」
 芙美子の口から熱い吐息が漏れ、だんだん悦びの声へと変わっていった。
ハアハアとした息遣いに変わり、明らかに感じてきているようであった。
「イイ声が出てきましたね、先輩……。アソコの入り口の感触、最高ですよ。キュッと
狭くて、僕のチンポが押し返されてますよ。スゴイ弾力だ」
「おおっー、そんなにエエのんか?」
「最高だよ……。さあ、それではそろそろ一気にブチ込みますよ」
 亀頭の出し入れでそれなりにほぐされた膣口を突破して、桂木は一気に奥まで肉棒を
突き入れた。
「……あっ……痛い……。うっー……あー……。うっ……」
 芙美子が痛みをこらえることができず、声を漏らした。桂木はやさしく、ゆっくりと
ストロークを繰り返す。初めての膣を確かめ、じっくり味わうように、ゆっくりと……。
「入り口も狭かったけど、中の方もイイ感じ……。襞がチンポに絡みついてくる……。
吉村先輩が、あっ、とか、うっ、とか声を上げるたびに、キュッと締まってくる……。
ちぎれそう……。スゴイ締まりだよ。ただの処女ではこうはいかないよ、ゼッタイ」
「エエなあ、おまえ。吉村先輩の『初めての人』になったんやなあ。旦那さんより早く。
世界のどの男よりも早く。おまえが正真正銘、初めての男や! 俺が証明したる」
「ありがとう、光栄だ。しかし、先輩のアソコ、スゴイなあ。締め付けが……。
こりゃ、あんまり長持ちしないゾ……」
「……あっ、あっ、あっ、ぁハア、ハア、ハア、ハア、ハア、ハア……」
 破瓜の痛みに堪えると、官能の炎が燃え始め、芙美子はしだいに感じ始めていた。
体の中心から熱く沸き起こってくる言いようのない快感に、体が正直に反応し始めていた。
「おいおい、先輩も感じてきてはるけど、中に出したらアカンぞ。一応、吉村先輩は
もうすぐ結婚しはるんやし、万一子供が出来てしもたら厄介なことになるしな」
「あー、わかっているって……。まあ、妊娠させてしまったらそれはそれで都合が
イイけどな。責任とって吉村先輩と結婚するとかさ……。あっ……。危なかった……。
締められて、もう我慢できないよ。そろそろフィニッシュだなあ。どこに出すかな?」
 芙美子の胸を揉んでいた堀田が、オッパイの先端に触れた瞬間、芙美子の体に電流が
走ったようにビクッと痙攣した。
「……ハア、ハア、ハア、ハア、あっ……ぁはーン……ゥふーン……」
 最強レベルに達する膣壁の収縮を予想外のタイミングに受けて、発射寸前だった桂木の
男根は悲鳴を上げた。
「……あっ……あっ……。イッてしもた……」
「ええっ? ナニ? イッてしもたって、おまえ、中に出してしもたんか?」
「……ああ……。なんか急にギュッとアソコが締まって、堪えられなかった……」
「おまえ、ホンマに中出ししてどうするねん。しゃーないなあ……。やってしもたもんは
いまさらどうすることもできひん」
 桂木のイチモツから放出されたザーメンは、最後の一滴まで搾り取られようとしていた。
芙美子の膣が痙攣し、収縮を繰り返して搾り取っていたのだ。

 精液を吐き出してグッタリしたペニスを桂木が引き抜いた。
桂木と堀田の目が、芙美子のアソコに集中する。しばらくすると、白濁した液体が
ドロリと溢れ出してきた。破瓜の際の出血が混じって、ピンク色をしている部分もあった。
この様子からでは、それほど出血はしなかったようだ。粘性の高いザーメンを滴らせ
芙美子の陰唇は淫猥な様相を呈していた。
 目をつむってグッタリしている芙美子の髪を撫ぜ、やさしくキスをすると、桂木が
耳元で囁いた。
「吉村先輩。先輩もこれで正真正銘『女』になられましたね。とても良かったですよ
先輩は如何でしたか? 気持ち良かったですか?」
 半開きの口から甘い息を吐いていた芙美子は、ゆっくりと目を開いた。濡れていた。
涙で潤んではいたが、それだけのためで双眸が濡れているとは思えなかった。
明らかに、官能の悦楽に酔っている目であった。
「……気持ち……良かった……。……とっても……体が熱くなって……。
頭の中で何かがはじけて……わけがわからなくなった……。ああ、気持ち良かった……」
「そうですか。初めてにしては上出来ですね。もともと先輩には、エッチな素養があった
のかもしれませんね。美しいだけでなく、今もとってもエロいですよ」
「ホンマ、たまりませんわ。先輩を見ていたら、また勃起してきました。
俺のムスコの相手をもう一回してくれませんか? 我慢できひんのですわ」
「……もう一回エッチ? 堀田くんと? ええ、いいわ。エッチしましょ」
 芙美子は自分でも信じられない言葉を口にすると、既に屹立している堀田の肉棒に
手を伸ばし、愛撫を始めた。

(続く)"Premarital Untold Story of Fumiko"

  1. 2012/12/20(木) 06:41:24|
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芙美子の秘密④

[4005] 芙美子の秘密④ 角笛 投稿日:2008/06/01 (日) 15:20
(4)
 ベッドの上に坐った姿勢で堀田に頭を押さえ込まれた芙美子は、堀田の勃起した肉棒を
口で奉仕させられていた。んぐっ、んぐっ、と声にならない呻きを上げ、口の周りを
唾液で汚しながら、堀田のストロークを受け止めていた。
 桂木には左右の胸を交互にしゃぶられ、孝太郎にも触れられたことのない大切な部分は
右の人差し指と中指でやさしく愛撫され、芙美子の心と体はトロトロに溶かされつつ
あった。
「……あっー、あー……。ダメェ……。ゥふーン……。……気持ち……イイ……」
 堀田がイチモツを引き抜いた際、芙美子の口から思わず声がこぼれた。
男に犯されたことのない汚れなき処女の部分を、いま嬲られている……。
オッパイを舐められ、陰唇や膣の入り口を指で愛撫されながら、清らかな口唇を割って
男根に犯されている……。物理的な刺激以外にも、『犯されている』という客観的事実が
芙美子の初めて感じる官能を高めていると言ってよかった。
 婚約者である孝太郎以外の男には決して開いてはならない秘密の部分を、いま、
二匹の獣たちに蹂躙されている……。快楽に身を任せ、トロトロにとろけかけている
自分がいる……。セックスがこんなに気持ちのイイものだったとは……。知らなかった。
「そうそう。亀頭をしゃぶって、カリの部分を唇をすぼめて……。エエよ、先輩。
根元まで咥え込んで……。ちょっと苦しいかもしれんけど、頑張って……。」
 芙美子は堀田に言われるがまま、処女の口を犯して猛り狂っているイチモツを
しゃぶっていた。ズチュッ、ズチュッ、と音をたてながら……。
「俺はねえ、チンポしゃぶってもらうのが好きなんですわ。特にかわいい娘の口に
突っ込んでフェラチオしてもらうのが大好きなんですわ。先輩のような美人に
チュパッ、チュパッしてもらえて最高に幸せやー!」
 堀田はそう言うと、背中をブルブルと震わせた。

 オッパイから口をはなして、桂木はアソコに顔を近づけていった。
蜜の溢れてくる膣口をアップで眺めながら、指でクリトリスと陰唇を愛撫している。
小指を立てると、ゆっくりと陰唇を開いて膣口に立ててみた。芙美子がビクンと反応する。
「よく潤っていますけど、貫通はやさしく進めないといけませんねェ。先輩のアソコ、
小指を入れるのがやっとですねェ。よく締まっていそうですねェ」
 桂木はゆっくり、やさしく、極めてやさしく、小指の先を膣に少しだけ挿入した。
せっかくの処女膜を傷つけないよう慎重に膣口を愛撫する。次から次へと溢れ出てくる
愛液で小指はトロトロに濡れた。チンポをしゃぶってる最中の芙美子が声を発することが
できなかった。
「おおっ、エエ塩梅か? オメコの締まりは良さそうか? 小指一本がやっと通るんか?
楽しみやなあ……。俺はとりあえず、こっちを攻めるのが先やけどな」
 そう言うと、堀田はフェラチオのストロークピッチを速めるように腰を動かした。

 堀田はときどき、ウッ、と声を上げながら、腰の動きを速めていた。頭を押さえられて
いる芙美子は、そのピッチから逃れることができなかった。実際、エッチな気分になった
芙美子自身のおしゃぶり動作も熱が入ってきているのかもしれなかった。
「そっちの『初めて』はおまえに譲るからよ。こっちの『初めて』は俺が頂くで!
エエなあ、桂木?」
「ああ、いいゾ。思う存分、吉村先輩の『初めて』の口の中に出して差し上げろ!」
 桂木の言葉を聞いて、芙美子が、ウーン、ウーン、と呻き声を上げているが、
堀田はそんなことお構いなしにピストン運動を繰り返していた。自らの右手で
イツモツの根元部分をシャカシャカしながら、左手で芙美子の頭をガッチリ押さえながら、
発射体勢に移行しつつあった。
「おおおっー、イクッ、イクッ、イクッー! 出るゾー! もう出るゾ! 先輩!?
イキますよ! イキますしねっ? ねっ? おおっ、あかん……。あっ……」
 堀田の腰がビクッ、ビクッ、と震えた。両手で芙美子の頭をしっかり抱え込み、
男のエキスを口内に放出していた。恍惚の表情をした堀田と対照的に、眉間にシワを
寄せた苦悶の表情を芙美子は示していた。アソコから顔をはなして、桂木もその様子を
眺めていた。
「こぼさないようにね」
 堀田がゆっくりチンポを引き抜いて、芙美子の顔に自分の顔を近づけてきた。
両手で頬を撫ぜながら、やさしく、
「さあ、先輩。少しずつ、ゆっくりでいいからお口を開けてください。さあ、どうぞ」
 と言った。
 芙美子がその愛らしい唇を徐々に開いていくと、粘度の高い、白い液体が
生き物のようにトローリとこぼれ落ちた。唇の端から顎をつたい、鎖骨から豊満な胸へと
滴り落ちた。口を開くほどに、次から次へと、ドロリ、と溢れ出てきた。
最後と思われるザーメンの塊が出たとき、芙美子はゲホッと咳をした。
「先輩、失礼しました。ちょっとご無沙汰だったもので、だいぶ溜まっていました。
初めての口内発射には、多くて大変だったでしょ? すんません。でもね、先輩。
とっても気持ち好かったですよ。エエ塩梅でした。大満足ですわ。とりあえず、これで、
先輩の口は『処女』を卒業しましたね。おめでとうございます!」
「吉村先輩、僕からもおめでとうございます! アップで見てましたけど、最高に
美しく、エロく、良かったですよ」
 二人の勝手な発言を聞きながら、芙美子は閉じていた目をゆっくり見開いた。
妖しい光をたたえ、官能に濡れているようであった。半開きの唇の周囲は精液に汚れて
いて、艶かしい表情であった。
「……堀田くん……ヒドイ……。あー……。でも……。とても興奮した……。
体が熱くなって……気持ち……良かった……。あー……」
 ウットリした表情で芙美子は独り言のように呟いた。フツフツと噴出した汗で全身が
汗ばみ、あたりに甘酸っぱい匂いを放っていた。悦楽を得た女の体は、雌の発する
官能のフェロモンを周囲に放ち、雄たちのリビドーをいっそう高めていたが、
このときの芙美子はまだそのことに気付いていない。

(続く)"Premarital Untold Story of Fumiko"

  1. 2012/12/19(水) 20:00:52|
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芙美子の秘密③

[4002] 芙美子の秘密③ 角笛 投稿日:2008/05/31 (土) 23:25
(3)
 いやがっているとはいえ、そこは健康で若い体である。二匹の獣に攻められている
芙美子は、今まで感じたことのない快感に戸惑いを覚えていた。
少しずつ、少しずつ、官能の淵に引きずりこまれていくような感覚に、危機を感じていた。
「安西さんは? 安西さんはどこにいるの?」
「安西は吉村先輩を見捨てて彼氏のもとへ行きましたよ。なんでも相談したかったのは
彼氏のことだったらしいんですけどね。彼氏から謝罪の電話が掛かってくるや、
吉村先輩のことを俺たちに押し付けて、さっさと彼氏のもとへと行ってしまいました」
「ヒドイ後輩ですよねェ。俺らにとっちゃあ自分勝手な同期だけど、結果としては
結構なプレゼントを置いていってくれたともいえるし……。フ・ク・ザ・ツ……」

 かすかな希望を抱いた安西環の行動を聞いて、芙美子は焦った。
このままではヒドイことになる……。最悪の事態は避けなければならない。
イチかバチか、正直な気持ちを伝えて、彼らの良心と理性に訴えるしかないと考えた。
「お願い、こんなことヤメて……。あっ……。ダメェ……。ゥふーン……。
ダメよ、こんなこと。まだ、孝太郎さんにされたこともないのに……。
お願い、もう許して……。あっ……あっ……。ヤメてェー……」
「えっ? 孝太郎さんって、婚約者のこと? 旦那さんになる人ですよね?
ええっー、もしかして、吉村先輩って……」
「処女なんですかー!?」
 処女なんですか、ってところは、桂木と堀田の驚きの声が完全にハモっていた。
芙美子は目に涙を浮かべながら、小さくコクリと首を縦に振った。

 一瞬凍りついたように固まった二人であったが、すぐにいやらしい笑みを浮かべた。
そして、芙美子にとっては信じられない言葉が、堀田の口から発せられた。
「それはあきません。吉村先輩ほどの美人でナイスバディの方が処女で嫁いだら
あきませんがな。ちょっとでも、独身のうちに遊んでおいていただかないと
あきません」
「そうですよ、吉村先輩。いつも言っておられるじゃないですか。何事も経験と。
旦那さんになる方のためにも、エッチの練習をしておかないと……」
「えっ? そんなぁー、ダメよぉー……。あっ……」
「ほらほら、気持ちよくなってきてるんでしょ? アソコも適度に潤ってきたことだし、
そろそろこっちも脱ぎましょうか? ハイ、ご開帳!」
 と言うと、桂木は芙美子のパンティを一気に脱がせた。柏木孝太郎にさえ
まだ一度も見せたことの秘密の部分が、二匹の獣に公開されてしまった。
「……イヤぁっー……」
 芙美子の目から涙が一筋流れ落ちた。

 芙美子の背後から羽交い絞めする位置にいた堀田は、芙美子の太腿を抱え上げて
子供に小便をさせるような姿勢を強いた。桂木の目の前に大股開きでアソコを晒す格好と
なった。
「イヤぁー……」
「ほおー、キレイだ……。堀田も見えるだろ? サーモンピンクって言うんだよな?
処女くささがないゾ。処女なのに、アソコからうまそうな甘い匂いが漂っている感じだ。
よく濡れているし……」
 芙美子のアソコに鼻を近づけていた桂木は、陰唇から溢れ出している甘い蜜を
ペロリと舐めた。
「あっ……」
 芙美子の腰がビクンと反応した。
「ほら、気持ちいいんでしょ? 先輩のアソコから、トロトロに蜜が溢れていますよ。
おいしい蜜ですよ」
 初めてのクンニリングスによる快感で芙美子の頭は混乱していた。確かに、今までに
感じたことのない感覚であった。体の芯から、どんどん熱くなってくるのを感じた。
「吉村先輩のアソコを初めて舐めたのが桂木なら、俺は吉村先輩に初めてフェラチオ
される男になりたい!」
 堀田は仁王立ちすると、芙美子の顔の前に己の男根を差し出した。
しゃぶるようにと堀田が合図を送るが、芙美子は口をなかなか開かなかった。
しかし、その様子を見ていた桂木に舌でクリトリスを転がされた瞬間、芙美子は思わず
ああっー、と喘ぎ声を上げた。その一瞬口が開かれたのを見逃さずに、堀田は肉棒を
芙美子の口に滑り込ませた。
「さあ、先輩。フェラチオの特訓ですよ。言うとおりにおしゃぶりしてくださーい」
 口を掘田のペニスで犯され、アソコを桂木の舌で犯されて、芙美子は初めて受ける
凌辱に打ち負かされないよう懸命であった。そして同時に、初めて感じる官能の悦楽に
全身が燃えるような興奮を覚えていた。快楽に……堕とされる……。
芙美子は漠然とそんなイメージを抱いていた。

(続く)"Premarital Untold Story of Fumiko"

  1. 2012/12/19(水) 16:45:23|
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芙美子の秘密②

[4001] 芙美子の秘密② 角笛 投稿日:2008/05/31 (土) 23:13
(2)
 桂木のマンションはワンルームであった。ユニットバスとキッチンを含めて
男の部屋にしてはキレイに片づいていた。眠り続けている芙美子をベッドに寝かせると
二人は少し落ち着いた気持ちになってため息をついた。
「おい、吉村先輩の服、シワにならないか? 白のスーツだし……」
「そうだなあ……」
 芙美子は、淡いピンクのブラウスに白のブレザーとタイトスカートを身にまとっていた。
ブラウスの胸の合わせの部分には、ふんだんにフリルがあしらわれており、フェミニンな
雰囲気を醸し出していた。
「とりあえず上着だけでも脱がせておくか? シワになるといけないし……」
 堀田が上体を起こして桂木がブレザーを脱がせた。ピンクのブラウスはけっこう薄めの
生地でできており、少しブラジャーが透けて見えていた。二人とも思わずゴクリと生唾を
飲み込んだ。

「しかし、安西もけっこう美人でエエ体してるけど、吉村先輩は別格やなあ。
清楚で美人で究極のナイスバディだよなあ」
 堀田がブラウスの胸の膨らみを見ながら切り出した。全身を舐めるように視線を
這わせ、さらに続けた。
「制服の上からでも、胸が揺れているときがよくあるよなあ?」
「あー、そうだなあ」
 桂木も芙美子の全身を眺めながら同意した。
「あーあ。三週間後に結婚して人妻か……。なんかくやしいなあ……。なんとかモノに
できひんかったんかなあ。自分に腹立つわ……」
「俺たちが入社したときには手遅れだったさ。安西に聞いたんだけど、吉村先輩と
旦那さんが初めて会われたのは今から約10年前、旦那さんが大学生の頃らしい。
そのとき吉村先輩は中学生だったってさ。その頃から相思相愛らしいぜ」
「ほんまか? そりゃあ、全然間に合わへんなあ」
 堀田が指を鳴らしてくやしい気持ちを表した。

 ベッドで無邪気に眠る芙美子を見ながら話しているうちに、二人の心の中に
ムラムラする何かが芽生えてきていた。いや、体の中に、と言った方が正確かも
しれなかった。何か邪なエネルギーが、二人のリビドーを高めつつあった。
芙美子がウーンとうなって寝返りをうったとき、白のタイトミニの裾が少しまくれがり、
太腿の奥の白い肌がチラリと見えたようであった。その瞬間、桂木と堀田の瞳の奥に
何か鈍い光が宿ったようであった。
「おい桂木、スカートもシワになったら吉村先輩困らはるのとちがうか? なあ?」
「そうだなあ、脱がせておくか……。暑そうだし、ついでにブラウスも……」
 堀田はタイトミニのホックを外してジッパーを下げた。そして、ゆっくりと腰から
太腿、足先へとスカートを脱がせていった。白い小さなパンティとノンガーター
ストッキングが露になった。パンティの縁にフリルがあしらわれていた。
 桂木はブラウスのボタンをひとつずつ外し、上半身を抱きかかえてブラウスを
脱がせていった。やはりフリルのあしらわれた、パンティと揃いの白いブラジャーが
現れた。カップからこぼれ落ちそうに肉の詰まったバストであった。
「ウエスト細いなあ。スゴイくびれだゾ!」
「オッパイの方は軽く見積もってもEカップはありそうやなあ?」
「アッチの締まりもイイんだろうなあ?」
「そらおまえ、結婚間近なんやし、よう使い込んで鍛えられてるんとちがうか?」
 二人とも勝手に品定めをし、盛り上がっていった。

 吉村芙美子は美人である。
168センチの身長に、この当時だとB88(Eカップ)―W56―H87という
ボディスペックを有したエロい体つきで男たちを魅了していた。
いや、その雰囲気が自然と放つフェロモンで誘惑していたといった方がよかったかも
しれない。
「おい、なんかムラムラしてくるよなあ。なあ、ちょっとぐらいイタズラしても
エエんとちがうか? 吉村先輩はまだ独身なんやし、これだけの体つきや。
エッチなことも好きやと思うでェ。なあ、そう思うやろ? こんなうまそうな体を
見せられて、我慢できるわけないやんか?」
 堀田はそう言うと、芙美子のオッパイをブラジャーの上から揉み始めた。
そして、ときおり、バストトップのあたりを指先で撫ぜまわし、乳首の感触を確かめて
いるようであった。
 一方、桂木は愛らしい芙美子の唇に軽くキスをすると、パンティの方に目をやった。
脚を少しだけ開かせると、人差し指で陰唇のあたりを二三度擦った。
そうしてから、右手の親指の先でクリトリスのあたりをパンティの上から弄んだ。
「……あっ……うーん……」
 芙美子の口から吐息が漏れた。なおも二人は、しつこくそれぞれの担当部分をせめた。
堀田が芙美子の首筋に舌を這わせ、耳をしゃぶったとき、
「……アッハーン…………」
 と確かに芙美子は喘いだ。

 桂木と堀田の理性や分別は、既にどこにも存在しなかった。芙美子の悦びの声の断片を
聞いたことで完全に失われてしまったのだ。
「とりあえず、オッパイを生でしゃぶらせてもらうわ」
 堀田は震える手でホックを外し、ブラジャーを取り去った。豊満な胸の隆起の先端が
露出した。乳首も、やや大きめの乳輪もキレイな薄ピンク色であった。
「おい、スゴイぞ。やっぱ、吉村先輩の胸はキレイやなあ。たまらんゾ」
 堀田はオッパイにむしゃぶりついた。乳輪を舌で舐めまわし、乳首を吸った。
芙美子の体がビクンと反応した。それに呼応するように、桂木もクロッチ部分への攻めを
強めていった。擦ったり、指先で押したり、コロコロころがしたりしながら、
徐々に湿り気を帯びてくるのを確認していた。ときには潤いの匂いを確かめるように
パンティの上から唇と舌でしゃぶりあげた。
ベッドの周辺には、汗の入り混じった甘酸っぱい匂いが立ち込めていた。

 堀田が左の乳首を強く吸ったとき、アアッー、という声を上げて芙美子が目を覚ました。
「……えっ、ナニ? どういうこと? あなたたち、何をしているの?
イヤッ。やめてェ。こんなことをして……。アッ……。あっはーン……。ダメよ……」
「吉村先輩、すんません……。先輩を見ていたら、我慢できひんように
なってしもたんです。先輩も気持ち良さそうだったので、ついエスカレートして……。
なあ、桂木……。そうやなあ?」
「堀田の言うとおりなんです、先輩。俺たちも我慢できなかったんですけど、先輩も
気持ち良くなりたかったんですよね? それが証拠に、先輩のココはこんなになって
きてますよ! ホラ! シットリと…………」
 話している最中も桂木はクロッチ部分への刺激を続けていた。
「何を言っているの、桂木くん……。こんな……ダメよ……。あっー、あー……」
「ねえ先輩、独身の最後に、俺たちと遊びましょうよ。気持ち良くなりましょうよ」
「イヤよ……。やめなさい! あっ、あーン……。イヤぁー……」
 転がり始めた欲望の雪玉を止めることは難しかった……。
一匹の特上の雌に群がる二匹の雄を止めることは、もはや無理であった……。

(続く)"Premarital Untold Story of Fumiko"

  1. 2012/12/19(水) 11:35:52|
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芙美子の秘密①

[3998] 芙美子の秘密① 角笛 投稿日:2008/05/31 (土) 21:55
(プロローグ)
 三週間後に柏木孝太郎との結婚を控えていた吉村芙美子は、呑み慣れないアルコール
に苦慮していた。課で催してくれた自身の送別会ゆえに酒を断るわけにもいかず、
かなり酔いがまわっていた。結婚を機に退社することを決めていたので、この宴会で
最後という気持ちが、芙美子を大胆にさせていたのかもしれない。
 細身でスラリと身長が高く、それでいて胸や腰には適度なボリュームの肉がついた
メリハリボディの芙美子は、男性社員の人気の的であった。
瓜実顔の愛らしい美人で、ゆるやかにウェーブのかかった長い黒髪の芙美子は、
その性格の良さもあって女性からの人気も得ていた。
 体が熱く、だいぶ眠気を催してきていた。切れ長の目がトローンとしてきて、
いまにも閉じようとしたとき、一年後輩の安西環が声をかけてきた。
「芙美子先輩、眠ったらダメですよ。今日は主役なんですから。アーン、目を閉じたら
ダメですよ。もー」
 環の声は耳に届いているのだが、襲い来る眠気に抗う術を芙美子は失いつつあった。
相談したいことがあるので、という環の申し出を受け、今晩は彼女の部屋に泊まる約束を
していた芙美子であったが、眠ってしまっては話もできなくなる。帰途についた際にも
お荷物になってしまうという心配もあったのだが、睡魔には勝てそうになかった。
「アーン、ダメですよ、芙美子先輩。今日は話を聞いてくれるって約束なのに……」
 少し脱色して茶色みを帯びた縦巻きロングの髪を指先で弄びながら、
環はため息をついた。芙美子よりもやや小柄な環はスリムな体形をしていたが、
体形のわりに胸はけっこう大きかった。アーモンドの形をした瞳には精気が宿っており、
活発な性格と相まって同期社員からの人気も高かったが、環自身は一年先輩の芙美子と
気が合うようで、実際とても慕っていた。
 目の前を通り過ぎようとした男二人を環は呼び止めた。
「あっ、桂木くんと堀田くん。帰りに付き合ってよ。……違うわよ……。芙美子先輩を
私のマンションへ連れて帰るのよ。手を貸してってお願いしているのよ」
 環に呼び止められた二人は、最初イヤな顔を見せたが、用事が吉村芙美子の介抱に
係わるとわかるやいなや、表情が明るくなった。
「アーン、ダメよ、変なこと考えたら……。芙美子先輩は三週間後に結婚されるんだから。
わかってるの?」
 二人は、ハイハイ、と頷いた。
桂木啓佑、堀田学は、安西環と同じ23歳。三人はともにこの4月で満一年を迎えた
同期であった。入社満二年の吉村芙美子24歳の一年後輩であった。
桂木は中肉中背で優男タイプ、堀田はガッチリした体形の筋肉質タイプで関西出身。
安西環とはわりと仲の良い同期であった。
「送別会がお開きになったら逃げたらダメよ。ちゃんと手伝ってよ」
 環はしつこく釘を刺した。

(1)
 安西環のマンションは地下鉄を使えばそう遠くない距離にあった。
最寄の駅へ向けて環が先頭を歩き、桂木と堀田が芙美子を挟み込むように支えながら
後に続いた。
「あなたたち、芙美子先輩の体に触れることができて得したと思ってるんでしょ。
ダメよ、変なこと考えたら」
「何ゆうてるねん。わしらが何考えるっちゅうねんや。変なこと言わんといて」
 堀田が顔を赤くして環に抗議した。顔が赤いのは酔いも含まれているようであった。
「しかし、吉村先輩は爆睡状態だねェ。大丈夫かなあ?」
 力が抜けているため、骨がなくなったように柔らかい芙美子の体の感触に満足しながら、
桂木がつぶやいた。酔っ払いを運ぶのは一般的に面倒くさいことであったが、
芙美子なら別格であった。彼女に触れるチャンスなんて、そうめったにあることではない。
ましてや、三週間後に結婚して人妻になる女性であるから、このような機会は最後かも
しれないのだ。

 もうすぐ駅に着くというところで環の携帯電話が鳴った。着信先を確かめてから、
環は折りたたまれた携帯をおもむろに開き、通話を開始した。
「もしもし……うん、わたし……。何さ?……。えっ、そうなの……。ホント!?
わかった、すぐに行く……。うん、じゃあね……」
 素早く携帯を閉じると、環は桂木と堀田に向かって口を開いた。
「桂木くん、堀田くん、ゴメンね。用事ができちゃった……。彼とケンカしていんだけど、今電話で謝ってきたの……。俺が悪かったって……。直接会って謝りたいからって……。
ゴメンね、わたし、すぐに彼に会いにいきたいの。すぐによ!」
 桂木と堀田は口をポカンと開いて、ただ、環の言葉を聞いていた。
「……もともと、彼とのことを芙美子先輩に相談したかったのだけど、
もう解決しちゃったわ。ということで、ゴメンね。あなたたちだけで芙美子先輩を家へ
送り届けてちょうだい。頼んだわよ。ねっ、ねっ。ホントごめんなさいね」
 一歩的にまくしたてると、環は自分ひとりだけ地下鉄のホームへと降りて行った。

 とり残された桂木と堀田は、芙美子の体を支えながら、しばし呆然と立ち尽くした。
「安西のやつ、無責任だよな?」
 と桂木。
「ああ、信じられへんわ。ほんま、自分勝手なやつやなあ」
 と堀田。二人は、鳩が豆鉄砲をくらったときのような互いの顔を見合わせて苦笑した。
「安西はけっこうな美人でエエ体してるけど、やっぱり彼がおったんやなあ」
「おまえ知らなかったのか? 安西の彼氏自慢は、けっこう有名な話だぜ。
ところで堀田。おまえ吉村先輩の家がどこか知ってるか?」
「知らん」
「そうか、俺も知らん。家もわからんのに、どうやって送って行ったらいいのだ。
うーむ。困った……。吉村先輩は当分目を覚ましそうにないゾ」
「そや、桂木。おまえのマンション、ここからまあまあ近かったよなあ?」
「ああ、ここからだったらワンメータとちょっとだけど……」
「ほな、とりあえずおまえのマンションに行こ。それしかしゃーない」
「そうだなあ、そうするしかないか……。休憩してうちに目が覚めるだろうしな」
 二人と抱きかかえられた芙美子は、タクシー乗り場へと歩き始めた。
このとき、二人は無垢な気持ちで対応を考えていたのであって、まったく邪な気持ちは
なかったのである。タクシーに乗り込むと、桂木は運転手に行き先を告げた。

(続く)"Premarital Untold Story of Fumiko"
[Res: 3998] Re: 芙美子の秘密① 角笛 投稿日:2008/05/31 (土) 22:30
孝太郎と結婚する前に起こった芙美子の秘密のエピソードについてアップしていきます。
よろしく。
  1. 2012/12/19(水) 06:49:09|
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淫舞⑧(完)

[3952] 淫舞⑧(完) 角笛 投稿日:2008/05/24 (土) 23:14
(8)
 寝室には、汗と精液と愛液の入り混じった、甘酸っぱい匂いが漂っていた。
芙美子は、桜庭と堤のふたりを相手にさまざまなセックスを楽しんでいた。
最初は玩具にされていた芙美子ではあったが、徐々に主導権を握り始めると
逆に芙美子が彼らを玩具にしていると言ってよかった。
 桜庭も堤も、何十発もの精液を芙美子に搾り取られてかなり疲労していた。
芙美子の美貌が素晴らしく、妖しいフェロモンに欲望を誘発されるとは言っても
精力にだって限界がある。貫けない守備ラインはない、高速徹甲弾とまで言われた
ランニングバック桜庭のシンボルも、今はグッタリとして元気がなかった。
現在正常位で芙美子とセックス中の堤も――かつては奇跡の状況判断力を持つと言われた
クォーターバック堤も――意識が虚ろになってきており、状況を把握できるだけの余裕は
既になかった。ただ、芙美子に命じられるまま、腰を動かしているにすぎなかった。
「……堤さーん……。もっと激しく突いてェー……。あっ……」
「……芙美子さん……もう……限界……です……。勘弁……して……ください……」
「あーん、ダメェ……。もっと……。もっと欲しい……。あー、イイわぁー……」
 桜庭に続いて、堤もダウン寸前であった。残された精力を、最後の最後まで
芙美子に搾り取られてるといった状況であった。

(9)
 暖房がよく効いているので寒いことはなかったが、何かスカスカする感じがして
孝太郎は目を覚ました。頭がボンヤリしており、一瞬今の状況を理解することが
できなかったが、すぐに記憶を取り戻し始めた。時計を見ると明け方の5時であった。
 昨夜は堤と桜庭を招待して鍋料理で宴会をしていたはずであった。
だが、いまは周りに誰もいない。芙美子も堤も桜庭も、誰もいない。
食事を終えたあとも酒を呑みながら談笑し、楽しい時間を過ごしていた気がするが、
いったいどうしたのだろう? そうだ、眠ってしまったのだ。
では、何故眠ってしまったのだろう?
孝太郎は記憶の糸を手繰り寄せて思い出そうとしていた。
そうそう、確か、桜庭がコヨーテダンスがどうとか言っていたような気がする。
エクササイズDVDと衣装があるからと言って、芙美子に勧めていたはずだ。
芙美子は衣装を持って寝室へ着替えに行ったような気がする……。
孝太郎は眠りに落ちる寸前の記憶をほぼ取り戻し、ハッとなって辺りを見まわした。
 床には白のタンクトップとショーツらしきものが落ちていた。
タンクトップはかなり丈の短いものだった。この丈だとオッパイは半分も隠れないだろう。
ショーツは布地面積の小さいTバック形状で、かなりきわどいデザインようであった。
これを芙美子が着ていたのか? 孝太郎はさまざまなことを想像し始めていた。
着替えたはずの衣装が脱いである。ということは、芙美子は、いま、いったい……。
 孝太郎は、さらに辺りを詳しく観察して、床に点々と白い粘液が落ちているのを
確認した。顔を近づけて、念のため匂いを確認すると予想どおりの結果であった。
「ザーメンだ。これは精液だ……。やはり、芙美子は……」
 孝太郎は自分に言いきかせるように小さく呟いた。

「ダメェ、もっとー」
 という声が寝室の方から聞こえてきた。孝太郎は、やはりそういうことか、
と思いながら静かな足取りで廊下に出た。寝室のドアの前に辿り着いたとき、
「もう、ダメよ……。もっと……。もっと、エッチしましょう……」
 という芙美子の声をハッキリ聞いた。芙美子の淫乱にも困ったものだ。
そんなことを考えながら、孝太郎はゆっくりと寝室のドアを開けた。
「芙美子!」

「あっ、あなた……。ごめんなさい……。堤さんと桜庭さんが……」
 芙美子は桜庭の上で、桜庭のイチモツを掴んで膣に挿入しようとしていた。
しかし、桜庭は肉棒と同じように全身グッタリとして元気がなく、
挿入はうまくいっていない様子であった。壁を背にして坐っている堤も元気がなかった。
「あなた、ダメなの……。桜庭さんも堤さんも元気がなくて……。
ふたりとも相手をしてくれなくなったの……。あなた……」
 芙美子が孝太郎に話しかけているのを聞き、堤と桜庭は孝太郎の存在に気がついた
ようであった。ふたりとも体はグッタリしたままだったが、狼狽した表情で口を開いた。
「柏木、スマン。これにはいろいろと理由があって…………。とにかくスマン……」
「勘弁してや、柏木。成り行きとはいえ、奥さんにエッチなことしてしもた。
ほんまに勘弁してや……」
 堤と桜庭の咄嗟の言い訳を聞きながら、孝太郎はおもむろに口を開いた。
「わかってるって。だいたいのところは想像できる……。芙美子のことは私がいちばん
知っているんだから……。芙美子の性欲についていけなかったんだろ?」
 堤と桜庭は互いに顔を見合わせてから、もういちど孝太郎の方に向いた。
孝太郎はさらに言葉を続けた。
「芙美子にはニンフォマニアの顔があるんだよ。いったんエッチのスイッチが入って
しまうと、とことん満足するまでセックスを求め始めるんだよ。官能の限りを尽くして
快楽を得ようと底無しに要求してくるんだ。男のエキスの最後の一滴を搾り尽くすまで」
 堤と桜庭はもういちど互いに顔を見合わせて、驚いた表情を示した。
孝太郎が説明を続ける。
「お前たちも、とことん搾り取られたんだろ? どうだった? 気持ち良かったか?」
 堤も桜庭も首を縦に振るのがやっとで、声はほとんど聞こえてこなかった。
芙美子はあいかわらず桜庭のチ○ポを勃起させようとしていたが、手でさすっても
口に含んでもいっこうに硬くならない男根に見切りをつけて孝太郎に向き直った。
「あなた……。エッチしましょ……。芙美子とセックスしましょう……」
「ああ、いいよ。エッチしよう……。おいで……」
 孝太郎はそう言うと服を脱ぎ始めた。

(エピローグ)
 堤と桜庭とさんざんセックスを楽しみ、それなりに性欲を満足させたあとの芙美子を
相手にするのは、孝太郎にとって幸いであった。比較的、飽くまでも比較的ではあるが、
ちょっとは満足を得たあとのニンフォマニアの扱いはいつもより楽であったのだ。
 しかし、芙美子の男を惑わす力には驚かされる。孝太郎は芙美子の妖艶な美貌について
あらためて考えた。もともと美しい芙美子であったが、結婚してエッチを重ねるうちに
どんどん艶やかさが増していった。男を誘うフェロモンを無意識に放っている芙美子は
いったんスイッチが入るととことん淫らな女に変身した。
孝太郎はそれがうれしくもあり、恐ろしくもあった。
 芙美子のフェロモンは、男が100人いたら105人を勃起させる力がある。
ならば、その特性を利用して彼女の性欲の一部を解消しながら、自分とのエッチも
楽しんでいくようにすれば、少しはニンフォマニアにも対抗できるかもしれない。
孝太郎はそんなことを考えながら、彼の横で今は天使のように眠っている芙美子の
かわいい寝顔を眺めていた。

(完)<The End of "A Voluptuous Coyote Dancer">

  1. 2012/12/18(火) 19:46:32|
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淫舞⑦

[3934] 淫舞⑦ 角笛 投稿日:2008/05/23 (金) 02:03
(7)
 コヨーテダンスのエクササイズDVDは、気づかない間に再生を終えていた。
「柏木を起こしたらマズイから、場所を移しましょか?」
 身長187センチの桜庭は芙美子を軽々と抱きかかえると、廊下を隔てた寝室へと
向かった。堤もそれに従ってついて行った。
本来、孝太郎と芙美子のみに使用が許されるはずのベッドに、芙美子と桜庭と堤の三人が
上がった。全身にうっすら汗を滲ませた芙美子は、艶かしく姿態をくねらせた。
「芙美子さん、しゃぶってもらえますか? 芙美子さんのかわいい口でフェラチオして
もろて、そのキレイな顔にザーメンをぶちまけたいんですわ」
 芙美子は淫らに微笑むと、グッタリしている桜庭のチ○ポを口に含んだ。
亀頭部分を数回チュパチュパしたあと、喉の奥まで肉棒を咥え込んだ。
いやらしい音をたてながら、ゆっくりストロークを繰り返す。その間、キン○マを
マッサージするのを忘れない。
「あーん、また勃起してきたわ。スゴーイ。大きいわ。孝太郎さんのよりも大きい……。
硬いわ……。あー……、スゴイ……」
「気持ちエエわぁー。奥さん、最高や……。たまらん……」
「芙美子さん、私はこっちの方に失礼させてもらいますよ」
 堤は、桜庭の股間に覆いかぶさっている芙美子のアソコにキスをした。
陰唇とクリトリスを舐め上げる。
「あっ……。ぅふーン……。堤さんのエッチ……」
 桜庭の男根から一瞬口を離して芙美子は呟いた。
堤の攻撃を受けながら、ときに歓喜の声を上げつつ、芙美子は桜庭のイチモツをしゃぶる。
桜庭は、美しい芙美子が髪を乱しながら肉棒を頬張るさまを見ながら、徐々に臨界点に
達しつつあった。究極の美人を犯す感覚は、何ものにも代えがたい快感であった。
芙美子にとっても、この巨大で醜悪な代物に口を汚されている感覚は、悦楽以外の
何ものでもなかった。
 クライマックスを迎えた瞬間、桜庭の欲望の塊はいっそう大きく膨張し、
芙美子の口腔内に男のエキスを放出した。ドクッ、ドクッ、ドクッ、と次から次へと
白濁するエネルギーは放たれた。
「……ンぐっ……」
 あまりの量に、芙美子は眉間にしわを寄せて、一瞬、苦悶の表情を見せたが、
すぐに恍惚の表情に変わった。開かれた目がトローンとしている。
最後の一滴までこぼさないように吸い取ると、芙美子は顔を上げた。
濡れた瞳で桜庭と堤の方を見ると、ゆっくり口を開いた。
愛らしい唇の端からドロリとザーメンが溢れ出した。口からこぼれた白濁液は
あごをつたって芙美子のオッパイへと滴り落ちた。

 芙美子のエロい様子を見ながら、桜庭に代わって堤がベッドに横たわり、
芙美子の方を見やって言った。
「さあ、芙美子さん、今度は私の番ですよ」
 先ほど芙美子の股間を舐めている間に堤のイチモツは硬さを取り戻しつつあった。
芙美子はそれにしゃぶりつくと、完全な硬さに戻るよう刺激を加えた。
「……ふうー……。今度は騎乗位でイキたいなあ……。芙美子さんがオッパイを
揺らしながら、私の股間の上でダンスするところを見ながらイキたい。いいですか?」
「……イイわよ……」
 何度も交合し、ビチャビチャに潤っているアソコを堤の亀頭先端にあてがうと、
芙美子はゆっくり挿入していった。堤のイチモツは根本まで、ヌプリ、と芙美子の秘肉に
すべり込んだ。
「……あっ……」
 あらたな獲物を咥え込んで、芙美子の蜜壺自体も悦びの声を上げたようであった。
腰を上下、前後と振りながら、芙美子は騎乗位でダンスを開始した。
いったんエロエロスイッチが入ってしまった芙美子は、簡単には止まらない。

(続く)

  1. 2012/12/18(火) 16:45:46|
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淫舞⑥

[3919] 淫舞⑥ 角笛 投稿日:2008/05/20 (火) 01:19
(6)
 秘肉で桜庭のペニスの先端を挟みこみながら、芙美子はなおも腰を動かしている。
トロトロに溢れた蜜で、亀頭はすでにヌラヌラにテカッていた。
かなり大きな桜庭の肉棒を受け容れるため、芙美子は丹念に潤いを加えているのだと
思われたが、じらされている桜庭はタマッたまのではない。
欲望の深淵を目の前にして飛び込むことを許されない辛さを痛感していた。
「……芙美子さん……柏木には悪いけど……そろそろ入れさせてーな……。
早くブチ込まんと、気が狂いそうですわ……。頼みますわ……。俺の高速徹甲弾を
あなたのオメ○の中に……ブチ込みたい……」
「……あーん、ダメよ。あせらないの……。あっー、あー……。ぅふーン……」
 亀頭が充分潤っているのを確かめて、芙美子はゆっくり、少しだけ腰を下ろした。
ちょうど亀頭の部分だけがオマ○コに沈み込む位置でストップさせた。
これには桜庭が悲鳴を上げた。
「そんなところで止めんといてくださいよ……。勘弁してーな……。一気にイカして」
 芙美子は笑みを浮かべながら、半開きの愛らしい唇に右の人差し指を入れた。
根本まで挿入したあと、ゆっくりしゃぶり上げるように指を引き抜いた。
そして、舌で唇をひと舐めすると、桜庭の屹立する男根の上に腰を下ろした。
巨大な肉棒が芙美子のアソコへと呑み込まれていった。
「……ぁっふーン……。ウフン。……ス……ゴ……ー……イ……。気持ち……イイ……」
「おおっー、最高!」
 芙美子は背中を反らせて首を後にガクンと傾け、桜庭は歓喜の雄叫びを上げた。
巨根の先端が子宮の口に当たり、根本まで収納することはできなかったが、
芙美子は騎乗位で巧みに腰を動かした。ベリーダンスを踊るように、臍から下を
激しく前後に振る。オッパイが生き物のように躍動していた。
「……あかん……。もう、すぐにイキそうや……。じらされた分、不利や……。
持ちこたえられへん……」
「……ダメよ……。まだ、ダメェーン……。イッちゃダメェー……」
 そう言いながら、芙美子の秘肉は桜庭のペニスをしっかり締め上げている。
男の欲望を全て搾り尽くすため、膣壁の襞が絡みついて拘束しているのだ。
桜庭は快感に顔を歪ませて苦悶の表情をとっていた。
「あー、あかん、あかん。もう、出そうや……」
「ダメよ、桜庭さん……。中に出してはダメよ……。あっ、あっ、あっ……」
「そんなこと、言わはっても、あかんもんは……。あー、イクッー……」
 桜庭のチ○ポが射精寸前にひとまわり大きく膨張するのを感知すると、芙美子は
素早く腰を上げてペニスを引き抜いた。その瞬間、桜庭の巨根の先端から白濁する
粘液がほとばしった。ドクッ、ドクッ、ドクッ、と濃い精液が、相当な量を周囲に
撒き散らした。
「……もー、桜庭さんたら……。中はダメェって言ったのに……。危なかったわ……」
「……そんなに締め付けが厳しかったら、堪えられませんって……」
 桜庭のチンポは吐き出すものを吐き出して、グッタリしていた。
その様子を見下ろしていた芙美子は視線を堤に転じた。
「堤さん……」
 傍らに立ってふたりの秘め事を眺めていた堤の肩に腕をまわすと、芙美子は自分から
キスを求めていった。

 芙美子と桜庭のセックスを見ていた堤のチ○ポはすでに硬く、大きくなっていたが、
さらに硬くしようとするかの如く、芙美子は愛おしそうにフェラチオしていた。
タマを左手でころがしながら、右手でサオの根本の方をシコシコしていた。
亀頭を口に含み、ねぶり、サオの部分に舌を這わせた。横咥えもした。
「芙美子さん、そろそろ入れさせてください……。柏木、すまん……」
 なおも眠っている孝太郎に向けて、堤が頭を下げた。
芙美子は仰向けに寝転がり、股をM字に大きく開くいて堤を誘った。
堤は大きくなった肉棒を右手で握ると、亀頭の先端を陰唇にあてがった。
すでに桜庭を受け容れたあとの膣口は、トロトロに潤っていた。蜜壺であった。
「堤さん、来てェー……。早くーン……」
 堤は一気に男根を突きたてた。
「……ァハーン……。……いいわぁー……」
 正常位でふたりは抱き合い、腰だけを別の生き物のように動かし始めた。
芙美子は堤の肩に両腕をまわし、ふたりは密着しながらキスをした。
互いの唇をむさぼり、舐め合い、唾液でレロレロになりながら互いを求め合った。
「……芙美子さん、スゴイ締め付けですね……。これは厳しい……」
「そやろ……。気持ち良すぎて、長くもたんやろ?」
 傍らでグッタリ体を横たえていた桜庭が堤に話しかけた。
堤は、ああ、と答えると腰を激しく動かし始めた。
ときどきキスをされたり、耳をなめられたりしながら、芙美子は悶えた。
「……あっ、あっ、あっ、あっ、あっ……」
 芙美子は規則正しく嬌声を上げていた。熱い吐息は堤をますます興奮させた。

 そう長くを待たず、堤のシンボルは臨界を迎えつつあった。
それを察知した芙美子は、
「……堤さん、お願い……。中はダメよ……。ねえ、お願い……」
 濡れた瞳で芙美子は訴えかけた。
「中はダメって。なら、どこに出したらいいんです、芙美子さん」
「あっ、あっ、あっ、あっ……」
「答えないと中に出しちゃいますよ」
「アーン、ダメェ……。……クチ……、口にお願い……」
「じゃあ、大きく口を開けて、舌を出してください。私のザーメンをしっかり受けて
くださいよ。……いきますよ……」
 腰のストロークのピッチを早めていた堤は、うっ、と呻き声を上げると肉棒を引き抜き、
芙美子の口元へと持っていった。そして、口の中と周りにおびただしい量のザーメンを
ぶちまけた。少し黄色みを帯びた、ねっとりと濃いザーメンであった。
「……だいぶ溜まっていたので量が多くてすみません。しかし、気持ちよかったぁ……」
 芙美子は口中と唇の周りを汚されて、ウットリしていた。顔を横に向けて、
「あー」
と短くため息を漏らすと、唇の端からドクリと白濁液がこぼれ落ちた。
「あー、気持ちイイーわ。……ウフン……。もっと……もっと欲しいわ……」
 胸を揺らして立ち上がると、芙美子は濡れた瞳を桜庭に向けた。
「……桜庭さん……。ぁハーン……」
 孝太郎は依然、熟睡している。夜は、まだまだ長い……。

(続く)
  1. 2012/12/18(火) 11:45:08|
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淫舞⑤

[3917] 淫舞⑤ 角笛 投稿日:2008/05/19 (月) 02:17
(5)
 堤にオッパイを攻められても、音楽に合わせて芙美子は腰を振り続けている。
クリトリスと陰唇部分を桜庭の股間のふくらみにこすりつけながら、へそから下を
巧みに動かしていた。芙美子の汗と愛液でしっとり湿った淫部から快楽のエネルギーを
注入されるが如く、桜庭のペニスはどんどん大きく、硬くなっていた。
もはや亀頭はビキニパンツから完全に顔を出し、キン○マ部分はリンリンに
はち切れそうである。
「たまらんなあ。我慢できひんわ。堤の方はどうや? オッパイは美味いか?」
「ああ。味だけでなく、弾力といい、肉の詰まり方といい、最高だぜ」
「……ぅふーン……あーん……あっ……気持ちイイわぁ……」
 芙美子は中腰になると堤にキスをしてから視線を桜庭の股間に移した。
膝をついてしゃがんでから、そっと手を伸ばして股間をやさしく包みこんだ。
そして、大きさを確認してから、両手で一気にビキニパンツを脱がせた。
桜庭の屹立した暴れん坊があらわになった。
「あら、スゴく立派なこと。たのもしいわ」
 そう言って立ち上がると、芙美子は妖しく腰を振りながらスキャンティを脱いだ。
薄めのヘアーを有する魔の三角地帯に、堤と桜庭の視線が注がれるのを感じながら。

「気持ちよくなりましょ。でも、ゆっくり、順々にね、桜庭さん」
 芙美子はそう言いながら、仰向けに寝ている桜庭の肉棒の先端に膣口をあてがった。
「芙美子さん、それはマズイよ。本番はちょっと……。桜庭もなんとか言えよ」
「……我慢できひん……。ブチ込みたい……」
「ダメだよ!」
 制する堤の方に視線を投げかけると、芙美子は唇の端を上げて妖しく微笑んだ。
やや細めた両目が色っぽく、艶やかに濡れていた。
「……簡単にはあげませんわよ……。ぅふーン……」
 芙美子はアソコの入り口にあたる陰唇で亀頭部分のみを挟みこむと、そのまま腰を
グラインドさせた。男根のほんの先っぽのみが入った状態である。
「えっ? 芙美子さん、一気に腰を下ろしてブチ込ませてくださいよ。中途半端は
殺生ですよ」
「……ダメェ……。まだ、ダメよ……。ゆっくり楽しむんだから……」
 チ○ポの先端しか入れさせてもらえていない桜庭は、半狂乱である。
この状況でお預けは正直ツライ。しかし、そんなことをものともせず、芙美子は
充分に潤った膣口で亀頭の感触を楽しんでいるようであった。
「……ああー、いいわぁ……。ゥフン……」
 その様子を見ていた堤は、
「……エライことになってきたなあ……」
 と思わず漏らした。
桜庭の男根(の先っぽ)を弄びながら、腰を揺らしてグラインディングさせている
芙美子は妖しい笑みを浮かべつつ、肉欲の限りを尽くそうと淫らに舞っていた。

(続く)

  1. 2012/12/18(火) 06:44:24|
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淫舞④

[3914] 淫舞④ 角笛 投稿日:2008/05/18 (日) 17:01
(4)
 リビングには甘酸っぱい香りが充満していた。
芙美子と桜庭が艶かしく絡み合って踊る姿を見ていて我慢できなくなった堤も
服を脱いでパンツのみの姿になっていた。部屋がヒートアップしすぎたのだ。
熟睡している孝太郎を除いて……。
「しかし、結構ハマってしまうなあ、このコヨーテダンスは?」
「そうやろ? 踊り出したら止まらんようになるんやで? 芙美子さんもどうです?」
「ええ。情熱的で、体にとても良い感じがしますわ」
 ダンスに熱中している芙美子の衣装は、既に上下ともに汗でグッショリと濡れていた。
もともと薄い布地を透して乳輪がハッキリとわかるようになってきていたし、
下はヘアーが透けて見えていた。とても色っぽい状態である。
ダンスの中で、芙美子が両手を上げて万歳のポーズになったとき、桜庭は、
「濡れてるから風邪をひきますよ。脱ぎましょう!」
と言ってタンクトップを脱がせてしまった。
堤と桜庭の目の前に、芙美子の美しく大きなオッパイが姿を現した。
「あっー、イヤン。ダメですよ。エッチ……」
「俺たちだってパンツ一枚なんだし、ええやないですか。なあ、堤?」
 堤も同意した。
「ところで、芙美子さんのオッパイはキレイですなあ。乳首はピンク色や」
「もう、エッチなこと言わないでください」
「どんな感触なんやろ?」
 桜庭は芙美子を背後から羽交い絞めにして胸を揉み出した。
「あっ、そんな。ダメェ。イヤッ。あっ……ぁふーン……。ウフン……」
「おい桜庭、それはマズイだろ」
「ちょっとぐらい、ええやんか。柏木は寝てるんやし。それに少しぐらい羽目を外しても
あいつは怒らへんって。芙美子さんもエエ声が出てきはったことやし、なあ?」
「……あっ……ぁはーん……んっんっ……ぅふーン……」
 コヨーテダンスのエクササイズDVDは、なおも官能的な音楽と映像を流していた。

「わかりましわ。わかりましたから、乱暴にしないで。楽しみたいと言うのなら、
そのようにしますから……。お願い……。ああっ……」
 芙美子は桜庭の手を振りほどくと、腰をいっそう艶かしく振りながら髪を揺らした。
また、官能のスイッチが入るのを確認しながら、桜庭に床へ仰向けに寝るよう指示した。
髪をかき上げ、腰をくねらせる。双眸は官能に濡れ、唇は淫らに半分開かれていた。
もう我慢できない自分を感じながら、芙美子は桜庭に近づいて行った。
彼のハチ切れそうなビキニパンツの上に、膝立ちになって股間をこするように
腰を前後に揺らし始めた。
「……ぅふーン……どう? アハーン、感じてる?」
 問いかけられた桜庭は、ギンギンになっていた。勃起した肉棒の先端が、
ビキニパンツからはみ出していた。そんなことおかまいなしに、芙美子は股間を
グラインディングさせる。前後に腰を揺らして、こする、こする。
芙美子の秘密の壺からも甘い蜜が溢れ出していた。
 この光景を見ていて我慢できなくなった堤は、
「芙美子さん、失礼します」
 と言って、オッパイにむしゃぶりついてきた。乳首と乳輪を丹念に舐めまわす。
「……アハーン……いいわ……。ぅふーン……」
 芙美子の息は荒くなり、ハアハア言いながら熱い吐息を漏らし始めた。

(続く)
  1. 2012/12/17(月) 19:43:55|
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淫舞③

[3913] 淫舞③ 角笛 投稿日:2008/05/18 (日) 17:00
(3)
 リビングでは、芙美子の着替えを今や遅しと三人が待ち構えていた。
堤と桜庭にとっては、思いがけず、憧れの美しき人妻の肢体を拝める幸運を得た、
と言っていい。孝太郎にとっては、複雑ではあるが、また、彼の屈折した性癖を
少しは満足させる機会になるかもしれなかった。しかし……。
「柏木、どうしたんや? もうすぐ芙美子さんが着替えて戻ってきはるゾ。おい?」
「……すまん……。酒のせいか、無性に眠くなってきた……。堪えられん……。
悪いけど、ちょっとだけ眠らせてもらうわ……」
 と言うと、幸太郎はソファーに坐ったまま眠り込んでしまった。

 寝室の扉が開き、芙美子が着替えを終えてリビングへ戻って来た。
「やっぱり恥ずかしいですわ、この衣装。あら? あなた?」
 胸と股間に手をあて、もじもじしながら部屋へ入ってきた。
「ああ、柏木は少し眠らせて欲しいとのことですわ。それよりも芙美子さん。
素晴らしいですよ。カッコイイですよ。バッチリ決まっていますよ」
 豊満な胸は、白のタンクトップの下からほとんど溢れ落ちていると言っていい状態だし、
秘密のデルタ地帯は、かろうじて白いスキャンティで隠されていると言っていい。
生地が薄めなのでバストトップがうっすらと透けて見えているかもしれない。
少なくとも、突起は伺い知れる状態にあった。
「その衣装、フリーサイズだったから芙美子さんにはちょっと小さめかもしれませんね。
奥さん、結構背が高いから……。さあ、それじゃあ、DVDに合わせて踊りますか?」
 そう言うと、桜庭は、また最初からエクササイズDVDの再生を始めた。

 最初は少しとまどっていた芙美子ではあったが、コツをつかむと上手に踊り始めた。
元々クラシックバレエをやっていたこともあり、手足の動きがエレガントで美しく、
優美と淫靡が融合した肉感的でしなやかなコヨーテダンスとなった。
 ものの15分も踊ると全身から汗が噴き出してきた。アルコールのせいもあるだろう。
ますますヒートアップし、体が火照ってくるのを芙美子は感じていた。
体の芯の方から湧き上がってくる官能が、徐々に芙美子を支配しつつあった。
「……ふうー……熱いわ……。どんどん、体が熱くなってくる感じだわ……」
「それでいいんですわ。男の視線を感じながら、スタイリッシュでセクシーに踊るのが
コヨーテダンスです。もっと腰を振ってくださいな」
 芙美子の淫らなダンスを観賞している堤と桜庭は、たまったものではなかった。
男の本能を刺激されてギンギンになりつつあった。酒が入り、それでなくても理性の箍が
外れようかというときに、目の前に魅惑的な肢体の美人が艶やかに舞っている。
腰をくねらせ、全身を揺らしながら、肉欲を誘うように蠢いている。
下乳がはみ出ている胸が大きく揺れるたびに、タンクトップから乳輪がこぼれ落ちて
見えた。冬だというのに、柏木家のリビングは、熱く燃え上がっていた。
「芙美子さん、すみませんが少し暑いので涼しい格好をさせてもらいますよ」
 桜庭が服を脱ぎ始めた。シャツも脱ぎ、パンツ一丁の格好となった。
「おい、お前、マズイぞ、その格好は」
「いいやないか、こう興奮させられたら暑くてしょうがない。それに、柏木はぐっすり
眠っとるんやしなあ。芙美子さんは大いに盛り上がってくれてはるゾ」
 桜庭が服を脱いだことなどお構いなしに、芙美子は一心不乱に踊っていた。
官能は脳内麻薬物質を分泌し、芙美子は恍惚の表情で舞っていた。
「ところで、お前、そのビキニパンツはなんだ? AV男優か、ギャランドゥーか?」
「ランニングバック時代からのクセかな? 股間をしっかりホールドしとかな
落ち着かへんねん。しゃーないやんか」
 堤に言い返すと、桜庭はパンツ一丁のまま、腰を振って踊っている芙美子の傍に
寄り添った。背後から体を密着させ、芙美子の胴へと手をまわした。
ふたりの身長差は19センチである。
「芙美子さん、結婚式のときも美しかったけど、人妻になられてますます色っぽく、
美しくなられましたなあ。男はたまりませんでェ」
「あーん、ダメですよ桜庭さん。そんなにひっついたら……。あっ、ダメェ……。
主人が見てるんだから……」
「柏木は見てませんよ。ぐっすり眠っています。寝ている人は置いといて、
起きてる者で楽しみましょうよ」
 桜庭はそう言うと、芙美子のヒップを撫ぜまわしながら耳にキスをした。

(続く)

  1. 2012/12/17(月) 16:42:51|
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淫舞②

[3912] 淫舞② 角笛 投稿日:2008/05/18 (日) 16:59
(2)
 食事は済んだが、酒を呑みながら依然として談笑は続いていた。
芙美子も、久しぶりに賑やかで楽しい夜を楽しんでいた。
適度に酔いがまわり、心地よく体は火照っていた。
 話題が切れたところで、日本酒を手酌で呑んでいた桜庭が、あっ、そうだ、
と声を上げた。
「そうそう、お前らコヨーテダンスって知ってるか?」
 孝太郎も堤も、知らない、と首を振った。もちろん、芙美子も初めて聞く言葉だった。
「うちの会社はスポーツ&アミューズメントを取り扱っていると言ったと思うけど、
最近、エクササイズ施設等に展開しつつある主に女性向けのダンスのことなんだ」
「ふうん」
「『コヨーテ・アグリー』っていう映画の中で主役たちがバーカウンターを舞台にして
スタイリッシュでセクシーに腰を振って踊るシーンがあるんやけど、それ視たタイの人が、
これは当たる、と考えて『コヨーテダンス』のエッセンスを母国に持ち帰ったらしい」
「ほおー」
「それがスゴイのよ。ベリーダンスから品を取り除いてポピュラーにした感じなんやけど
かなりエッチな感じなんや。そやけどな、そのエッチなところが、女性が女性らしさを
意識することになるので良いらしい。女性を美しくするホルモンの分泌が良くなる
とのことや。今日も得意先を回っていたから、プレゼンに使ってるDVD持って来てる
けど、試しに視てみるか? 勉強になるかも。芙美子さんもいいですよね?
セクハラだなんて言わないでくださいよ。立派なエクササイズなんだから」

 エクササイズDVDを再生すると、単調だがノリのいいアップテンポの曲にのって
画面の袖から女性が6人現れてきた。日本人かアジア系か区別のつかない美人たちが
音楽に合わせて踊り始める。どの女性もプロポーションが抜群なのだが、それ以上に
その扇情的な衣装に目を奪われた。
 丈が極端に短い白のマイクロミニタンクトップと、大切な三角地帯を申し訳程度に隠す
股上の短い白のTバックスキャンティ。これらを身につけた女性たちが、腰を振りながら
全身を揺らすようにして、艶かしく踊っていた。タンクトップの下からは、オッパイが
こぼれ落ちそうな勢いで胸も揺れていた。とてもエロイ光景であった。
「タイのクラブとか、過激なところだと星型のニプレスを付けたダンサーたちは
タンクトップを脱いだりするらしい。それを手に持って、ブンブン振ったり、
口に咥えたりしながら踊るらしいで。"YouTube"でも配信されているわ」
 孝太郎も堤も、目を見開いて画面を食い入るように見つめていた。
芙美子も、女性たちが艶かしく踊る姿から目が話せないでいた。
酔って火照った体がますます熱くなってくるような気がした。
「この衣装でこの踊りだと、どうしても男性の目を意識するやろ? それがいいらしい。
女性が女性であることを自覚することで、ますます女の美しさが磨かれていくらしい。
もちろん、ダンスやからエクササイズしているわけで、その効果もあるしな……」
 かなり酔いがまわっているはずの桜庭は、かなり饒舌になっていた。
そして、芙美子に対してもかなり友好的に――悪く言えば、なれなれしく――なって
きていた。
「そうや、試供用に持ち歩いている衣装があるけど、芙美子さんも試しに踊ってみます?
クラシックバレエや高跳びやったはったんでしたら、体を動かすのは好きですやろ?」
「えっ? わたしが? 無理ですよ。恥ずかしいし、そもそも踊れませんもの」
「誰でも最初から何でもできませんよ。せっかくだからチャレンジしてみられたら
どうですか? 芙美子さんがさらに美しくなられたら、柏木も嬉しいでしょうしね。
なあ柏木、そうだろ?」
「うっうん、そうだなあ。でも、ちょっと過激だなあ。大丈夫かなあ?
フミちゃん、やってみる?」
「えっ? イヤン、あなたまで……。あんな風に……。やっぱり無理よ。恥ずかしいわ」
「まあまあ、そう言わんと。これに着替えてトライしてみてください。
きっとおもしろいから。ねっ? さあさあ、どうぞ」
 袋に入れられた新品の衣装を鞄から取り出すと、桜庭は芙美子に手渡しつつ、
奥の部屋へと押しやった。
「DVDの音楽と動きに合わせて踊ったらいいんですから、大丈夫。
初めてでも踊れますよ」
 芙美子は、最初は躊躇していたが、意を決して寝室に入っていった。

(続く)

  1. 2012/12/17(月) 11:42:23|
  2. 芙美子シリーズ
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